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サッカー フットサル コラム 2020年7月31日

倉敷保雄の北欧紀行

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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肩肘張らず、軽やかに、伸びやかに、フットボールを語ることの大切さをその人は教えてくれた。無限の切り口と、無限の表現と、何より無限の愛情と。唯一無二の存在感。きっとあんな喋り手は絶対に他にはいない。今までも、そして、これからも。

#3のコラムでも触れたが、その人との出会いはリーガ・エスパニョーラの中継だった。ボールが回るたびに、ボールを触った選手の名前を、的確に連呼していく。かと思えば、いきなり試合とまったく関係のないスペイン文化の話を、解説者と笑いながら膨らませていく。それまで自分が知っていたサッカー中継の概念を根底から覆されるような、ある意味で自由気ままなスタイルは、すぐさま1人の大学生を虜にしていった。

その人がMCを務めていた番組が『Foot!』だった。プレミア、セリエ、リーガをそれぞれハイライト中心に30分ずつ扱い、トータルで90分間というのはフットボールの1試合と同じ。あるいはフットボールの1試合以上に濃厚な時間を提供してくれるその番組を、毎週のようにビデオに録画して、何度も何度も見返していた。

『Foot!』の番組に携わるということは、すなわちその人と一緒に仕事できるということ。就職活動のゴールをそこに据え、J SKY SPORTSを受験する。入社すれば、その人と仕事ができると信じて疑わず、『Foot!』に対する熱量と愛情だけを面接で訴え、幸運にも合格の通知を受け取る。制作部以外にも部署があるとか、制作部の中にもサッカー以外のコンテンツを扱うグループがあるとか、そんなことは考えたこともなかった。本当に何もわかっていない大学生だったなと、今から思う。

最初の1か月は研修期間。偶然にも制作部の研修に、リーガ中継の見学が組み込まれる。カードはレアル・マドリーとレアル・ソシエダの首位攻防戦。解説は金子達仁さん。実況はその人だった。試合前に挨拶こそしたが、ブースの向こう側とこちら側は思ったより距離があった。物理的にも。心理的にも。とても同じ空間を共有しているようには思えなかったことを、記憶している。

僕が配属されたのは制作部のサッカー担当ではあったものの、J2の中継がメイン。それ自体は充実したものだったとはいえ、リーガの中継は自分が会社にいない週末の深夜だったし、『Foot!』の収録は関わることのない仕事だった。その人と同じ空間で働く機会はないままに、最初の1年間は過ぎ去って行った。

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