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ファンアールト再びコルドバを制す。猛暑で距離短縮のステージで変幻自在の動きを見せる|ブエルタ・ア・エスパーニャ2026 レースレポート:第15ステージ
サイクルロードレースレポート by 山口 和幸抜け出した5人でのスプリントを制したファンアールト
ブエルタ・ア・エスパーニャに異常気象対策プロトコルが発動された。9月6日にパルマ・デル・リオ〜コルドバ間で行なわれた第15ステージは、当日の高温予報を受けて当初の距離189.7kmから110.2kmに短縮された。ポイント賞のリーダージャージを着用したワウト・ファンアールト(ベルギー、チーム ヴィスマ・リースアバイク)が5人のゴール勝負を制し、第13ステージに続く今大会2勝目、大会通算5勝目を挙げた。総合成績ではモビスター チームのエンリク・マス(スペイン)が首位のリーダージャージ、マイヨ・ロホを守った。
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第16ステージ Cycle*2026 ブエルタ・ア・エスパーニャ
配信日時 : 2026年9月8日(火)午後9:50 ~
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第17ステージ Cycle*2026 ブエルタ・ア・エスパーニャ
配信日時 : 2026年9月9日(水)午後9:50 ~
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第18ステージ Cycle*2026 ブエルタ・ア・エスパーニャ
配信日時 : 2026年9月10日(木)午後9:50 ~
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南スペイン、アンダルシアは暑さが難敵
コルドバ近郊のシエラ・モレナ山脈での起伏の多い地形が続くステージは、当日の最高気温が摂氏39度になるという予報にさらされた。主催者は選手の健康を守り、競技に最適な環境を確保するための措置を実施すると、前日に急きょ発表した。まず正午過ぎの猛烈な暑さを回避するために、ニュートラルスタートを午後2時50分に、レース開始を午後3時に遅らせた。
さらに競技距離を短縮。ルートは当初52km地点からカテゴリー3級の山岳を含むループコースを走る計画だったが、この部分をカットした。その結果、当初はカテゴリー3級の山岳が3つあったが、2つに減った。難易度は下がったものの、距離の短いステージは予想外の動きが発生することが過去にも多くあり、決して侮ることはできない。
ゴール地点のコルドバはスペイン南部のアンダルシア州にある都市。世界で唯一、4つの遺跡がユネスコの世界遺産リストに登録されていて、観光地として人気がある。ブエルタ・ア・エスパーニャは過去に22回ゴールしていて、2024年の第7ステージでは30人ほどの集団スプリントをファンアールトが制している。今回もコースの起伏を利用して先行した選手が、少人数の集団スプリントで勝利を争うことになることが容易に想定された。
第8ステージで首位に立ったマスは、これまでチームの総合力に支えられてその座を堅持している。それどころか総合2位以下との差を徐々に広げていて、この日のスタート時点で2位フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロン・CMA CGM チーム)に2分06秒、3位プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)に2分10秒の差をつけていた。山岳賞トップはサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)、ヤングライダー賞はオスカー・オンリー(英国、ネットカンパニー・イネオス)だ。
抜け出したアタッカーたちが先頭グループを形成
ブエルタ・ア・エスパーニャを初めて迎えたパルマ・デル・リオのスタート地点には、暑さ対策の冷却ベストを着用した選手たちが集結。スタートとゴールは平坦だが、コース中盤は登りが連続していて、アタッカーにとってはステージ勝利のチャンスである。レースが始まれば、もはや「暑い!」なんて言っていられない。
