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サッカー フットサル コラム 2021年6月25日

マドリーが市場を混乱に陥れた!最大の被害者はエヴァートン

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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ドミニク・カルヴァート=ルーイン

ドミニク・カルヴァート=ルーイン

ヨーロッパ選手権はラウンド16に進出するチームが決まり、コパ・アメリカもグループステージの趨勢が見えてきた。また、UEFAが2021―22シーズンの主催大会からアウェーゴールのルールを撤廃。フットボールの世界は休みなく動いている。

移籍市場も活発化してきた。アルゼンチン代表のニコラス・ゴンサレスがシュツットガルトからフィオレンティーナに新天地を求め、マンチェスター・ユナイテッドはジェイドン・サンチョ(ドルトムント)の獲得が、いよいよ近づいてきた。さらにACミランのジャンルイジ・ドンナルンマは、現地時間6月25日にパリ・サンジェルマンのメディカルチェックを受ける予定だ。

さて、レアル・マドリーが市場を混乱に陥れている。なにしろ、まさかのカルロ・アンチェロッティ監督招聘だ。ジネディーヌ・ジダン前監督のもとで構想外となっていたマルティン・ウーデゴーア、ダニ・セバジョスなどが残留濃厚になったため、移籍を前提に動いていたエージェントが慌てている。

退団は決定事項と伝えられていたガレス・ベイルも、「ヨーロッパ選手権が終わったらアンチェロッティと話す」と、含みのある発言で周囲を煙に巻いていた。

それにしても、最大の被害者はエヴァートンである。アンチェロッティ体制で2シーズン目を迎える予定だったにもかかわらず、その指揮官がマドリーに飛んいくとは想定外すぎるアクシデントだった。

ディレクターのマルセル・ブランズを軸に新監督の人選を進め、リュシアン・ファーブル(前ドルトムント監督)、20-21シーズン限りでウォルヴァーハンプトンを退任したヌーノ・エスピリト・サントが有力候補のようだが、一刻も早く決定し、選手とサポーターを安心させなくてはならない。

そしてもうひとり、意外な人物の名前が浮上してきた。ラファエル・ベニテスである。プレミアリーグ復帰を熱望し、エヴァートン以上に新監督探しが難航しているトッテナムが最終的に泣きつくのでは、とも噂されている。ご家族とともにリヴァプール市在住。たしかに有力候補かもしれない。

しかし04-05シーズンから6年間、ベニテスはリヴァプールを率いていた。マージーサイド間の移籍は好ましくない。ネガティヴな感情が刺激され、コロナ禍だけに余計なストレスが生じる。ベニテスがすぐれた指導者だとしても、避けて通るべき人選だ。

ドミニク・カルヴァート=ルーインとベン・ゴドフリーが急成長し、リシャーリソン、ルカ・ディーニュ、アブドゥライ・ドゥクエ、アランといった主力も及第点以上の出来だった20-21シーズンのエヴァートンを思うと、もう少しだけアンチェロッティに任せてみたかった。

「アンチェロッティを引き抜かれたのだから、ジダンを強奪するか! 違約金もかからないしな」と考えてみたところで、マドリーの前監督がエヴァートンに興味を持っているはずがない。

やはりサントからファーブルに落ち着くのだろうか。個人的にはエディ・ハウ(前ボーンマス監督)も、悪くない選択だと……。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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