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そして、カタールの大会では決勝戦もPK戦に持ち込まれて、アルゼンチンの優勝が決まることになった。
日本が敗れたから言うわけではないが、「PK戦」というサッカーの本質とは異なった方式で勝敗を決める(正確に言うと、試合はあくまでも引き分け。PK戦は次ラウンドに進むチームを決めるためのものである)のはやはりどこか釈然としない。
PK戦についての批判はいつの時代にもあるが、結局、「それ以上の方法がない(抽選よりはマシでしょ?)」というのでPK戦方式は定着しているのである。
しかし、なんとかしてPK戦ではない方法で決着をつける方法を考えるべきだろう。最善なのは再試合なのだが、これはスケジュール的に難しい(しかし、決勝戦くらいは再試合にできないものだろうか?)。
たとえば、ワールドカップのラウンド16だったら、試合が引き分けに終わった場合には1位通過のチームの勝ち抜きとすべきではないか。そして、準々決勝では前のラウンドがPK勝だったチームより、前のラウンドで90分で勝ったチームが優先されるべきだ(つまり、ラウンド16ではクロアチアではなく「1位通過」の日本が勝ち抜けるべきだし、準々決勝ではラウンド16で韓国を4対1で破っているブラジルが優先されるべきだった)。前ラウンドまでの結果を考慮してもどうしても決着がつかない場合はPK戦を行えばいい。
そして、高校サッカーに関しては、まず、先ほどもの書いたように、やはりPK戦に突入する前に延長戦くらいは行ってほしい。そして、やはり前のラウンドでの結果を反映させることもできるだろう。
前橋育英も大津も、ともに3回戦では80分で決着をつけていたが、2回戦では前橋育英が四学香川西相手に80分決着だったのに対して、大津は浜松開誠館相手に引き分けてPK戦勝ちだったので、準々決勝で引き分けた場合は前橋育英の勝利とすればいい。
引き分けの場合にどちらが次のラウンドに進むのかが予め決まっていると、有利なチームが守備的になってしまうかもしれないが、不利な側は必死の攻撃を見せるだろうから、試合自体は白熱する。少なくとも、PK戦狙いの戦いというのは不可能になる。
いろいろ書いてきたが、PK戦で準決勝進出の権利を勝ち取った大津は現行のレギュレーションの中で正当に勝ち上がってきたのだから、批判すべきことはまったくない。国立競技場という舞台で存分に戦って、昨年のリベンジを狙ってほしいだけである。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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