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もっとも、準決勝の市立船橋戦では慎重すぎた結果1対1の引き分けに終わり、辛うじてPK戦での勝ち抜きとなってしまった。この試合は、両者ともにシュート数が1桁だった(市立船橋が7本、青森山田が5本)。両者が勝利にこだわりすぎて慎重な試合運びを選択した結果だった。
青森山田は準決勝の市立船橋戦、PK 戦で勝ち上がった
その点で、「結果」だけにこだわらず、真っ向からの勝負を挑んで決勝に進出してきたのが近江高校だった。
今大会で3度目の全国大会出場という近江だったが、前回は1回戦敗退。初出場の第99回大会では2回戦に進出したものの、1回戦はPK勝ち。つまり、全国選手権では未勝利の無名校だった。
2023年の全国高校総体でも1回戦敗退に終わっており、プリンスリーグ関西で2位に入ってプレミアリーグ参入戦に挑んだものの、鹿児島城西にプレミアリーグ昇格を阻まれたチームだった。
だが、全国選手権に入ると、確かな個人技を生かして勝ち上がってきた。
2回戦、3回戦ともにPK勝ち。ともに、前半は1点リードを許すものの、後半追いついてPK戦に持ち込んでの勝利。神村学園(鹿児島)との準々決勝では前1対2でリードされたものの逆転勝利。「前半は眠っている」とも言われたが、いずれも後半の強さが目立つ勝ち上がりだった。
10番を付けた金山耀太を前半は3バックの一角で起用し、後半から2列目(左のウィングバック)に上げて攻撃のギアを上げるというのが戦い方のパターンだったが、準決勝の堀越(東京A)戦ではスタートから金山を2列目で起用。前半のうちに3点を奪って勝利をもぎ取った。
準決勝近江対堀越、近江10番キャプテン金山耀太が3点目を決めゴールパフォーマンス
無名校が、戦いを重ねるとともに結束力を強め、自信をつけてくるというのは、こうしたノックアウト・トーナメントではよく見られるパターンだ。
その裏打ちとなったのは、ボールテクニックだった。
強豪校ですら圧倒された青森山田のプレッシングだったが、近江の選手たちはそのプレッシングを恐がることなく、うまくかわしてボールをつないで見せた。
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