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サッカー フットサル コラム 2021年5月25日

【サッカー】清水エスパルスユース、千葉寛汰が纏い始めたストライカーとしての凄味【NEXT TEENS FILE.|高円宮杯】

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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清水エスパルスユース 千葉寛汰

とにかく面構えがいい。チームメイトと11人で並んでいても、明らかに「コイツが点を獲るヤツだな」と一目でわかるような、その雰囲気が期待感を増幅させる。「本当にインパクトのあるような、周りを驚かせるようなプレーを見せて、周りにもっと注目してもらえるような結果を絶対に残したいと思っていますし、また千葉寛汰という選手としての価値を周りに見せ付けていきたいです」。王国が育んできた生粋のストライカー。清水エスパルスユースの千葉寛太が今、覚醒している。

衝撃的だったのは2年前のJユースカップ。3回戦で東京ヴェルディユース相手に、30番という大きな番号を背負ったオレンジの1年生が、ハットトリックを達成してしまう。しかも左足でのスライディングシュート、クロスからのヘディング、右足でのループシュートと、その内訳のバリエーションも完璧。世代最高峰のプレミアリーグでも3ゴールを挙げるなど、千葉はその実力を強烈に誇示してみせる。

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昨年も普通の基準で考えれば、一定の結果を残したことは間違いない。スーパープリンス東海では清水桜が丘高校戦の1試合5発を含め、7ゴールでリーグ得点王に。ただ、年間を通じて唯一の全国大会となった年末のクラブユース選手権はケガで欠場。チームも初戦で敗れるなど、悔しい結果に終わった1年は、決して満足のいくものではなかった。

「1年生の時に結果を出せたのに、2年生の時に結果を出せずに、『1年生の頃はできたのにな』という変なプライドが邪魔したりして、苦しかったです」。だが、勝負となるエスパルスアカデミーでのラストイヤーを控え、自分の中で覚悟を決める。「もう1年の時に結果を出していたという所は捨てて、『“何もない選手”という立ち位置で、ゼロからしっかりアピールしていこう』というふうに吹っ切れました」。

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プレミアリーグEAST第2節。大宮アルディージャU18との一戦は、0-0で迎えた最終盤の88分に絶好の先制機が訪れる。自らが獲得したPK。当然のようにボールを抱え、スポットへと歩みを進めた千葉は、GKの逆を突いて力強くゴールネットを貫く。「本当に久しぶりにチームを勝利に導けたという感覚になりました」。勝ち点3を手繰り寄せる大きな、大きな決勝点。ようやく納得の行く結果を叩き出した。

【全4得点振り返り!】清水エスパルスユース vs. 青森山田高校

高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ2021 EAST 第7節

そこからの活躍は目覚ましい。第3節の流通経済大柏高校戦ではPKでのゴールとアシストを記録し、2-1でのアウェイ勝利に貢献すると、第4節の浦和レッズユース戦、第5節の柏レイソルU-18戦はどちらも2ゴールずつをマークする。チームも開幕から5連勝と絶好調。「ピッチに立てたら結果を出せる自信は持っているので、ピッチに立ち続けて、結果を出し続けていきたいと思います」という言葉を証明するようなパフォーマンスを維持し続ける。

全勝同士の直接対決となった第7節。青森山田高校をホームに迎えた大一番。先制を許しながら、55分にオレンジの9番が躍動する。エリア内でボールを呼び込むと、マーカーを背負いながら巧みに反転して左足一閃。軌道は左スミのゴールネットへ到達する。ここまでの6試合でわずか1失点と鉄壁の守備を誇る相手を独力でこじ開けたゴールに、ストライカーとしての確固たる矜持がはっきりと滲んだ。

だが、結果は1-3で敗戦。明らかに悔しそうな表情を浮かべていた千葉は、もちろん自分のゴールも勝利に結び付かなければ、何の意味も持たないことを誰よりも強く理解している。それもトップチーム昇格という、明確な目標をその視界に捉えているからこそ。そのためには、さらに自らの価値を周囲に認めさせていく必要がある。

「今のプレーじゃ全然ダメだと思うので、ここからもっとしっかり積み上げていって、いつトップチームのチャンスが来てもいいような準備と、トップチームに呼びたいと思われるようなプレーを見せていきたいと思います」。

清水というサッカーどころが生み出した、新時代を牽引するナンバー9。千葉寛汰が全身から発散するゴールへのギラギラ感には、誰もが注目せざるを得ない。

文 土屋雅史

高円宮杯 プレミアリーグ2021 EAST 第5節

清水エスパルスユース vs 柏レイソルU-18 清水エスパルスユース 千葉 寛汰 選手 インタビュー

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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