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サッカー&フットサル コラム 2026年8月31日

プレミアの舞台で遂げるネイビータイガーの鮮やかな成長。アビスパ福岡U-18・藤川虎三が目指すのは天下無双のセンターバック 【NEXT TEENS FILE.】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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アビスパ福岡U-18・藤川虎三

世代最高峰の舞台で苦しみながら、もがきながら、必死に目の前の試合を戦い抜いた経験は、チームとしても、個人としても、圧倒的な自信に繋がっている。キャプテンにも就任し、絶対的な主力として挑む今季の自分に、課し続けているハードルはとにかく高い。

「去年が僕らにとっては初めてのプレミアで、常に日本トップレベルの試合を経験してきた中で、なかなかうまくいかなかったですけど、何とか残留できましたし、半分ぐらいは下級生が出ていたこともあって、そのレベルを知っている選手が多くいるのは大きいなと思っています」

恵まれた体躯に驕ることなく、努力で身につけてきた守備力が、間違いなく開花しているアビスパ福岡U-18のディフェンスリーダー。藤川虎三は大きく変わりつつある周囲の環境にもブレることなく、天下無双のセンターバックを目指して、さらなる成長だけを見据えている。

この言葉を聞いた時、絶対に伸びていくだろうなと思った。

「自分より強度が高い選手や上手い選手とやった時の方が、勝敗がはっきりするところがあって、もちろん負けたら悔しいですけど、『もっと上手くならないとな』と思いますし、勝ったら『お、やれるな』と思えて、自分の自信にも繋がるので、相手の強度が高くなればなるほど、上手くなればなるほど、試合に向かうモチベーションも高くなっています」

福岡U-18としては6年ぶりのプレミアリーグを戦うことになった、昨シーズンの4月。ホームで開催された第2節の名古屋グランパスU-18戦に逆転負けを喫した試合後。もちろん悔しさは滲ませながらも、終わったばかりの90分間を振り返る藤川の目には、充実感にも近いような強い光が宿っていた。

高校1年時のクラブユース選手権では、途中出場となった初戦で決勝ゴールを叩き込むと、以降は一貫してスタメンを勝ち獲り、全国4強進出に大きく貢献。年末のプレミアリーグプレーオフにも2試合にフル出場を果たし、劇的なプレミア昇格をピッチの上で味わう。

2年生になった昨季も、キャプテンの樺島勇波とセンターバックコンビを組み、強烈なプレミアのアタッカー陣と丁々発止のバトルを展開。後半戦は2か月近い負傷離脱を強いられたが、復帰してからはより進化した姿を見せ付け、チームも残留に成功する。

迎えた今季はキャプテンに就任。「今年は個人個人がしっかり判断できますし、足元の技術もあるので、ヒサさん(久永辰徳監督)からも『しっかりボールを保持しながら、自分たちの時間を作って、シュートを打つ回数も増やして、得点数にもこだわっていこうと言われています」と話したように、グループとして攻撃的なマインドを携えて、プレミア復帰2年目のシーズンに足を踏み入れる。

すると、アグレッシブな姿勢が好調を呼び込み、前半戦は6勝1分け4敗と白星先行の結果を残し、首位のヴィッセル神戸U-18とは勝点3差の3位という好位置に。藤川も代表活動での欠場を除く10試合にフル出場。ディフェンスラインの中央で確かな存在感を放つ。

 

6月にはかけがえのない経験を積み重ねた。北中米ワールドカップを戦う日本代表のトレーニングパートナーも兼ねたU-19日本代表に選出され、1か月近い時間を現地で過ごす。実際にA代表の全体練習には、ポジションの関係で参加できた選手とできなかった選手がいたそうだが、藤川は複数回にわたって参加。トップレベルの代表選手と肌を合わせた体験から、小さくない刺激を得たであろうことは想像に難くない。

また、8月末から開催の『AFC U20アジアカップ中国2027予選』に臨むU-19日本代表にも、負傷者が出た影響で追加招集を受け、アジアの真剣勝負に身を投じることに。プレミア後半戦の開幕戦は欠場する見通しだが、着実に自身の評価も高め続けている。

前半戦の躍進について、5月の時点で藤川は2人の“プロ契約選手”の存在を挙げていた。「一番は(前田)陽輝と(武本)匠平の存在が大きいのかなと。プロの練習に行っている選手がそういう基準でやってくれると、ユースの選手もフィジカルの強さや、球際の強さを感じられるので、それが一番大きいと思います」

一方で、同期に対する複雑な感情を垣間見せたのも印象的だった。「陽輝と匠平が先にプロ契約している中で、ポジション的にも違うので、『なんでオレは?』とまでは感じないですけど、同じ年代の選手がプロになって、自分がなっていないのは悔しいですね」

そんな藤川も北中米遠征から帰国したばかりの6月末に、クラブからプロ契約の締結がリリースされた。ここから先は前田と武本と同様に、「プロサッカー選手」として見られることになるが、そんなことは百も承知。今まで以上に堂々と、猛々しく、ピッチのすべてを掌握してみせる。

『虎三=たけぞう』という特徴的な名前には、両親のこんな想いが込められているという。

「もともと野球をしていたお父さんが阪神のファンだったので、『虎は動物界でも強い動物だから、強い男になれ』という意味で“虎”を入れたと聞きました。自分には兄と姉がいて、兄も“虎”に“二”と書いて、『とらじ』と読むんですけど、僕にも“虎”という字を付けたかった中で、運よく『たけ』という読み方があったらしくて、それなら使おうという流れで、“虎”に“三”と書いて、『たけぞう』という名前になりました。自分でも気に入っています」

眩い成長を遂げる過程の中で、自らが置かれている立ち位置も着実に変化している。だが、それはきっと望んできたポジティブなもの。それならば行けるところまで駆け上がり、もっと高い場所から眺める景色を掴み取ってやる。福岡U-18を逞しく牽引する、心優しきネイビータイガー。藤川虎三がこれから足を踏み入れていく修羅の世界には、自分次第で引き寄せられる無限の可能性が広がっている。

 

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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