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サッカー フットサル コラム 2022年9月14日

クラブ内の立場が危うい者をイングランド代表に選ぶべきか

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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序列が下がったハリー・マグワイア

序列が下がったハリー・マグワイア

チェルシーのグレアム・ポッター監督招聘は、イングランド代表に少なからぬ影響を及ぼすのではないだろうか。

昨シーズン、ポッターはブライトンでマルク・ククレジャを重用した。3-4-2-1の左ワイド、もしくは4-3-2-1の左サイドバックに起用し、ハイテンポなポゼッション・フットボールの中心的な役割を託している。

その甲斐あって、ククレジャは同僚、サポーターが選ぶクラブMVPをダブル受賞。ヘタフェから移籍早々、強烈なインパクトを残した。

また、チェルシー移籍後も左ワイドの定位置をほぼつかみ、トーマス・トゥヘル前監督のもとでも重要な存在だった。当然、ポッターはククレジャを信頼するに違いない。

ポジションを争うベン・チルウェルは、どのような扱いになるのだろうか。現時点ではククレジャに次ぐ二番手。エリザベス女王の崩御やカタール・ワールドカップなどで、今シーズンは異例すぎる過密日程だ。チルウェルも出場の機会には恵まれるはずだが、クラブ内の序列はプライドを満たさない。

一方、コナー・ギャラガーはイングランド代表のギャレス・サウスゲイト監督に、ふたたびアピールする機会が訪れた。トゥヘルのお気に召さず、「マイボールの際になぜ仕掛けないのか。パスばかり選択するな」と叱責されていたギャラガーにとって、監督交代はまたとない好機である。

「豊富なアイデアを持ち、選手の個性をよく理解している」

あのマルセロ・ビエルサ(前リーズ監督)でさえ、ポッターの手腕を高く評価していた。ギャラガーの特徴はボックス・トゥ・ボックスだ。この部分を、トゥヘルは見誤った感もある。

さて、ポッター云々ではなく、マンチェスター・ユナイテッドではハリー・マグワイアとルーク・ショーの序列が下がった。マグワイアはリサンドロ・マルティネス、ラファエル・ヴァランに次ぐセンターバックの三番手であり、左サイドバックのショーは、タイレル・マラシアの控えに甘んじている。

エリク・テンハフ監督がチーム全体のスピードアップを求めている現状を踏まえると、クラブ内の序列が逆転するとは思えない。

また、マンチェスター・シティのジョン・ストーンズも優先順位は低く、現時点で三番手のCB。新戦力のマヌエル・アカンジが即座にフィットすれば、その立場はより怪しくなる。

右サイドバックは質量ともに安泰だ。カイル・ウォーカー(マンチェスター・シティ)、リース・ジェイムズ(チェルシー)、トレント=アレクサンダー・アーノルド(リヴァプール)、キーラン・トリッピア(ニューカッスル)とタイプの異なるタレントを揃え、サウサンプトンのカイル・ウォーカー・ピーターズが今シーズンはキッレキレだ。

チルウェル、マグワイア、ショー、ストーンズ……。サウスゲイトが信頼していた4選手が所属クラブで降格した。GKジョーダン・ピックフォード(エヴァトン)もプレミアリーグ6節のリヴァプール戦で大腿部を負傷し、全治は早くて10月中旬。カタール・ワールドカップの開幕まで一か月しかない。

イングランド代表を長らく支えてきた主力を支持するのか、今シーズンのパフォーマンスを重視するのか。サウスゲイトは難問を抱えている。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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