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きっと人には語りたいことというのが、人生の中で必ずあるはずだ。それに自分を捧げていればいるほどに。そんな人たちの語る言葉にも、きっと人生が現れるはずだ。それに自分を捧げていればいるほどに。
1つのテーマについて、2人ないし3人のスペシャリストが、司会者なしで語り合う。こんなコンセプトを掲げて、『Talking Foot!』という番組が始まったのが2015年。その流れを踏襲する形で、2017-18シーズンから『Foot!』の金曜日がこのフォーマットでスタートした。
まず、毎週ごとにテーマを考える。そして、そのテーマを語れる出演者の方を考える。その2つが決まらないことには何も前に進まない。ようやくその2つが固まってから、出演してもらいたい方にオファーを掛け、スタジオも押さえてと、社外と社内のスケジュールを調整する。
他の曜日の放送と違うのは、そもそも決まった出演者がいないということだ。つまり、それは毎回出演者をスタジオに呼ばない限り、番組自体が成立しないということでもある。ギリギリまでスケジュールが確定しないこともあった。ギリギリで企画が覆ったこともあった。正直、よく3シーズンに渡って、一度たりとも穴を開けずに放送してこられたものだと思う。
2017-18シーズンが全39回で、のべ82人。水曜の放送に変わった2018-19シーズンが全39回で、のべ87人。再び金曜の放送に戻った2019-20シーズンが全40回で、のべ85人。もちろん重複する方もいらっしゃるが、のべ254人の出演者の方がスタジオにお越しくださった。
以前から知っている方も、この収録を通じて知り合った方も、快くスタジオに足を運び、自身の想いをカメラの前で語ってくださった。3シーズンで重ねてきた118回の放送には、我々スタッフと出演者が共有した思い出が1回1回に詰まっている。
一度もテレビに出たことのなかった方々も、ずいぶんカメラの前に引っ張り出してしまった。だが、 “テレビに出たことのない方を引っ張り出す”という、その半ば強引な(!)方向性に大きな自信を与えてくれたのが、今回のセレクションでもご紹介する「スパイク」の放送回である
KAMO池袋店主任(当時)の中田寛人さんと、B&D商品部サッカーシューズ担当(当時)の中飯信幸さん。中飯さんとは以前あるイベントでご一緒したことがあり、話せる方だということは理解していた。テーマは“スパイク”。1人の方がいわゆるバイヤーなら、もう1人は販売する立場の方がいい。国内で考えればやはりKAMOが真っ先に思い浮かぶ。KAMOに勤める知人に相談した中で、先方から推薦されたのが中田さんだった。
テレビ出演の経験は2人とも皆無。もちろん事前の打ち合わせは丁寧に行ったものの、ある意味で“賭け”だったのは間違いない。今だから言えるが、周囲からは懐疑的な視線を向けられていたことも否定できない。ただ、2人とも“スパイク”に対して、人一倍の情熱を傾けている。別に上手く話してもらおうなんて思わない。その情熱を言葉に乗せてくれれば、それだけで成立するという確信が、不思議とあったのだ。
結果から言えば、素晴らしい放送になった。2人のマニアックな知識と、溢れ出るスパイクへの愛情が見事にマッチし、情熱の詰まった30分が完成した。彼らがとにかく頑張ってくれたのは言うまでもないが、テーマと人選さえ見誤らなければ、絶対に良い放送ができるという手応えと確信を得たのが、この“スパイク”の回だった。
中田さんも中飯さんも緊張こそしていたけれど、スパイクを手に持つと、まるで毛布を持ったライナスのように安心するのか、堂々と、生き生きと語り出すのも、近くで見ていて強く印象に残った。いろいろな意味であの収録は忘れられない。
“スパイク”の回もそうだったが、このフォーマットはフットボールをテーマにこそしているものの、少し大きなことを言わせていただければ、そこから人生に繋がるような何かを、視聴者の方々に提供できればという想いで、ここまで続けてきた所もあるように感じている。
人生の大半をフットボールや、それにまつわる仕事に捧げてきた方々の言葉には、常に日々を生きていくためのヒントが隠されている。何よりこの118回の収録全てに立ち会った僕自身が、一番それを享受してきたという自負もあるし、盟友の中島ディレクターともよくそういう話になる。
迷うこともあっただろう。悔しさに眠れぬ夜を過ごしたこともあっただろう。人知れず涙を流したこともあっただろう。そういう人生で経験してきたさまざまなことを、フットボールという媒介を通して、出演者の方々は時に軽やかに、時に熱く、自らの言葉として紡いできてくれたのだと思う。
このフォーマットは何とか4シーズン目に突入することができそうだ。まだまだ取り上げたい数多くのテーマも、言葉を聞きたい数多くのフットボールジャンキーも、ご紹介し切れていない。また「毎週絶対に放送を落とせない」プレッシャーの掛かる日々が、だが、フットボールを通じた人生の意義を、誰よりも自分が勉強できる日々が、ようやく帰ってくる。
文 土屋雅史(J SPORTS)
土屋 雅史
1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。
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