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サイクルロードレース コラム 2026年9月6日

マルコ・ブレンナーが険所パンデラを征服しグランツール初勝利 マスは安定した走りでマイヨ・ロホを保つ|ブエルタ・ア・エスパーニャ2026 レースレポート:第14ステージ

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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ブエルタ・ア・エスパーニャ

マルコ・ブレンナーが嬉しいグランツール初勝利

ブエルタ・ア・エスパーニャ2026中盤戦のヤマ場のひとつとされた第14ステージ。序盤に形成された大人数の逃げは、レースの進行とともにメンバーを減らしながらもそのまま逃げ切りへ。高難度の1級山岳シエラ・デ・ラ・パンデラでのステージ優勝争いは、マルコ・ブレンナー(チューダー プロサイクリングチーム)が制してグランツール初勝利を飾った。

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「うまくかみ合えばブエルタのような大きなレースでも勝てると思っていた。今日のような日を迎えるために取り組んできたし、キャリアにこの勝利を加えられたことは本当に素晴らしいよ」(ブレンナー)

最大44人が逃げる

大会第2週は残すところ2ステージ。この日は南スペインを代表する上り、パンデラにチャレンジするコースが設けられた。4年ぶりにブエルタに戻ってきたが、その姿は一切の変化はない。フィニッシュまでの11.9kmを上り、平均勾配7.2%、最大勾配にして17%を数える今大会有数の難所である。

154.5kmに設定されたレースは、7.4kmのパレード走行を経てリアルスタート。早々に9人が飛び出し、それを約30人が追う。さすがに人数が多すぎると、メイン集団はこの動きを許さない。それでも、9km地点では24人が先行。最前線のメンツが入れ替わりながら、30km地点を過ぎる頃には最序盤を上回る44選手が先導する形になった。

ブエルタ・ア・エスパーニャ

大人数の先頭グループが容認された

総合タイム差11分6秒で10位につけるクレマン・ベルテ(グルパマ・FDJユナイテッド)と同じく11分10秒差の11位クリスティアン・ロドリゲス(XDS・アスタナ チーム)が先頭グループに乗り込んだが、リーダーチームのモビスター チームは彼らの動きをひとまずは容認。メイン集団のペースメイクに集中する。先頭グループは快調に飛ばして、集団との差を7分30秒まで広げる。前を行く中には山岳賞争いで首位のサンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス)の姿も。92.8km地点に設定された2級山岳ポイントを1位通過して得点加算に成功している。

ブエルタ・ア・エスパーニャ

世界一のオリーブ収穫量誇るアンダルシア地方

距離を追うごとに、先頭グループのライダーたちに逃げ切りのチャンスが膨らんでいく。フィニッシュまで53kmを残してケヴィン・ヴェルマーク(UAEチームエミレーツ・XRG)が単独で前に出ると、状勢は一気に慌ただしくなる。下りを利用して加速したヴェルマークを数十人が追う。一時は1分近いリードを得たヴェルマークだったが、後ろでは追撃ムードが本格化。残り14kmにそびえていた無印の上りバルデペニャス・デ・ハエンで、ゲオルグ・シュタインハウザー(EFエデュケーション・イージーポスト)がヴェルマークに追いつくと、続くパンデラの上り始めでギヨーム・マルタンギヨネ(グルパマ・FDJユナイテッド)やマリオ・アパリシオ(ブルゴス・ブルペレット・BH)も先頭まで合流した。

チューダーは待望のグランツール初勝利

逃げライダーによるステージ優勝争い。フィニッシュ前5kmでアパリシオがアタックするが、淡々と追っていたブレンナーとブイトラゴが1.5kmほど進んだところで追いついた。代わってブイトラゴが先頭に立つが、ブレンナーは1kmかけて追いつく。ロドリゲスとイヴァン・ソーサ(エキポ ケルンファルマ)もジョインして、勝負は4人に絞られた。

そして残り1km。フラムルージュ通過と同時にブイトラゴが再度のアタックに出るが、すかさずブレンナーが追いかける。短い下りを経てフィニッシュへの急坂に入ったところでブイトラゴを捕らえると、カウンターアタック。ブイトラゴも粘ったが、最後まで踏み止めなかったブレンナーが難関山岳を征服し、ステージ優勝をつかんだ。

「脚の調子が良いことはレース中から実感していた。これなら戦えそうだという感触もあったから、自信を持って最後の上りに向かったよ。サンティアゴ(ブイトラゴ)がとても強かったけど、追いついたときに“よし、いける!”と確信したね」(ブレンナー)

ブレンナーにとっても、さらにはチューダー プロサイクリングチームにとっても、これが記念すべきグランツール初勝利。今大会直前にはツール・ド・ポローニュで個人総合優勝を挙げていたブレンナーだけど、ブエルタまでの期間中に風邪を悪化させてしまい、スペイン入りしてからもなかなか調子が上がらなかったという。それでも、この2日前に逃げでレースを進めたことを機に、状態は上向きに。そして大きな勝利へとつなげた。

ブエルタ・ア・エスパーニャ

レース終盤の手に汗握る攻防

チームDSM時代の2022年にもブエルタでパンデラを上っていて、そのときはステージ99位。今回同様逃げを試みたものの、何もできずに終わっていた。「この4年で大きく成長したと思う」と自身が述べるとおり、進化を証明する快勝になった。

メイン集団は上位4選手が直接対決

メイン集団は長くモビスターがコントロールを続けたが、パンデラに入ると総合上位陣による駆け引きが本格化。牽制気味になる場面も見られるが、そのたびにマイヨ・ロホのエンリク・マス(モビスター チーム)が前に出て局勢を整える。リチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト)のアタックも、マスとフェリックス・ガル(デカトロン・CMA CGM チーム)が冷静に対処。プリモシュ・ログリッチレッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)も続いて、総合トップ4による攻防戦の様相へ。

そのなかでも、マスはジャージを守ることを絶対条件に落ち着いて立ち回る。ガルがアタックすればすぐにチェックし、ログリッチとカラパスの動きも封じる。さらに残り2kmでは、序盤からの逃げに乗っていたラウル・ガルシアが前待ち。マスがジョインしたのを見て猛然とスピードを上げると、ログリッチとカラパスはたまらず後退した。

ブエルタ・ア・エスパーニャ

総合上位勢は直接対決

「あれには僕もびっくりしたよ。危うく僕も振り切られそうだったんだ(笑)。今日はあの瞬間に尽きるね。ラウルがいなかったら、ログリッチとカラパスとの差は広げられなかったと思うよ」(マス)

フィニッシュ直前でスピードを上げたガルを押さえながら、マスは難関ステージをクリアしマイヨ・ロホをキープに成功。ガルと同タイムにまとめ、ログリッチには25秒、カラパスには31秒先着した。

これらの結果から、トップ4の形勢は変化。ガルが総合タイム差2分6秒で2位に浮上し、ログリッチは2分10秒差の3位にランクダウン。カラパスは4位で変わらずも、4分24秒差となった。

「4年前にはパンデラでプリモシュ(ログリッチ)に30秒近くタイム差をつけられて負けていたんだ。今回はその逆になったね。まだ何も決まったわけじゃないけど、僕にとっては良い状況だよ。あと1週間、何が起こるか分からないけど、マイヨ・ロホで走ることを楽しむよ」(マス)

第15ステージは暑さでコース短縮

第2週の締めとなる第15ステージは、暑さを考慮し189.7kmから110.2kmにレース距離の短縮を決定。コース周辺の最高気温が40℃を超えるとの予報で、「極端な気温に関するプロトコル」を発動させることを主催者が判断した。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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