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そして、森保監督は前半を4−2−3−1で戦ってリードして折り返すと、後半は5−2−3(または3−5−2)にシステムを変更した。
この変更はドイツ戦だけを考えれば不要だった。DFを増やしたことで、日本代表の重心が下がってしまい、前線でプレッシングをかけることも難しくなり、ドイツが攻め込む回数が明らかに増えた。
だが、このシステム変更は“テスト”としては有意義だった。
試合中にシステム変更をした場合に選手たちがどのように対応できるかのテストである。
そして、実際、選手たちは最終的にはシステム変更に対応してチームを立て直すことができた。
そして、トルコ戦は試合間隔が中2日だったことを逆手にとって大幅にメンバーを変更。代表での経験が浅い選手たちを起用。伊藤敦樹が先制ゴールを決め、初招集の毎熊晟矢も素晴らしい攻撃参加を見せた。
このように、9月の連戦は強豪国相手にそれぞれ4ゴールを決めて連勝しただけでなく、新戦力の起用やシステム変更のテストなど、非常に有意義な2試合となったのである。
ちなみに、課題として残ったのは伊藤洋樹が2試合ともフル出場した左サイドバックの人材難(三笘薫という武器を生かすためにも重要)。
そして、もう一つが「ワントップ問題」だ。
ドイツ戦では上田綺世がポストプレーも含めてとても良いパフォーマンスを示したが、今のメンバーではポスト役をこなせるのは上田以外にいない(上田はこの試合で負傷し、残念ながらトルコ戦ではチームを離脱してしまった)。大迫勇也や南野拓実の招集を含めて、今後考えるべき最大のポイントだ。
日本代表は今後は10月にカナダ、チュニジアとのホームゲーム。そして、11月にはワールドカップ2次予選の2試合をこなし、1月のアジアカップでタイトル奪還を目指すことになる。
森保監督は、5年前もそうだったが、アジアカップが終わるまでは大きなメンバー変更はしないだろう。年内の4試合では、現在のメンバーによるチームの熟成とバックアップの強化が課題となるだろう。4試合を森保監督がどのようにマネージメントするのか、注目したい。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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