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サッカー&フットサル コラム 2026年9月8日

かつてのチームメイト同士で繰り広げたマッチアップ。渡辺瞳也と小林惺十郎がお互いに感じた成長の跡 高円宮杯プレミアリーグEAST 流通経済大柏高校×前橋育英高校マッチレビュー

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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激しいマッチアップを繰り広げた流通経済大柏高校・渡辺瞳也と前橋育英高校・小林惺十郎

JFAアカデミー福島U-15 EASTで、3年間という短くない時間を過ごしてきた2人の邂逅。どちらもこの日のマッチアップには、小さくないワクワク感を抱えていた。

「流経のフォワードの瞳也は中学時代に同じチームだったんですけど、高校に入ってからは何回もやられてきたので、やっぱり今回は『もう絶対にやらせたくないな』という気持ちが相当強かったです」(前橋育英高校・小林惺十郎)

「試合前には結構楽しみだなっていう感覚がずっとありましたね。アイツが出るかもしれないことは知っていましたし、もともとはチームメイトで、弱さとか強さもわかっていたので、楽しみなところが大きかったです」(流通経済大柏高校・渡辺瞳也)

プレミアリーグEAST第12節。2か月近い中断期間を経て、久々に帰ってきたリーグ戦の舞台。インターハイでは県予選決勝で敗退し、全国切符を取り逃がした流通経済大柏高校と、決勝での劇的な逆転勝利で群馬制覇を果たしたものの、全国では早期敗退を強いられた前橋育英高校が激突する好カードが、いきなり実現する。

アウェイゲームを戦う前橋育英のメンバーリストには、今季のリーグ戦初出場の選手名が書き込まれていた。「2月のケガがずっと長引いてしまって、前期はどの公式戦も出ていなかったですし、インターハイの全国メンバーにも入れなくて、悔しい想いをしてきた中でのチャンスだったので、今日はもう絶対に勝ってやろうと思っていました」

背番号19。小林惺十郎。1年時はルーキーリーグの全国制覇を主力として味わい、昨シーズンもハイレベルな先輩たちが居並ぶ中で、プレミアの開幕戦で途中出場するなど、高い評価を勝ち獲っていたが、最高学年となった今季は負傷の影響もあって、悔しい時間を送ってきた。

一方、ホームチームの流通経済大柏の最前線には、エースに成長したストライカーが当然のように配されていた。「もうここに3年間もいるので、今日の対戦で不思議な感覚はなかったですけど、1年生の時にルーキーリーグで戦った時には、少し不思議な感じがしました」

背番号9。渡辺瞳也。昨季はプリンスリーグ関東を主戦場に置きながら、高校選手権では大藤颯太と金子琉久の強力2トップを差し置いて、スタメンを奪取。最高学年となった今シーズンは、ここまでプレミアで9ゴールを挙げており、プロ注目のフォワードへと確実に成長を続けている。

小林には、どうしても負けられない理由があった。苦しいリハビリへ取り組んできた期間に、同じような境遇に置かれながらも、一緒に歯を食いしばって前を向いてきたチームメイトたちが、自分に大きな期待を掛けてくれていたからだ。

「箱田航大と加藤祐陸、松井龍星もずっとケガで離脱している中で、一緒に頑張ってきたんですけど、そういう子たちが『本当に頑張れ。オマエはケガ人の誇りだから』みたいに言ってくれたので、そういう想いに応えるための試合だと思っていました」

ようやく巡ってきた、自分の力を改めて証明する絶好のチャンス。やはりJFAアカデミーの同期に当たる松下歩夢も先発メンバーに名を連ねる中、並々ならぬ気合いを全身にみなぎらせ、19番のセンターバックは勝負のピッチへと足を踏み入れていく。

前半から攻勢に出たのは流通経済大柏。チーム全体から迫ってくるような強い圧力を感じながらも、小林は高校入学後も何度か対戦してきた渡辺の、今年に入ってから遂げてきた目覚ましい成長を確かに感じ取っていた。

「もう見ただけで身体の強さがわかりましたし、くっついてしまうと、そのままターンされてフリーで抜け出されてしまうので、ある程度の距離を保ちながら、シュートを打たれても絶対にブロックだけはしなきゃなと思っていました」

28分。左に流れながら渡辺が放ったシュートは、懸命に食らい付いた小林が果敢にブロック。シビアな局面で何度もマッチアップを繰り返す中、渡辺は「もともとヘディングは強かったですけど、パスの部分は成長したなと感じましたし、凄く楽しかったです」と、旧友との“再会”に胸を躍らせていたようだ。

試合は30分に流通経済大柏が先制するも、前橋育英が前半のうちに追い付くと、60分には前橋育英が逆転に成功。終盤に圧力を強めたホームチームだったが、85分と87分に続けて訪れた決定機を、どちらも渡辺がモノにできず。2-1でアウェイチームが勝点3を手繰り寄せる結果となった。

 

渡辺は勝敗の責任を、自身のプレーに求めていた。

「点を決められないフォワードは価値がないと思っているので、本当に悔しいですね。最後の2つのチャンスを決めていたら逆転で勝っていましたし、あれを決められないようではプロでも活躍できないと思います」

小林は勝利の要因として、真っ先に仲間のバックアップを思い出す。

「勝った瞬間はホッとしました。今まで試合に出られなくて悔しい気持ちもありましたし、もういろいろな感情がありましたけど、やっぱりまだケガしている仲間が応援してくれたからこそ、そういう人たちの分もという気持ちがあったので、彼らに『ありがとう』って言いたいです」

試合後は悔しい感情を抑えきれず、すぐにグラウンドで練習に励んでいた渡辺だったが、改めて自分たちがプレミアのステージで活躍することが、“後輩”たちに与える影響にも、想いを巡らせる。

「僕が中3の時には、結構アカデミーの先輩がプレミアで活躍しているイメージがあったので、『自分もその舞台で戦えたらいいな』と思っていたんですけど、こうやってアカデミーのチームメイトと戦うことで、後輩たちにもそういうモチベーションや強い気持ちを与えられたらいいなと思っています」

この日は勝利に貢献した小林も、また激しいポジション争いの中に身を投じることになる。ただ、ようやく掴みかけているチャンスは絶対に逃したくない。次節以降も含めて、残された高校生活に向けて、強い決意を口にする。

「やっぱり僕らは選手権優勝が目標なので、そこに向かって頑張っていくのはもちろんですし、プレミアリーグでは毎試合こういう熱いゲームや、強度の高いゲームができるので、そういった中では個人的にももっと成長していきたいなという想いはあります」

彼らが流通経済大柏のストライカーと、前橋育英のセンターバックとして、“後輩”たちにマッチアップする雄姿を見せられる機会は、あと1試合だけ残っている。このユニフォームを纏って挑む、最後の全国大会。高校選手権でお互いにピッチに立ち、真の決着を付けるため、渡辺も、小林も、それぞれの場所で、日々研鑽を積み続けていく。

 

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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