一年前もエムバペは移籍市場を騒がせるだけ騒がせて・・・

強硬姿勢でパリ脱出を図るエムバペだが、マドリーとの密約説もささやかれはじめている

もう、引いちゃう……。

アル・アハリがキリアン・エムバペに提示した年俸は、実に7億ユーロ（1085億円）である。

月収に換算すると5833万ユーロ（約90億4115万円）、週給は1330万ユーロ（約20億6150万円）、日給で192万ユーロ（約2億9760万円）となり、時給計算では79万167ユーロ（約1億2248万円）だ。

時給で1億円を超えるだとっ!?　バカも休み休みいってくれたまえないか。

ちょっとちょうだいよぉ。

パリ・サンジェルマンは怒っている。7月19日のコラムでも報じたように、エムバペ側の要求が理不尽だからだ。

「2024年6月に満了を迎える現行の契約は延長せず、フリートランスファーの権利を得る」

前触れもない発言だっただけに、パリSGのナセル・アル・ケライフィ会長は怒髪天を衝いた。

「契約を更新しないのなら、この夏に出ていけ。ただし、われわれが提示する移籍金を満額支払えるクラブに限る」

ケライフィの要求に応えられるクラブはアル・アハリだけで、彼らはパリSGが提示した3億ユーロ（約468億円）もの移籍金を支払える。そのうえで年俸7億ユーロも出すのだから、驚異の経済力だ。

そもそもエムバペは、一年後にレアル・マドリーへの移籍を希望するに違いない。短期間で去っていく選手に移籍金と年俸を合わせて10億ユーロ（約1550億円）!?　

もう、引いちゃう……。

それでもパリSGに近い筋から、チェルシー、マンチェスター・ユナイテッド、トッテナム、バルセロナ、インテル・ミラノが問合せ、との一報が届いた。

チェルシーはスリム化が順調に進み、ユナイテッドはラスムス・ホイルンドを獲得した。また、トッテナムとバルセロナ、インテルの経済力ではエムバペに手を出せない状況をふまえれば、近い筋の情報はおとぎ話と断言できる。

したがって交渉相手はアル・アハリに限られ、エムバペはサウジアラビア行きを “1000％” 拒否する。

『UNFP』（フランス・プロフットボール選手協会）が指摘したように、今回の件に関するパリSGのスタンスはモラルハラスメントが疑われ、ワークハラスメントにも当てはまるかもしれない。

ただ、意見をすり合わせず、自分の希望だけを通そうとするエムバペの姿勢も責められてしかるべきだ。

エムバペとパリSGの愛憎劇はどのようなエンディングを迎えるのだろうか。突如として浮上したマドリーとの密約説には、“あの女性” が絡んでいるのだろうか

一年前もエムバペは、移籍市場を騒がせるだけ騒がせながら、シレッと残留している。あまりにもお粗末エンディングだった。

拙作は、人々の心に響かない。

文：粕谷秀樹