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レッドカードを提示されたワン=ビサカ
一切の言い訳が許されない、惨めな敗北だった。
ロープにもたれかかるだけで反撃しないボクサーは、対戦相手のパンチでダメージが蓄積し、最終的にはリングに沈む。チャンピオンズリーグ第1節に臨んだマンチェスター・ユナイテッドも、60分近くひとり少ないハンデを負ったとはいえ、ヤングボーイズの猛攻に右往左往するだけだった。
さて、疑問点は山ほどある。なぜ、ラファエル・ヴァランを先発で起用しなかったのか。後半から出場したのだから、コンディションに問題があったわけではない。プレミアリーグでも巧みなカバリングと天性のスピードで、十分すぎるほどの存在感を示している。
ドニー・ファン・デ・ベークの中盤センターは、公式戦で一度も試していない。彼は二列目中央、もしくは中盤インサイドが適性と考えられる。中盤センターの適性があったとしても、実戦で多くのテストを重ねる必要があった。
最終盤にアントニー・マルシャルを起用する意味が分からない。彼に代わってベンチに退いたフレッジは疲れていなかった。押し込まれているにもかかわらず、中盤を外してFW投入? ましてマルシャルは、ボールを追わないし空中戦で競り合いもしない。
オーレ・グンナー・スールシャール監督の人選に次々と疑問が噴き出てくる。明確な方法論を持たず、選手のコンディションに委ねるタイプであるため、ユナイテッドは試合ごとに好不調が激しい。
しかもヤングボーイズ戦は、35分にアーロン・ワン=ビサカが退場処分。10人の闘いを余儀なくされ、方法論に欠けるスールシャールには難しい展開になった。
そして後半から用いた基本陣形が5-3-1。最終ラインに人はいるものの、両ウイングバックがなぜか中央に絞っているため、大外のレーンはがら空きだ。ひとり多いヤングボーイズの攻勢は当然であり、後半追加タイムにジェシー・リンガードが決定的なミスを犯して、ユナイテッドは万事休した。
4勝7敗・18得点・17失点。スールシャール体制下のCLは惨憺たる成績だ。クリーンシートも昨シーズン第2節のライプツィヒ戦(5-0)だけだ。ヴァランの加入でDFラインの質は向上するはずだが、中盤の守備が脆すぎる。来年1月の移籍市場で、ブライトンのイブ・ビスマを獲得すべきかもしれない。
そして右サイドバックも見直した方がいい。定位置を争うライヴァルがいないため、ワン=ビサカは危機感を欠いている。退場になったタックルも、雑なボールコントルールが起因していた。いうなれば自業自得。
また、パスを受ける際に前を向かない(向けない?)ため、ポゼッションのリズムが停滞する。ボール扱いやクロスの精度でワン=ビサカを上まわる、ディオゴ・ダロの先発を考えるときがやって来た。
ユナイテッドが所属するグループFには、アタランタとビジャレアルも含まれている。総合力ではヤングボーイズをはるかにしのぐ好チームだ。
「われわれは多くのミスを犯したが、残る5試合で10~12ポイントは取れる」
切り替えが早いのか、現実を直視していないのか。スールシャールのコメントが、やけに虚しい。
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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