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なにしろ、1995年の南アフリカ大会で、日本はニュージーランドを相手に17対145という記録的な大敗を喫していたのである。
サッカーはアジア予選突破が難しかったし、ラグビーの方は出場はできても本大会ではなかなか勝てない時代だったのだ(ちなみに、ニュージーランド戦が行われたブルームフォンテーヌは2010年のサッカー・ワールドカップで日本が初戦で勝利したカメルーン戦合の会場だった)。
それから25年が経過して、景色は大きく変わった。
ラグビーの日本代表は2015年のイングランド大会初戦で南アフリカに勝利するという“奇跡”を起こし(会場はブライトン。現在、プレミアリーグで三笘薫が活躍しているスタジアムだ)、2019年大会ではプール戦を全勝で突破して準々決勝進出を果たしている。
一方、サッカーの日本代表は、フランス大会以後全大会に出場。その間、ラウンド16に4度も進出し、昨年のカタール大会では優勝経験国のドイツとスペインを連破した。
25年前は、サッカーでもラグビーでも日本は「東洋からの客人」扱いだった。だが、今では日本はサッカーでもラグビーでもそれなりにリスペクトされる存在に成長したのだ。
ところで、25年前のことを思い出すのは両大会で同じスタジアムが使用されることが多いからだ。サッカー強国では普段サッカーで使われているビッグ・スタジアムがラグビー・ワールドカップで使われるし、逆にラグビーが盛んな南アフリカでのサッカー・ワールドカップではヨハネスブルクのエリス・パークなど有名なラグビー場が会場となった。
しかし、意外にも、サッカーとラグビーの両方で強いという国は少ない。
ドイツも、スペインも、ブラジルもラグビー・ワールドカップは無縁であり、両方のワールドカップで優勝を経験しているのはイングランドだけ(サッカーもラグビーも1回だけ)。2019年のラグビー、2022年のサッカーの両方の直近のワールドカップでともに決勝トーナメント(サッカーは16強、ラグビーは8強)に進出したのはイングランド、フランス、オーストラリア、日本の4か国だけなのだ。
つまり、日本は今ではサッカーもラグビーも一定の力を持つ「フットボール・ネーション」に成長したのである。
果たして、ラグビーの日本代表が2大会連続決勝トーナメント進出という快挙を達成できるかどうか……。9月29日(日本時間30日)のサモア戦、10月8日のアルゼンチン戦が注目される。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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