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サッカー フットサル コラム 2024年6月4日

雑草魂も宿す生粋の10番。「あっち向いてホイ」に優れた異才【モーリスレベロトーナメント U-19日本代表・大関友翔(福島ユナイテッドFC)】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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U-19日本代表・大関友翔

『サッカー版・あっち向いてホイ』の才覚に優れていると思う。身体の向きとは関係なく、足首の角度を変えるだけで、自らの頭で弾き出した最適のパスコースにボールを通すことができるからだ。

本人も「身体の向きで相手を惑わすというのは、もう小さいころからパスを出す時に意識してやってきたことですね。パスを受ける側もわからないというのが理想ではあるので、ピッチの全員を騙すには身体の向きから考えていかないといけないですから」ときっぱり。その視野の広さと正確な技術は、U-19日本代表の中でも群を抜いている。

決してエリートコースを歩いてきた類の選手ではない。まだ小学生のころには、川崎フロンターレのエリートクラスのセレクションを受けたものの、1次審査で不合格。厳しい現実を突き付けられたという。

だが、中学時代にプレーしていたFC多摩ジュニアユースで持ち前のテクニックに磨きを掛けると、今度はフロンターレからオファーを受ける格好でU-18へと入団。高校3年時にはチームの悲願でもあったプレミアリーグでのプレーを経験し、そのままトップチームへ昇格してみせるのだから、携えているリバウンドメンタリティも実に逞しい。

ルーキーイヤーだった昨シーズンは、プロの壁に苦しんだ。とりわけ中盤にはハイレベルな“先輩”たちが揃っており、公式戦の出場はわずかにACLの1試合のみ。同期の高井幸大はJ1でスタメンを張り、U-20ワールドカップでも活躍していた一方で、悔しい1年を過ごすことになる。

迎えた2024年シーズンは、J3の福島ユナイテッドFCへと期限付き移籍。昨季はフロンターレでコーチを務めており、大関の特徴も熟知した寺田周平監督の下でレギュラーを掴むと、本来の実力を遺憾なく発揮。3月にあった代表活動期間以外はフル稼働しつつ、ここまでのリーグ戦では12試合で3ゴール2アシストと、新天地で改めて自身の価値を証明し始めている。

早生まれということもあって、U-19日本代表の中では年長者。今回のモーリスレベロトーナメントでも10番を託されており、チームのタクトを振るう役割が期待されていることは言うまでもない。「中学生の頃は世代別代表なんて口に出せるようなプレーヤーではなかった」という“雑草魂”も持ち合わせている、稀有な攻撃センスをその身体に宿した異才。中盤を自由に泳ぎ回るような大関友翔のパフォーマンスが、今大会でも世界の列強相手にどこまで通用するのか、是非注目してほしい。

川崎フロンターレU-18時代の大関友翔

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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