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だが、柏の攻勢に押し込まれた川崎は、チャンスを作るどころか、ボールをキープすることすらできなくなってしまった。
柏がこうした展開に持ち込めた最大の功労者は、細谷と山田の若きツートップだった。
22歳の細谷は今シーズン、フィジカル面で成長し、前線でDFと競りながらボールを収めたり、DFとDFの間を強引に突破する力強さを身に着けた。一方、24歳の山田はスピードを生かして相手DFラインの背後を狙う選手だ。
天皇杯決勝 川崎フロンターレ vs 柏レイソル
柏はこの2人のトップに意識的に長いボールを入れて、2人は相手のラインの裏を狙い続けることで川崎の守備ラインを押し下げることに成功。同時に、前線でプレスをかけ続けて、守備にも大いに貢献した。
最終ラインが下げられてしまったことで、川崎は中盤で選手間の距離が開いてしまった。そのため、川崎はいつものように短いパスをつなぐことができなくなってしまったのだ。そして、パスを回せなくなったため、柏にボールを回収され、再びトップに長いボールを入れられて、川崎は最終ラインを上げることもできなくなってしまった。
川崎の鬼木達監督は、「前半は我慢することしかできなかった」と振り返った。
そして、川崎は中央を固めて実際に我慢しきってみせた。
柏は前半だけで11本のシュートを放ったのだが、決定的なチャンスとしては先ほど触れた椎橋のヘディングシュートくらいのもの。あとは、遠目からのあまり可能性を感じさせないミドルシュートだったり、川崎のDFにブロックされるばかりだった。
柏はキックオフ直後から、攻守ともにかなりアグレッシブに戦っていた。だから、川崎サイドとしては「無失点で切り抜ければ、いずれ柏の足が止まる。そこで仕留められるだろう」という気持ちもあったはずだ。
だが、柏の選手たちは後半になっても足を止めることはなかった。
川崎が攻める形を作り始めてからも、柏も常に攻撃的なマインドを持ち続け、激しいボールの奪い合い、そして一進一退の攻防が続くことになる。
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