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相手のアタッカー陣を零封せよ!堅守を司る守備者の矜持。横浜FCユース×名古屋グランパスU-18 マッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグWEST第10節】
土屋雅史コラム by 土屋 雅史横浜FCユース・西方優太郎
神奈川県立保土ヶ谷公園サッカー場でのWEST開催も、今節で2試合目を迎える。東日本の参加チームが増加したことに伴い、昨シーズンまでEASTに所属していた横浜FCユースは、今シーズンからWESTへと参入。プレミアリーグで名古屋グランパスU-18と対峙するのは、もちろんこれが初めてとなる。
この一戦のホームチームに当たる横浜FCユースは、8試合を消化して1勝4分け3敗。現状は降格圏の11位に沈んでいる。アウェイで戦った第3節の東福岡高校戦がここまで唯一の白星。第6節の大津高校戦では、2点のビハインドを逆転まで持っていったものの、そこから再び引っ繰り返されて3-5と敗戦。第7節のジュビロ磐田U-18戦は、1-3とリードされた86分から追い付く逞しさを披露したが、前節の神村学園高校戦では89分に同点弾を許し、久々の勝利を目前で逃す格好となった。
一方の名古屋グランパスU-18は、ここまで9試合を終えて4勝3分け2敗の3位。既にJ1でも出場機会を得ている貴田遼河と、トップ昇格の決まった鈴木陽人は欠場する試合が続き、2種登録の選手も試合によってはメンバー入りしないこともあり、古賀聡監督もさまざまな選手を起用してきた中で、チーム全体の底上げも図りながらも、この結果と順位を残していることは、グループの底力をきっちり見せていると言っていいだろう。
今回のゲームで注目したいのは、両チームの守備陣を支える3年生の主力選手だ。まず、横浜FCユースでフィーチャーしたいのはGKの西方優太郎。今シーズンもここまでフル出場を続けている守護神は、1年時のプレミア開幕戦からスタメンを任されてきた有望株。186センチ、91キロという恵まれた体格を誇りながら、俊敏性も高く、繰り出すファインセーブでチームに勢いをもたらせるタイプだ。
もともとは年代別代表の常連。U-15日本代表では福井大次郎(横浜F・マリノスユース)や青谷壮真(セレッソ大阪U-18)、U-16日本代表では小林将天(FC東京U-18)や小池朝陽(サガン鳥栖U-18)と世代有数のライバルとともにプレーしてきた。プレミアでのハイパフォーマンスは最近遠ざかっている代表復帰へのアピールにも繋がるはず。西方のチームメイトを乗せるビッグプレーがどれだけ飛び出すかは、間違いなく勝敗のカギを握ってくるだろう。
横浜FCユースのキャプテンを務める林賢吾も、能力の高いセンターバックだ。チームが3バックの布陣を敷いていた昨シーズンは、主に右のセンターバックや右のウイングバックを担当。機を見た攻撃参加も印象的だったが、今季は4バックのセンターバックが主戦場。正確なビルドアップはもちろん、球際での激しさも兼備しており、その振る舞いからディフェンスリーダーとしての自覚が漂う。
好きな選手にセルヒオ・ラモスを、自身のライバルには昨シーズンのキャプテン・池谷銀姿郎(現・筑波大)を挙げているあたりに、その強気なメンタリティも滲む。チームは前述の東福岡戦以外に無失点で終わった試合がなく、守備陣の奮闘は勝ち点3奪取の絶対条件。6試合ぶりの勝利、そしてホーム初勝利を手繰り寄せるためにも、西方と林がチームにもたらす安定感には大いに期待したい。
名古屋グランパスU-18で活躍が望まれるのは、揃って2種登録選手としてトップチームデビューを飾っているセンターバックコンビだ。5月24日に開催されたルヴァンカップ・ヴィッセル神戸戦でスタメンに抜擢されたのは長田涼平。吉田温紀、河面旺成と組んだ3バックの右に入って、90分間フル出場。試合は0-1で敗れたものの、その堂々としたプレーぶりにはサポーターも頼もしさを感じたのではないだろうか。
中学時代は刈谷ジュニアユースでプレーしており、フットサルで日本一も経験した長田は、中村直志スカウトに誘いを受けてグランパスに入団した経緯も。「1対1では負ける気がしません!」と力強い言葉も残すなど、良い意味で纏っている自信も好印象。より一層の飛躍を義務付けられている存在であることは、あえて言うまでもない。
長田と最終ラインでコンビを組むのは、今シーズンのゲームキャプテンに指名されている大田湊真だ。「プレーも発信も含めて高い基準を自分が示したいと思っています」と言い切るなど、チームの中心としての自覚も十分。いつもニコニコと笑顔を見せる、明るいキャラクターも微笑ましい。
前述のルヴァンカップ・神戸戦では大田も84分から登場し、短い時間ではあったがトップチームでの公式戦デビューを果たしている。チームが掲げる『ステージ奪取』、すなわち「1人1人がより上のステージで活躍するチャンスを奪い取る」というスローガンを、まさに体現する存在でもある長田と大田が、このプレミアのステージでどれだけ違いを見せてくれるのかも、彼らの今後のさらなる成長への期待も込めて、このゲームの大きなポイントに挙げておきたい。
夏の中断までは、この試合も含めてあと2節。両者とも勝ち点3を積み上げていくことは、前半戦を良い形で締め括る上でも必要不可欠だ。初夏を彩る保土ヶ谷決戦、要注目。
ゴールを決めて喜ぶ名古屋グランパスU-18・大田湊真(5番)
文:土屋雅史
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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