ステージ1勝が懸かる第2週のラストチャンス
予想通り、レースはスタート直後から容赦ないハイペースで展開する。グルパマ・FDJユナイテッドのエンゾ・パレニ(フランス)がスタートの合図とともにアタックを仕掛ける。パレニは追いつこうとする選手らを何度も振り切り、9km地点で完全に抜け出すことに成功した。
10選手がその日の丘陵地帯に入る前にパレニの動きに加わり、逃げ集団が形成された。レッドブル・ボーラ・ハンスグローエのフレデリク・ワンダール(デンマーク)、UAEチームエミレーツ・XRGのイボ・オリヴェイラ(ポルトガル)、ピナレロ・Q36.5プロサイクリング チームのシャビエル・アスパレン(スペイン)、スーダル・クイックステップのイーサン・ヘイター(英国)、ウノエックス・モビリティのアンドレアス・レックネスン(ノルウェー)、チーム ジェイコ・アルウラーのルディ・ポーター(オーストラリア)、EFエデュケーション・イージーポストのアラステア・マッケラー(オーストラリア)、チューダー プロサイクリングチームのファビアン・ワイス(スイス)、ロット・アンテルマルシェのルーベン・トンプソン(ニュージーランド)、チーム ピクニック・ポストNLのハイス・レイムライゼ(オランダ)だ。
ブライアン・コカール(フランス)の所属するコフィディスとマシュー・ブレナン(英国)のチーム ヴィスマ・リースアバイクがメイン集団の先頭に立ってこれを追いかけ始めた。コカールは今大会1勝、ブレナンは3勝しているスプリンターで、チームにはゴール勝負に持ち込みたいという思惑がある。ただしチーム ヴィスマ・リースアバイクは、もう1枚の切り札としてファンアールトがいるので、複数の作戦を取ることも可能。両チームのこのペースメークにより、20km地点でもタイム差は1分17秒を超えることはなかった。
ニュートラルバイクからの水の補給シーンが幾度となく見られた
緊迫した状況の中、EFエデュケーション・イージーポストのゲオルグ・シュタインハウザー(ドイツ)は、この日最初の山岳賞ポイント、プエルト・デ・ラ・フォレスタル(カテゴリー3級、山頂は34.5km地点)でメイン集団からアタックを仕掛けた。上りを得意とする選手で、ゴールまで70kmの地点で先頭集団に加わり、12人となった。
起伏のある地形を進むにつれ、さらに多くのアタッカーがペースを上げ、この日2つ目の山岳賞ポイント、プエルト・アルタフィ(カテゴリー3級、73.6km地点)へと向かう。チーム ヴィスマ・リースアバイクのブリュノ・アルミライユ(フランス)はメイン集団の先頭で力強いペースを維持し、逃げ集団を射程距離に置く働きを見せ続ける。
レースがプエルト・アルタフィ山頂に近づくと、第7ステージを制しているレックネスンが逃げ集団の仲間を振り切った。アルペシン・プレミアテックのラムセス・デブライネ(ベルギー)が後ろの集団から抜け出してレックネスンから10秒以内の差で追う。先頭とメイン集団との差は20秒にまで縮まった。
レックネスンとデブライネは中間スプリントポイント(78.9km地点)を前に合流。XDS・アスタナ チームのアレッサンドロ・ロメレ(イタリア)、ファンアールトがメイン集団を離れて追い上げを見せる。追走した2人は先頭の2人にすぐに追いつく。さらにリドル・トレックのティボー・ネイス(ベルギー)もチャンスを察知し、差を縮める。こうして先頭は5人になり、メイン集団のペースは落ちていく。それでもカウンターアタッカーが追いつこうと試みるが、45秒までしか差を縮めることができず、この日は5人によるステージ優勝争いに。
先頭集団はコルドバの市街地に入ると互いに攻撃を仕掛け始める。残り3km地点でネイスがスパートをかける。その後、レックネスンがカウンターアタックを仕掛ける。しかし、ファンアールトが徹底マークして力強い走りを見せる。最後はスプリント力もあるファンアールトが状況をコントロールして1着フィニッシュ。コルドバで2度目のステージ優勝を果たす。ロメレが2位、ネイスが3位に入った。
飛び出した5人は誰が勝ってもおかしくはなかった
「もしかしたら、もう二度とコルドバに戻ってこない方がいいのかもしれない。だって、ここでの無敗を維持できなくなるから。もちろん、休暇で来るかもしれないけどね」とステージ優勝を果たしてジョークを口にしたファンアールト。
