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サッカー&フットサル コラム 2026年9月16日

選手とともに成長するサイクルへの確たる決意。昌平高校・芦田徹監督がサッカー小僧たちと送る「48歳の青春」 高円宮杯プレミアリーグEAST 昌平高校×青森山田高校マッチレビュー

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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昌平高校を率いる芦田徹監督

もちろん負ければ、メチャメチャ悔しい。準備してきたものが出せなければ、何が足りなかったのかメチャメチャ考える。楽しいことばかりではない。いつだって選手たちと一緒に成長するために頭を悩ませている。でも、それも嫌いなことではないし、結局はいつものグラウンドにいる時が、一番充実していると感じる自分もいる。

生まれ育った長野の地から、単身で埼玉の強豪校へ飛び込んで2シーズン目。はっきりと日本一を見据える昌平高校を率いる、情熱の指揮官。芦田徹監督は目の前の選手たちと日々向き合い、サッカーという答えの出ない難問に、ワクワクしながら挑んでいる。

プレミアリーグEAST第13節。前節は東京ヴェルディユース相手に2点差を追い付き、勝点1を獲得した昌平がホームで青森山田高校と激突した一戦は、いきなり開始1分に立野京弥が先制点を挙げると、21分にも立野がゴールを奪い、試合を優位に進めていく。

印象的だったのは守備でのアグレッシブな姿勢だ。2トップで並んだ立野とオツコロ海桜もプレスバックに奔走し、加々美郁哉と飯島碧大のドイスボランチもセカンドボールを果敢に拾い切れば、「相手はロングボールが多い中で、センターバックが肝になるのはわかっていたので、そこはうまく弾き返せたのかなと思います」と話した大野隆斗と笠原慶多の両センターバックも、チャレンジアンドカバーを徹底。青森山田にチャンスを与えない。

指揮官は前半の戦いぶりに、夏の中断期間に強調してきた『ボールを奪いに行くこと』の進化を感じていたという。「プレミアの前期は押し込まれるゲームが多くて、どうしてもある程度構えて守ることが多かったので、それだと選手も伸びていかないなって思ったんです」

「やっぱり『ボールを奪いに行くよ』というスタンスを全体が持つことが必要で、ボールを奪いに行くことによって、『いい守備』『いい奪い方』から『いい攻撃』につながるようなイメージを持たせながら夏は取り組んできたので、まだまだいろいろな物足りなさはありますけど、同じ方向を向いてやっているなという感じがします」

後半は逆に開始から1分経たずに失点を喫するも、49分に立野がハットトリックとなる3点目を叩き出すと、51分にはオツコロも4点目をゲット。「プレミアでは前期から試合に出させてもらって来た中で、全然結果が残せなかったので、初ゴールを決められて嬉しかったです」と語った期待の1年生ストライカーに、プレミア初得点が記録される。

ただ、以降は圧力を強めた青森山田に押し込まれる時間が増え、全体のラインも下がり気味に。ディフェンス陣も何とか凌ぎ続けていたものの、90+2分にはロングスローの流れから2失点目を献上。結果的に4-2で勝利を収めたが、芦田監督は終盤の時間帯のゲーム運びと、夏からの成長を感じたポイントを、同時にこう振り返る。

「4-1になったところで、『まあ逃げ切っていこう』みたいなマインドに少なからずなってしまうとは思うんですよね。そこからどうしてもボールに行けなくなったり、最後にゴール前を守ればいいみたいなマインドになったり、ラフな攻撃で終わっちゃったりとか、まだまだ課題はあるんですけど、この夏を通じてよく走るようになったし、自分たちの向上したところが、この2試合には少なからず出てきているんじゃないかなと思います」

一足飛びにすべてが解決するような、魔法のレシピなんてあるはずもない。4得点と2失点。明確な収穫と課題をきっちり消化し、みんなで飲み込んで、また刺激的なリーグ戦へと向かっていく。

圧巻のハットトリックを達成した昌平高校・立野京弥

昌平高校・オツコロ海桜は念願のプレミア初ゴールを記録

芦田監督が公立校の教員という立場を辞し、昌平の監督に就任して1年半近い時間が経過した。未知の世界と言っていい環境に身を投じ、週末の勝利を目指して、チームの輪を大きくしていく日常を続けてきた中で、選手たちとの関わり方のイメージを問うと、少しじっくりと考えながら、こう言葉を紡ぐ。

「ここに来た時とそんなに変わっていないです。でも、そこは指導者として一番難しいところだと思うんですよね。絶対に僕が出過ぎてはいけないけれど、提示しなくてはいけないものとか、しっかり教え込まなくてはいけないこともあるでしょうし、そこの部分のバランスは、我々にとっての永遠のテーマだと思います」

「彼らが自立して、自分たちでピッチの中で考える力を付けることは、間違いなく促していかなくてはいけないですし、それがすべてだと思うので、そういう意識を持って子どもたちに接しているつもりでいますね」

「でも、まだまだ足りないですよ。まだまだ“自分事”にならないヤツらもいますし、苦しい時に他責になるヤツらがまだまだ多いので、『そうじゃないよね』というところは彼らに問いかけながらやっていきたいですけど、そこはいつでも何かのきっかけで変わるものなので、ゲームをやりながら、自信をつけたり、逞しくなっていくんだろうなと思います」

2年生だった昨シーズンからレギュラーを務め、今季のキャプテンを務める飯島碧大は、芦田監督について「基本的に意外とあまり褒めない人ですね。でも、褒めてくれる時は僕らもやる気が出ますし、試合前のミーティングでも『行くぞ!』みたいな感じで雰囲気を引き締めてくれるので、凄くいい監督だなと思います」と言及。指揮官が携えている熱量は、確実に選手たちにも届いている。

プレミアでの現状は、降格圏内の11位と勝点5ポイント差の9位。ここからもシビアな時間が続いていくことは間違いないが、何より選手たちの成長を考えるうえでも、このステージで戦い続けることはマストの条件。改めて今後のリーグ戦へ向けて、確たる決意を口にする。

「先週も『ああ、また始まっちゃったな』みたいな感じでしたね。このプレミアは子どもたちも成長する場ですけど、僕らにとっても成長させてもらえる場だと思うので、だからこそ、彼らにいい準備を求めるだけではなくて、私自身も最善の準備を尽くした中で、いろいろなものを受け入れながら、また翌週に向かっていくサイクルを続けていきたいなと思っています」

地道な成長を遂げていくための種は、今の自分のすべてを懸けて挑む真剣勝負の中でだけ、見つけることができる。そこは選手たちも、指導者も、何ひとつ変わらない。悩んで、もがいて、壁にぶつかって、乗り越えて。昌平高校サッカー部監督。芦田徹。48歳がサッカー小僧たちに囲まれながら送っている青春は、まだまだこれからがメチャメチャ面白い。

 

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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