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サイクルロードレース コラム 2026年7月15日

バスティーユ・デーにマイヨ・ジョーヌへの敬意 ポガチャルが中央山塊の難ルートを征服|ツール・ド・フランス2026 レースレポート:第10ステージ

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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ツール・ド・フランス

今大会3度目の区間優勝、ポガチャル

すっかり勝ちパターンとなった独走でル・リオランのフィニッシュラインへと飛び込む。マイヨ・ジョーヌを少し伸ばして、ツール・ド・フランスのロゴを指さした。第2週の初日、第10ステージを勝ったタデイ・ポガチャルUAEチームエミレーツ・XRG)は、いつもと違ったウイニングセレブレーションを演じてみせた。

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「その瞬間の熱量だけでやったから、あまり深くは考えていないんだ。バスティーユ・デーだったからマイヨ・ジョーヌに敬意を示したかった。テレビ画面にジャージ全体がしっかり映ると良いなと思ってね」(ポガチャル)

2021年大会の第17ステージ、コル・デュ・ポルテでも同様のポーズをとっていて、そのときのフィニッシュ写真がとりわけお気に入りなのだという。

大人数の逃げをUAEが容認せず

ツールは中盤戦を迎える。西ヨーロッパを襲っている熱波だけれど、広大なフランスを多少北上したくらいでは何も変わらないようだ。やっぱり熱い。

1回目の休息日を終えて、また戦いが始まる。オーリャックの街をスタートし、スキーリゾート地のル・リオランへとフィニッシュする166.6kmのコースは、中央山塊の山々を6つ越える。7月14日といえばバスティーユ・デー、つまりはパリ祭なので地元フランス勢の奮起が期待される。目下の楽しみは、やはりポール・セクサス(デカトロン・CMA CGM チーム)だろうか。

レース序盤は、ポイント賞首位のマッズ・ピーダスンを擁するリドル・トレックが主にコントロール。逃げを狙う選手たちの動きをすべて封じて、25.5km地点に設定される中間スプリントポイントを目指す。一度バイク交換をしたピーダスンだが、大きな問題はなく狙い通りに1位通過。激しい出入りが繰り返される間、ポガチャルやセクサスらが後方に取り残される状況が生じたが、冷静に対応して前線へと戻っている。

ツール・ド・フランス

なかなか逃げはできず、できてもタイム差は開かない

ときおり10人超のパックが前をうかがうが、なかなか逃げの態勢は整わない。50km地点が近づいた頃に31人がリードを開始。そのまま逃げのグループとなるが、UAEチームエミレーツ・XRGがコントロールするメイン集団も約1分差で続く。

この状況を嫌ったハビエル・ロモ(モビスター チーム)とアロルド・テハダ(XDS・アスタナ チーム)が新たに逃げを試みるが、それも得られたリードは1分30秒ほど。やがてロモだけが先行する流れになるが、UAEが主導する集団はいつでもキャッチできる状勢に。結局、フィニッシュまで38kmを残したところで2人は引き戻された。

敗戦の記憶を払拭する独走劇

ロモに代わって集団からアタックしたのは、リチャル・カラパスEFエデュケーション・イージーポスト)。1級山岳ピュイ・マリーを攻めて、頂上をトップ通過する。約30秒差で続く集団では、UAEに加えてデカトロン・CMA CGM チームもペーシングに加わる。続く1級山岳ペルテュスに入ると、チーム ヴィスマ・リースアバイクも前方へ。ヨナス・ヴィンゲゴーハンセンの走りはいかに。

カラパスとの差が縮まり、総合系ライダーたちによる争いのムードが高まってきた瞬間だった。ポガチャルがアタック。一瞬で集団を引き離し、やがてカラパスにも追いついた。フィニッシュまでの残り距離は15km。

「今日は新しい無線機を試していたのだけれど、観客が多いところでは何も聞こえなかったんだ。特に最後の10kmは、後ろとのタイム差や誰が追ってきているかがまったく分からなくて。だから、フィニッシュを目指して走ることだけに集中した。2年前に同じ場所でヨナス(ヴィンゲゴー)に負けたことが頭をよぎって最後の1kmまで自信がなかったのだけれど、フィニッシュが見えてきたときは本当にうれしかったよ」(ポガチャル)

ツール・ド・フランス

独走を試みるカラパスは敢闘賞を獲得

今回と同じル・リオランにフィニッシュした2024年大会の第11ステージで、ポガチャルはヴィンゲゴーとのマッチアップに敗れた。あのときはスプリントだったけれど、まるで何倍にもして返すかのような独走での雪辱。今大会3勝目は、マイヨ・ジョーヌに敬意を示してのフィニッシュライン通過となった。

ブーイングにもポガチャル「僕の闘志に火が点くだけ」

最後の15kmをマイヨ・ジョーヌが独走する間、沿道からは大なり小なりブーイングが飛んでいたという。強き者の宿命でもあるが、ポガチャルは意に介さない。むしろ、それが力になっているとまで。

ツール・ド・フランス

バスティーユ・デーにフランス国旗でも敬意を示す

「誰にでも好き嫌いがあるから、仕方のないことだよ。ただひとつ確かなのは、サイクルロードレースが好きな人の99%はすべての選手に対して温かいこと。家族みんなで応援する姿や、お気に入りの選手に熱いエールを送る姿を見ると、本当に素敵な気分になるんだ。ブーイングする人に何か言うとするなら? そうだね、“火に油を注いでいる”と言うべきなのかな……むしろ僕の闘志に火が点いているよとお伝えしたいね」(ポガチャル)

みたびの快勝で、ライバルのヴィンゲゴーとは総合タイム差3分36秒に。過去のツール勝利時と比較しても、第10ステージ終了段階でこれほどまでのタイム差に広げたことはない。

「他の選手たちのコンディションについては分からない。僕自身の調子はかなり良いのは確かだよ。それに、今大会のステージセッティングが僕やチームの能力的にピッタリなのだと思う。だけど、この先に控えるアルプスではどうなるかは想像がつかない。好調を維持することと、集中力を保つことが大事だね。気を抜かず、“1日ですべてが変わり得ることだってあるんだ”と肝に銘じて走り続けたい」(ポガチャル)

レムコが個人総合3位に浮上

ポガチャルの後ろでは、総合上位陣による争いが展開された。ヴィンゲゴーが主に牽引し、レムコ・エヴェネプールとフロリアン・リポヴィッツのレッドブル・ボーラ・ハンスグローエ勢、フアン・アユソリドル・トレック)、セクサスらが続く。

最終盤の3級山岳で遅れかけたレムコがみずからリカバーして、最後はステージ2位争いに先着。3位にはセクサスが食い込んだ。ヴィンゲゴーは少し遅れてのフィニッシュになって、7位で終えた。

「タデイがアタックしたときに、“これは自分のペースで上らないと厳しい”と感じたんだ。ひとりで追う形になるのかと思ったけど、協調できるメンバーがいたのは救いだった。彼らがいなかったらもっと苦しんでいたかもしれない。脚の調子? 日々良くなっているのは間違いない。きっと良い日が来るはずだよ」(ヴィンゲゴー)

個人総合3位でこのステージをスタートしたイサーク・デルトロ(UAEチームエミレーツ・XRG)が後退したことで、上位陣の順位が変動。レムコが3位に浮上し、アユソが4位、セクサスが5位とする。ヤングライダー賞のマイヨ・ブランもアユソへと移っている。

文:福光 俊介 from Le Lioran, France

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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