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サイクルロードレース コラム 2026年8月23日

グランツール2冠目指し走り出したポガチャル モナコでの個人TT制して初のマイヨ・ロホ着用|ブエルタ・ア・エスパーニャ2026 レースレポート:第1ステージ

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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ブエルタ・ア・エスパーニャ

モンテカルロのカジノの正面入り口からスタート

情熱の国・スペインが誇る3週間の戦い、ブエルタ・ア・エスパーニャの2026年大会が幕を開けた。われわれにとっては“夏の延長戦”。ギラギラと輝く太陽の下で走る選手たちを観ながら、終わらぬ夏を感じていたい。シーズン最後のグランツールは、どんなストーリーが描かれるだろうか。今回の総距離3275km。

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まずは開幕を彩る9.4kmの個人タイムトライアルがモナコで行われて、押しも押されもせぬ今大会の主役、タデイ・ポガチャルUAEチームエミレーツ・XRG)が一番時計。テクニカルなレイアウトも、日頃ベースを置くこの街で走れるとあって攻略法を熟知していた。

「普段から歩いたり自転車で通ったりしている道がコースになっていたんだ。レースとなれば状況はいつもとは異なるけど、少なくとも道を把握できていたことが今日の走りと結果につながったのだろうね」(ポガチャル)

美しきモナコの街で開幕戦

ツール・ド・フランスの閉幕からここまでのおおよそ1カ月は、ポガチャルのブエルタ参戦の話題が大きなトピックを占めた。7年ぶりの大会への帰還は、山岳比重の高い3週間をいかに攻略するかが見もの。ちなみに今大会の総獲得標高は58000m超。自転車競技の歴史上、最も難しいグランツールになるのではないか……との見方もある。

手始めに、選手たちはモナコでのタイムトライアルに挑んだ。通算では7回目、ここ5年では4回目となるスペイン国外での開幕。今回はモナコがその大役を務める。モナコといえば、2009年にツールの開幕地を務めているほか、2024年には第21ステージのスタート地点として選手たちを最終目的地ニースへと送り出している。

9.4kmのレースコースは、美しきモナコを象徴するスポットをめぐっていく。モンテカルロ・カジノをスタートすると、ラルヴォットやフォンヴィエイユを走り、サッカー・ASモナコのホームスタジアム「スタッド・ルイ・ドゥ」へ。トンネル・ルイ・ドゥや港に面したピシーヌ通りは、F1モナコグランプリでおなじみだ。

ブエルタ・ア・エスパーニャ

テクニカルなレイアウトの個人タイムトライアル

そんな見どころ満載のコースだけれど、最後の2kmは大小20近いコーナーが控えるテクニカルさ。モナコを拠点とする選手が多く参戦する今大会、コースの印象を問われたポガチャルは、「確かにテクニカルだけど、危ないと感じたら減速すればよいだけ。その後にまた踏み込んでスピードを戻すだけだよ」

その意識は、やがて大きな結果へつながることになる。

自宅前を走ったことがアドバンテージに。

ディエゴ・ウリアルテ(エキポ ケルンファルマ)を第1走者に大会は華々しくスタートを切った。19番目にコースへと出たジョルダン・ラブロース(デカトロン・CMA CGM チーム)が11分20秒で走ると、これが当面の基準タイムに。デカトロン勢が好調で、サンデル・デベステル、オスカー・チェンバーレイン、レオ・ビジオーと暫定のトップタイムを塗り替えていく。134番目に走ったビジオーのタイムが11分5秒。ステージ優勝争いが11分切りとなるかが焦点となった。

その見立て通り、水準は上がっていく。カラム・ソーンリー(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が11分2秒を記録すると、タイムトライアルスペシャリストのひとりであるジョシュア・ターリング(ネットカンパニー・イネオス)が11分1秒をマーク。さらに、172番目に走り出したイーサン・ヘイターが10分57秒で最初の11分切り。5.7km地点に設けられた中間計測でも6分30秒を切っていて、ステージ優勝争いの目安となった。

この日、主催者がステージ優勝候補に挙げていたのは最後に出走する4選手。先陣を切って飛び出したのはワウト・ファンアールトチーム ヴィスマ・リースアバイク)。中間計測でヘイターから4秒差だったが、肝心の後半でスピードに乗せきれず結果的に9秒遅れ。「コーナーリングでのミスがあった」とレース後のコメント。続いて出走したイヴァン・ロメオ(モビスター チーム)もタイムを伸ばせなかった。

最後から2人目にポガチャルがコースへ。前半を落ち着いて入ると、中間計測ではヘイターから3秒差。よりテクニカルになるフィニッシュまでの3.7kmでギアを上げると、フィニッシュタイムは10分57秒14(アベレージスピード51.496km)。ヘイターを0秒09かわしてトップに立った。

ブエルタ・ア・エスパーニャ

チームパドックで仲間たちから祝福を受ける

「0秒09差は自宅アパートの前を通過した区間で稼いだもので間違いないと思うよ。コースの中でも特にテクニカルな区間で、それを熟知していたのは大きなアドバンテージだった」(ポガチャル)

過去4度の大会制覇を称えナンバー「1」を与えられたプリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)は、夏場の事故の影響でタイムを伸ばせず。3週間の長旅の初日は、ポガチャルが制した。

マイヨ・ロホもポガチャルは冷静

ステージ優勝が決まり、チームパドックで仲間たちから祝福を受けたポガチャル。マイヨ・ロホを着るのはこれが初めてだ。

「この赤い色は本当に素敵な色だね。わずかな差でタイムトライアルに勝ったことが信じられないし、予想もしていなかった。普段生活している街で勝てるのは特別な気分だよ」(ポガチャル)

ただ、大会初日を勝ったからといってこのまま最後までトップを走り続けられるとは思っていない。むしろ、走り続けるつもりはない……といった方が良いだろうか。

「全体的にタイム差が大きくない分、明日(第2ステージ)誰かが逃げたり、スプリントで勝ったりしたらマイヨ・ロホが移動することだってあり得る。そのあたりはあまり気にしていないよ。気になっているステージ? アンドラを走る第4ステージで誰が優勝候補か分かるんじゃないかな」(ポガチャル)

ブエルタ・ア・エスパーニャ

はじめてマイヨ・ロホに袖を通す

結果的に、ポガチャルと実質同タイムの2位にヘイター、4秒差でターリングが3位に。ターリングは、8月14日のボルタ・ア・ポルトガル第8ステージで弟のフィンレイ(NSNデヴェロップメントチーム所属)が事故死。悲しみを乗り越えてこの大会のスタートラインについた。

「良い走りができたと思う。これ以上ない結果だよ。何より、純粋に楽しむことができた。ブエルタの出場は家族みんなが賛成してくれたんだ。本当に感謝しかないよ。頭の中を整理するのに、僕にとってはレースを走ることが一番なんだ」(ターリング)

続く第2ステージは、モナコをスタートしフランスへと舞台を移す214.3kmの丘陵コース。スペシャルジャージはポガチャルがマイヨ・ロホ、ヘイターがポガチャルの代役でポイント賞のマイヨ・ベルデ、ヤングライダー賞でトップになったターリングがマイヨ・ブランコを着用。ここから戦いの加速度が増していく。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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