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ターコフスキのシュートブロックは世界最強であり、プレミアリーグの歴史にその名を刻む。頼りになる男だ
優勝争いはマンチェスター・シティとアーセナルに絞られた。アストンヴィラは最終節を待たずにチャンピオンズリーグの出場権を獲得し、バーンリーとシェフィールド・ユナイテッドは1シーズンでチャピオンシップ(実質2部)に降格する。
プレミアリーグの趨勢が見えてきた。
個人タイトル争いも同様だ。得点王は十中八九シティのハーランドだ。昨シーズンほどの出来ではなかったものの、絶好調時の破壊力は規格外。相手DFが無力を感じるほどの凄みを漂わせつつ、37節終了時点で27ゴールを記録している。
アシストキングは九分九厘オリー・ワトキンズ(アストンヴィラ)。13ポイントとは2位に3差。残り1試合で逆転できる数字ではない。さらに彼は20ゴールを挙げ、クラブの得点に43・42%も関与している。28歳。遅咲きの大輪は香しい。
また、10アシストで2位につけているモーガン・ギブズ=ホワイトも称賛に値する。所属するノッティンガム・フォレストは降格圏で苦しんだが、この男の卓越した状況判断と精度の高いキックは本物だった。来シーズンはステップアップ。トップ10のクラブに移籍する公算が非常に大きい。
さて、GKにゴールデンクローブ(最多クリーンシート)というタイトルがあるように、からだを張りつづけるDFにも個人賞を設けられないだろうか。
54本のシュートブロックはリーグ最多。2位のクレイグ・ドーソン(ウォルヴァーハンプトン)に15本もの大差をつけている。試合出場時間は37節時点のフルマークである3330分に1分足りないだけだ。ディフェンシヴサードで命を削るハードワークを見せ、エヴァトニアンの尊敬と信頼を集めたあの男である。
ジェイムズ・ターコフスキだ。
「やられた」
エヴァトニアンが失点を覚悟した瞬間、全身に闘志をみなぎらせてシュートブロック。自陣はもちろん、相手ゴール前でも制空権を握り、いざとなったら乱闘も辞さない。
この姿勢はデータにも顕著に表れている。バーンリーでレギュラーに定着した18/19シーズン以降の6年間は、プレミアリーグ全試合先発フル出場が二度、そのほか4年間もつねに30試合以上ピッチに立ち、プレー時間も3000分以上という凄まじいばかりのタフネスぶりだ。
しかもターコフスキは、バーンリーでもエヴァートンでも降格の危機と背中合わせになりながら──の数字である。メンタルも非常に強い。
キャリア合計で388本を数えたシュートブロックは歴代最多。おそらく来シーズンの前半には400本を記録し、その名を歴史に深く深く刻むだろう。
永年にわたってからだを張りつづけても壊れない頑健な肉体は、まさしく“ダイハードマン”(不死身の男)。ターコフスキが、当代きってのCBであることに疑いの余地はない。
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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