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サッカー フットサル コラム 2021年4月28日

【サッカー】柏レイソルU-18、田中隼人は“ポテンシャル”のその先を見据える (NEXT TEENS FILE.)

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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柏レイソルU-18、田中隼人

柏レイソルU-18、田中隼人

188センチ。レフティ。高くて、上手い。いわゆる“ポテンシャル”の塊のようなスペックを有しているが、もちろんそれだけでやっていくつもりは毛頭ない。「プレミア優勝を第一の目標としていますし、トップチームにも昇格して、いろいろな人に注目されるような、自分の名前を知ってもらえるようなプレーをして、年代別代表やもう1個上の代表を目指していきたいと思います」。柏レイソルのアカデミーが育んだ異才。田中隼人の名前は覚えておく必要がある。

中谷進之介。中山雄太。古賀太陽。近年はディフェンダーの日本代表選手が巣立っている柏レイソルU-18。そして、今年のチームもパッと目を惹くセンターバックが、3バックの真ん中でプレーしている。田中隼人。かつては中山も古賀も背負った4番を継承し、ピッチの最後尾から全体をコントロールする。

レイソルのアカデミーと言えば、4-3-3のシステムが代名詞。だが、ここ数年は20代で指揮官に就任した山中真前監督(現・大宮アルディージャトップチームコーチ)の元、システム変更も含めた柔軟な戦い方も採り入れてきた中で、今年から就任した酒井直樹監督は、一気に3-1-4-2という新システムに舵を切った。

「監督が変わって、システムからポジションからいろんな選手が変わっていますけど、正直やりがいがあるというか、さらに新しい攻撃的なスタイルにチャレンジすることで、戦術だったり攻撃の仕方、守備の仕方が自分の中で広がったし、みんなのこれからにも繋がるので、3バックをやることは、いろいろな意味で大きいかなと思います」。そう語る田中も新たな挑戦へポジティブに取り組んでいたことが、思わぬ所で生きるのだから、人生はわからない。

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4月21日。YBCルヴァンカップグループステージ第3節。ホームに湘南ベルマーレを迎えた柏レイソルのスタメンに、見慣れない47番が名前を連ねる。2種登録の17歳。センターバックの相次ぐ離脱という理由はあったにせよ、田中はU-18で取り組んでいるポジションと同じ位置、3バックの中央という大役を任され、普段はスタンドから見つめていた日立台の天然芝のピッチへ解き放たれる。

「3バックの真ん中ですし、プロに慣れるためにもまずは声を出してラインコントロールをしないと、自分の気持ちも付いてこないと思ったので、まずはコーチングをすることは大事だと思いました」。右に川口尚紀、左にアカデミーの先輩でもある古賀を従え、ディフェンスラインの中央で周囲を見張り続ける。

空中戦でもこのレベルで十分通用する力強さを見せつつ、得意のビルドアップでは何度も縦の狭いスペースへ、躊躇なくくさびのパスを打ち込んでいく。だが、やはりプロの世界はそう甘くない。1点リードで迎えた試合終了間際の90分。ポストプレーで股下を抜かれ、そこから同点弾を叩き込まれる。一瞬の隙を突かれる真剣勝負。これを肌で感じたことが、きっと彼の今後に大きなプラスになることは言うまでもない。

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同世代で意識している選手が2人いるという。「同い年の工藤孝汰(浦和レッズユース)と、中3から代表で一緒にやっている諏訪間幸成(横浜F・マリノスユース)の2人には一番ライバル心があるというか、同じポジションでもありますし、体格も似ていますし、その2人は意識しますね」。工藤はやはりYBCルヴァンカップでJリーグデビューを果たし、諏訪間はキャプテンマークを巻いてユースで奮闘中。ライバルの動向を気に留めつつ、自分が一番先を走っていきたいという決意は固い。

才能は間違いない。ここからはそれを超える領域に足を踏み入れるための時間が待っているが、そんなことは本人が一番よく理解している。“ポテンシャル”のその先へ。日立台の天然芝が、田中隼人の帰還を待っている。

文 土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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