ファンアールトが動いたのは中間スプリントポイントで、チャンスが訪れたと感じたからだという。ファンアールトが中間スプリントポイントを通過してからも先行をやめなかったのは他チームからは予想外だったが、メイン集団にスプリンターのブレナンが存在しているだけに、アタックを仕掛けることにリスクはなかったという。そんな戦法が好きなレーススタイルだとファンアールトは続けた。
「フィニッシュをコントロールするのは少し難しかった。ベルギー勢としてはチームメートと言ってもいい、ネイスとデブライネは本当に強かった。彼らはゴールを目指す走りの中で大いに助けてくれたし、アスタナのロメレもそうだった。でも、レックネスンは後方にいたチームメートのために先頭には出なかったと思う。だからレックネスンのアタックは予想していた。アタックが始まったのがかなり遅かったので、最後の数kmはとにかく集団をまとめ、スプリント勝負に持ち込みたかった」(ファンアールト)
チームはこれで今大会5勝。勝てると思った日のほとんどで実際に勝てているという。この日のようなステージで、チームとして主導権を握れたことを誇りに思うべきことだとファンアールトはコメントし、改めて、チーム全員の働きに感謝した。
総合優勝争いは最終週に持ち越し
首位のマスと総合上位選手を含むメイン集団は、2度目にして最後の休息日の前日に、2分44秒遅れの27位集団でゴールラインを通過。マスは今大会の最終週を前にマイヨ・ロホを維持した。
「正直に言うと、逃げ集団をそのままにして、チーム ヴィスマ・リースアバイクとコフィディスにフィニッシュまでコントロールさせるのが作戦の一つだった。中間スプリントでファンアールトがアタックするまでは。先週の日曜日以来、すべてが思い通りに進んだわけではないけど、ほぼすべてがコントロールできているので満足している。ボクはスペインでレースをするのは本当に好きなんだ。人々の声援を強く感じるし、最終日のグラナダまでこの調子で続いてほしいと思っている」とマス。
ブルゴスのスタッフからボトルを受け取るマス
山岳賞ジャージを着るブイトラゴは2位でこれを追うファンアールトとともに、この日は無得点。ブイトラゴは69点、ファンアールトは40点のままで、「明日が休息日で本当にうれしい」とブイトラゴは正直にコメント。
「個人的に休息が必要だし、最終週に向けて準備を整えることができる。29点のリードは決して十分とは言ない。最終週には非常に重要なステージが2つあり、土曜日のステージでは50点近く獲得できる。しっかり回復し、賢く戦い、最後まで自分たちの力を守り抜かなければならない。ステージ優勝も絶対に狙っていきたいし、最終週にも必ず挑戦する。ステージ優勝をこのジャージを着て果たすことができれば、最高の締めくくりになるからね」
ヤングライダー賞のオンリーは「今日は無事に終えられて本当にうれしい。暑かったし、かなりハードだった。もちろんステージが短かったので、普段とは少し違った。チームとしてはよくやったと思う」とコメント。
「ブエルタ・ア・エスパーニャの最終週は厳しいものになる。最初の2日間は比較的楽なレースだが、タイムトライアル以降は厳しくなる。先週の今頃のレベルに戻れるよう努力しているけど、どうなるかはこれからのお楽しみ。まずはできる限り回復に努めたい」
翌日はスペイン語で「デスカンソ」と呼ばれる休息日。大会は9月8日から最終週の6連続ステージが待つのみ。第16ステージは起伏がち、第17ステージは平坦、第18ステージは32km個人タイムトライアル、第19、第20ステージが雌雄を決する超難関山岳、そして最終日の第21ステージでグラナダに到着する。
文:山口和幸
山口 和幸
ツール・ド・フランス取材歴30年超のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、東京中日スポーツ、ダイヤモンド・オンライン、LINEニュース、Pressportsなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)、講談社現代新書『ツール・ド・フランス』。青山学院大学文学部フランス文学科卒。
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