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サイクルロードレース コラム 2026年9月7日

完全復調のワウト・ファンアールト ステージ2勝を挙げて見据えるは最終目的地グラナダ、そして……|ブエルタ・ア・エスパーニャ2026

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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ブエルタ・ア・エスパーニャ

今大会2勝目で好調なワウト・ファンアールト

大会中盤戦でステージ2勝。ポイント賞のマイヨ・ベルデ姿がすっかり馴染んでいるワウト・ファンアールトチーム ヴィスマ・リースアバイク)は、失意のツール・ド・フランス欠場から完全に立ち直り、シーズン後半の目標に設定したブエルタで好調をアピールする。自身で挙げた2つの勝利を加えて、チームとしても15ステージを終えた時点で5勝。チーム力を誇示する牽引役であるワウトだが、すでにその視線は先へと向けられている。

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冴えわたるブレナンとのコンビネーション

コルドバにフィニッシュした第15ステージ。40度を超える高温により距離短縮となったレースで、10人以上の先行ライダーとのタイム差を調整しながら、チーム ヴィスマ・リースアバイクはメイン集団をコントロールしていた。展開をつくっていたのがヴィスマ勢なら、流れを変えたのもヴィスマ勢。フィニッシュまで30kmを残したタイミングで、ワウトが飛び出した。中間スプリントポイントでの得点確保からの流れで、数十秒差まで近づいていた先頭グループにブリッジしたのだった。

ブエルタ・ア・エスパーニャ

レース前半はメイン集団の前方で牽引に参加していた

「“今だ!”と思った。集団を驚かせられたら、また違った展開になるのだろうと考えたんだ。後ろにはマシュー(ブレナン)が控えていたし、逃げが決まれば自分で勝負しようとね」(ワウト)

最後の数キロは一緒に逃げた選手たちがアタックを繰り返したが、ワウトは冷静に対処。フィニッシュ前1kmは前に押し出されるようにして先頭でライバルの様子をうかがったが、ティボー・ネイス(リドル・トレック)の早掛けにも動じない。スプリントを制して、第13ステージに続く勝ち星を手にした。

大会序盤から、マシュー・ブレナンとのコンビネーションが冴えわたっている。ブレナンをエーススプリンターに据え第2ステージを勝ったところから、ここまでチームとして5勝。第1週でブレナンが2勝を挙げ、第2週に入ってからはブレナン1勝とワウトが2勝。ワウトはもちろん、ブレナンもちょっとした上りなら平気でこなすし、第13ステージでは一緒に逃げて有利な展開を作り上げた。第15ステージはワウトの巧みさが光ったけれど、仮に集団が追いついていればブレナンがスプリントで勝っていた可能性は高い。

また、コルドバはワウトにとって思い出の地でもある。2024年大会の第7ステージでスプリント勝利を挙げている。再び勝って、2年ぶりの帰還をより美しいものにした。

「勝ったイメージを壊したくないから、今後レースでコルドバに寄ることは避けたいね(笑)。もちろんそれは冗談だけど、2年前も今回も、思い描いた通りのレースで勝つことができた。今日のようにアタックすることはリスクではなく、勝つための最高のチャレンジだったんだ」(ワウト)

グラナダのコースは試走済み

ワウト自身、そしてチームとして好調を実感する日々。十二分に戦える感触を得た今、目指すべきものが一層明確になっている。

ブエルタ・ア・エスパーニャ

特別賞ジャージの選手はパレードランで先頭を走る

今大会を迎える前に、チームはスペイン南部のシエラネバダ山脈でトレーニングキャンプを行った。期間中には、最終目的地であり、第21ステージの戦いの舞台でもあるグラナダへと足を運んでいる。目的は当然、コース試走である。

「特徴としては、ツール・ド・フランスの最終ステージに近いものがある。ただ、そのときに上るモンマルトルよりはるかにタフなレイアウトだよ。激しいレースになるんじゃないかと思う。きっと僕向きのコースだよ」(ワウト)

同時に、2年前の忘れ物を取り返さなければならない。2024年大会では中盤戦までに3勝を挙げ、ポイント賞と山岳賞を固いものにしていたが、第16ステージで落車し膝を負傷。2枚のジャージ獲得はかなわなかった。

その経験を踏まえ、「常に細心の注意を払っているよ」とワウト。今大会第2週を終えた時点で、ポイント賞争いでは2位以下に100点以上の大差でリード。同賞争いの2番手がチームメートのブレナンであることも関係して、最終的なマイヨ・ベルデ獲得にも近づいている。グラナダで勝てれば、ポイント賞に花を添えるとともに、2年前の雪辱にもなるはずだ。

そして、その先には9月27日に控えるロード世界選手権も見えている。開催地カナダ・モントリオールのコースは12回の丘越えが待つ。複数回の登坂をこなすあたりで、グラナダが予行演習の機会になるとの見方も。ワウト自身もこのブエルタが世界選手権へとつなぐ意味合いを持つと認めており、スペインで得た自信をそのままにマイヨ・アルカンシエルへの挑戦へと向かっていく心づもりだ。ブエルタ2回目の休息日である9月7日には、ベルギー代表のメンバーが正式発表される予定になっている。

ブエルタでの活躍からアルカンシエルへ

この春にはパリ〜ルーベを勝ち、順調なシーズンを送っているはずだった。ところが、トレーニング中の負傷が尾を引いてツールを走ることができなかった。失意の夏を送ったが、そこは幾多の苦難を乗り越えてきた男である。体調の回復を見ながら、ブエルタにフォーカスを当てながらやってきた。そして、この活躍である。

ブエルタ・ア・エスパーニャ

酷暑のステージをこなした

「素晴らしい経験ができているよ。コースレイアウトを見て、勝てそうだと思った日をいくつか挙げていたのだけど、そのすべてで本当に勝つことができているんだ」(ワウト)

ねらい通りの走りは、実力、そしてチーム力あってこそである。スプリントチャンスを目される第16・第17ステージ、個人タイムトライアルで競う第18ステージもワウトの強さを誇示する機会になるかもしれない。あと1週間、マイヨ・ベルデは躍動を続ける。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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