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こうした変化はヨーロッパでも先行して起こっていた。
今から10年ほど前にはバルセロナの「ティキタカ」が一世を風靡した時代があったが、ここ数年でヨーロッパのサッカーはすっかりカウンタープレスの時代に入っている。つまり、現象面だけを見れば「日本のサッカーもヨーロッパの潮流に乗っている」かのように見えるのだ。
そして、ファイナルシーズンの戦いを見ていて、フットサルでも同じように堅い守備をベースに相手陣内でボールを奪って一気に攻める、カウンタープレスに近いやり方が広がってきているように感じたのだ。
たとえば、ファイナルシーズンの初戦。立川アスレティックFCがバルドラール浦安に逆転勝利した試合。
前半から立川がボールを持つ時間は長かったが、浦安がしっかり相手をマークして、「はめて」しまった。そのため、立川はなかなか可能性のあるシュートを撃てない状態が続いた。
ところが、後半に入ると、浦安がボールを持った瞬間に立川が前半以上に速いプレスをかけてボールを奪い、また、奪ったボールを素早く展開して浦安の守備を攻略して、後半だけで5ゴールを奪って5対2で勝利したのだ。
プレスの掛け合いで前半は浦安が優位に立ち、後半は逆に浦安がボールを持った瞬間を狙った立川の守備からのスピードのあるカウンタープレスが効を奏した。そんな試合だった。
あるいは、ペスカドーラ町田とシュライカー大阪の試合では、前半は町田が自陣に入ったあたりに守備網を敷いて大阪の攻撃を封じて2点を先行。後半は2点のリードをアドバンテージにして、試合をコントロールしながらそのまま勝利するかと思われたが、30分を過ぎると疲れが出た町田の選手の足が止まり始め、大阪が守備網の裏のスペースを利用して1点を返し、さらに終盤に猛攻をかけ、町田が辛くも逃げ切った。
いずれの試合も、パス回しやドリブルのテクニックというよりは、プレッシングの強度や展開の速さが勝負を分けたように見えた。
今でも、名古屋オーシャンズの選手たちのテクニックやパスのダイナミックさは健在なのだが、他のチームの守備強度が上がったため、かつてのように名古屋がパスを回すだけではゴールに直結しなくなった。それが、名古屋苦戦の原因なのかもしれない。
つまり、J1リーグでカウンタープレスが発展したために川崎フロンターレが簡単には勝てなくなったのと、状況が似ているのではないかと思われるのである。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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