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サッカー&フットサル コラム 2026年10月16日

プレミアを席巻するクリムゾンレッドのしなやかなスナイパー。ヴィッセル神戸U-18・川端彪英がJ1のピッチで感じた新時代の胎動 【NEXT TEENS FILE.】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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ヴィッセル神戸U-18・川端彪英

今までも望まれた結果を積み重ねることで、自分の進むべき道を切り拓いてきた。その未来の築き方は、これからどんな立場になったとしても、変わることはない。ストライカーならば、チームのエースならば、求められるのはゴール一択。スタジアムに熱狂をもたらす、ゴール一択だ。

「小さいころからプロを目標にやってきたので、運もあって、チャンスをもらって、トップの試合に関われたのは良かったですけど、自分の良さの得点を獲る部分で価値を示さないといけないので、トップにもU-21にも絡んでいるからには、常に結果を残していきたいと思います」

ヴィッセル神戸U-18の背番号10を託された、プレミアリーグ屈指のゴールハンター。川端彪英はこの夏、ノエスタのピッチで味わった興奮と感慨を糧に、クリムゾンレッドの今後を担うための準備を、着々と整えていく。

3月。いぶきの森。プレミアリーグ開幕を控えたタイミングで、新10番は今季に懸ける想いをこう語る。「10番だからといって、そんなに気負わずに自分が得意なプレーをやろうと思うんですけど、やっぱり今までの歴代の10番の先輩は良い選手が多いですし、一番身近な例として(濱崎)健斗くんが1個上におったので、今年は健斗くんの去年の得点を超えて、健斗くんの10番のイメージを、オレの10番のイメージに塗り替えたいです」

既にU-18所属時にトップチームデビューを飾っていた濱崎が、2025年シーズンのプレミアで挙げたのは12得点。12試合という出場数を考えると驚異的な数字であり、さらに優勝の懸かった試合の後半アディショナルタイムに同点弾と逆転弾を叩き込むなど、まさにエースの称号にふさわしい活躍を見せた“前10番”を明確に意識して、川端はアカデミーラストイヤーへと足を踏み入れていく。

それは衝撃的なハイペースだった。開幕戦のサガン鳥栖U-18戦で2得点を記録すると、開幕4試合で7ゴールを荒稼ぎ。前半戦終了時点で11試合に出場して、早くも二桁に乗せる10得点を積み上げることに成功する。

8月29日。明治安田J1リーグ第4節のセレッソ大阪戦。神戸を率いるミヒャエル・スキッベ監督は、初めてトップチームのベンチに入った18歳を飯野七聖に代えて、後半開始からノエスタのピッチへと送り出す決断を下す。

「ああいう舞台は経験したことがなかったので、もちろん緊張はあったんですけど、自分の性格上、観客の人が多い方が『なんかやったろう』というか、『ワクワクしたいな』と思ってプレーできるので、もう楽しかったですね」

「あとは、チャレンジャーとして挑めるというのが自分としては一番大きくて、あんな舞台だったらもう自分がやれることをやるだけなので、ミスしてもそんな気にせんと、やるべきことをずっとやり続けることを意識していました」

79分。サイドで酒井高德からパスを受けた川端は、寄せてきたマーカーに対して股抜きを敢行。その後のドリブルはファウルで止められたものの、J1デビュー戦の舞台でいきなりトリッキーなプレーを披露し、スタンドを沸かせてみせる。

同じ右サイドでコンビを組んだ酒井に対し、試合後の取材で「家に帰ってお母さんがいるくらいの安心感」と評したコメントも話題を呼んだが、本人からすればごくごく素直に口を衝いた言葉だったという。

「もうホンマに安心感があるので(笑)。それは酒井選手だけではなく、もちろん全員にあるんですけど、特に立ち位置的にカバーしてもらえる位置だったので、メッチャ感謝しています。でも、だいぶその話はみんなに言われましたね(笑)」。意外なところでJリーグの試合に出ることの影響力を実感したようだ。

 

プレミアの後半戦はJ1と『U-21 Jリーグ』への帯同で欠場が続いたが、久々にスタメンで登場した神村学園高等部戦できっちり得点を奪うと、圧巻は上位対決となった第17節のサンフレッチェ広島F.Cユース戦。前半に強烈な中央突破から、リージャミソン大和のゴールをアシストしたうえに、2-2で迎えた87分には決勝点をゲット。アウェイでの勝点3獲得に、確かな結果で貢献してしまう。

この広島戦の得点はシーズン12点目で、昨シーズンの濱崎と並んだことになる。もちろんここから先もJリーグでの出場が期待されるが、おそらく“前10番”の数字を超えることは現実的なターゲット。2026年の神戸U-18を象徴するような“現10番”の存在感は、やはり圧倒的と言っていいだろう。

ラストイヤーとなるU-18で目指すべきは、昨冬に鹿島ユースにPK戦で敗れ、あと一歩で届かなかったプレミアリーグファイナル制覇。個人としては、やはり再びあの痺れるプロのピッチに立って、今度はゴールという歓喜をクリムゾンレッドのサポーターと分かち合う瞬間を引き寄せることを、はっきりと見据えていく。

「大迫(勇也)選手や酒井選手、井手口(陽介)選手もそうですし、近い年齢で言ったら岩本悠庵選手や日高(光揮)選手も自信を持ってプレーしているのを見て、『やっぱり自分もチャレンジしなあかんな』と思えましたし、酒井選手も含めたベテランの選手からは、いろいろなことを教えてもらえるところと、言葉ではなく行動で示す部分を感じるので、そういうものを目の前で見れて良かったです」

「トップには凄い選手がいる中で、自分も今年中にはまたJ1のベンチに入りたいですし、それには自分が与えられた場所で、U-18とかU-21とか関係なく結果を残していかないとダメだと思うので、その先でもう1回トップで試合に出るチャンスをもらえたら、そこでは得点に絡みたいなと思いますね」

立つべき舞台が大きければ大きいほど、何かをやれそうな自身への期待感が高まっていく。失うものなんて、何もない。もうとにかく自分を信じて、チャレンジし続けるだけ。若きクリムゾンレッドのしなやかなスナイパー。川端彪英はこれからもゴールネットを揺らすことで、思い描いた未来予想図に、鮮やかな彩りを加えていく。

 

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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