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フットボールに限らず、スポーツをイメージする一曲といえばクィーンの『ウィ・アー・ザ・チャンピオン』だろう。ライブでは数万人が合唱し、かくいう筆者も伝説の《ライブエイド》で体験した際は鳥肌が立ちまくった。
しかし、猫も杓子も、である。『ウィ・アー・ザ・チャンピオン』の乱発は考えものだ。
その昔、フジテレビの競馬中継はシャレていた。シンボリルドルフが有馬記念で勝ったときはヴォルフガンク・ベートーベンの『皇帝』を、ハギノトップレディーが桜花賞を制すると、ケニー・ロジャースの『レイディ』を流した。馬名からイメージした選曲だ。そうそう、ツールド・フランスで集団が凱旋門に帰って来るシーンでは、ピョートル・チャイコフスキーの『バイオリン協奏曲第一楽章』を使っていたっけ。映像と音楽がマッチしていたなぁ。
さて、スポーツと音楽ではプロレスが一歩先を進んでいた。半世紀近くも前に、ミルマスカラスのテーマは『スカイハイ』だったし、アブドーラ・ザ・ブッチャーはピンクフロイドの『ワン・オブ・ディーズ・デイズ』。邦題は『吹けよ風、呼べよ嵐』って、なんだかなぁ。また、新日本プロレスは次期シリーズの日程を紹介する際、ジェフ・ベックの『レッドブーツ』をBGMに使っていた。ピンクフロイド対ジェフ・ベック!? 凄い対決じゃん。音響効果に工夫を凝らしていた。
ジメジメッとしたラブソングはスポーツに似合わない。演歌もちょっと違うかな。『天城越え』や『無言坂』は好きだけれど、スポーツに適しているかと問われれば、そりゃないわと即答する。
ただ、近ごろは同じような曲ばかり聞こえてくる。もう少しオリジナリティがあってもいいんじゃないかな。そのシーンに合わせ、いくつかの楽曲を選択してもらえないだろうか。
例えば、敗者が潔く退場する際にはエドワード・エルガーの『威風堂々』、あるいはクィーンの『ショー・マスト・ゴーオン』、ダニエル・ポウターの『バッドデイ』。ユニフォームを脱ぐ選手にはジョニー・キャッシュの「ハート」を捧げる。アコースティックギターとピアノだけっていう、耳ざわりのいい一曲だ。ハイライトシーンならマリリン・モンソンの『ファイトソング』、デイヴィッド・ボウイの『ヒーローズ』かな。
定番を否定するつもりはまったくない。『ウィ・アー・ザ・チャンピオン』は名曲で、プロ野球ニュースの《今日のホームラン》に使われているジェイムズ・ラスト・オーケストラの『バイブレーション』も、ドストライクの選択だ。しかし、元号も令和に改められたいま、スポーツと時代を紡ぐニュートラッドが生まれないだろうか。音響効果の皆さま、よろしくお願いいたします。
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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