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サイクルロードレース コラム 2026年7月12日

2日連続の平坦区間でメルリールが2連勝。ポイント賞争いでピーダスンに最接近!|ツール・ド・フランス2026 レースレポート:第8ステージ

サイクルロードレースレポート by 山口 和幸
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ツール・ド・フランス

メルリールが圧巻の2日連続勝利

第113回ツール・ド・フランスは7月11日、ペリグー〜ベルジュラック間の平坦な180.4kmで第8ステージが行なわれ、スーダル・クイックステップティム・メルリール(ベルギー)が前日に続いてスプリント勝負を制した。総合成績ではUAEチームエミレーツ・XRGタデイ・ポガチャル(スロベニア)が首位のマイヨ・ジョーヌを守った。

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総合争いは小休止。スプリンターがゴールをねらう

スペインのバルセロナで開幕した大会は7日間をかけてフランス南西部に北上してきた。大会8日目のステージは豊かな森林に覆われたドルドーニュ県が舞台だ。このあたりで有名なのはラスコー洞窟で、40km地点でモンティニャック=ラスコー村の中心を通過すると、わざわざラスコー洞窟前に行って帰ってくるコースが設計された。

前日のボルドーに続いてワインの名産地。ステージの特性としても同様で、ベルジュラックはこれまでのツール・ド・フランスで常にスプリンターがねらうフィニッシュである。2017年にもペリグー〜ベルジュラック間のステージがあって、コースレイアウトもよく似ている。このときはスーパースプリンターのマルセル・キッテル(ドイツ)が勝利している。

この日のコースマップを見ても集団スプリント勝負を示唆していた。距離180.4kmで獲得標高はわずか1150m、カテゴリー4級の登りが2つあるだけ。102.6km地点にあるのがコート・ド・ドム、ゴール手前40km地点にあるのがコート・デュ・ビュイソン・ド・カドゥアンだ。

スタートの合図とともにカハルラル・セグロスRGAのヤコブ・オトルバ(チェコ)がこの日最初のアタックを仕掛けた。トタルエネルジーのティボー・ゲルナレック(フランス)も加わったが、度重なるアタックとカウンターアタックにより、すぐに追いつかれてしまった。

ツール・ド・フランス

スロック、オトルバ、ゲルナレックの3人逃げ

3km地点でロット・アンテルマルシェのリアム・スロック(ベルギー)がアタックを仕掛ける。6km地点ではオトルバとゲルナレックが再びアタックし、3人による逃げ集団となる。メルリールのスーダル・クイックステップとヤスペル・フィリプセン(ベルギー)のアルペシン・プレミアテックがメイン集団を引っ張り始めたが、タイム差は2分にまで広がった。

スロックが175kmを逃げに逃げる!

ゴールスプリント勝負に持ち込みたいスーダル・クイックステップとアルペシン・プレミアテックの働きによって、3人とメイン集団のタイム差は58km地点での2分15秒を超えることはなかった。2つの山岳賞ポイント、コート・ド・ドムとコート・デュ・ビュイソン・ド・カドゥアンはスロックがトップ通過したが、得点は各1点なので山岳賞争いには影響せず。

122.8km地点の中間スプリントポイントはオルトバ、スロック、ゲルナレックの順で通過。続くメイン集団はフィリプセンが4着通過で14点、XDS・アスタナ チームのマックス・カンター(ドイツ)が5着12点、ポイント賞ジャージのマイヨ・ヴェールを着用するリドル・トレックマッズ・ピーダスン(デンマーク)が6着10点。

残り40km地点のコート・デュ・ビュイソン・ド・カドゥアンでスロックが単独になる。メイン集団は1分40秒遅れでこれを追う。ビニヤム・ギルマイ(エリトリア)率いるNSNサイクリングチームの牽引にもかかわらず、集団は差を縮めるのに苦労するほどスロックが粘りを見せたのだ。

スロックは残り10km地点でも1分リードを保っていた。カンターのXDS・アスタナ チームがたまらず集団の先頭に躍り出る。リック・プルイマース(オランダ)のチューダー・プロサイクリングチームとミラン・フレティン(ベルギー)のコフィディスもペースアップに加わった。こうしてスロックは最終的にゴールまで1.5kmの地点で追いつかれたが、この日の敢闘賞を獲得した。

「今シーズンは僕にとって大きな飛躍のシーズンだった。本当は違う形で成功したかったんだけど、みんなは僕のことをGPギッピンゲンで覚えている。でも、これからは別のことで僕のことを覚えていてくれるかもしれないね」

ゴール後にスロックがコメントしたのは、6月14日にスイスで行われたGPギッピンゲンのことだ。このレースでスロックは3人の逃げからゴール前で抜け出し、勝利を確信してウイニングポーズをしたのだが、強風にあおられてバランスを崩して転倒。幸いにも路面を滑りながらフィニッシュラインを通過したのだが、25歳にしてのプロ初勝利は思わぬことで話題となってしまった。

ツール・ド・フランス

ペリグーのサン=フロン教会(世界遺産)を通過

「残り30kmから15kmの間はあまりタイムロスしていなかったので、長い間自信があった。ところが、幹線道路に入ってからかなりタイムロスしてしまい、その時点で厳しい戦いになるだろうと悟った。それでも、まだ諦めずに走り続けた。信じなければ走らないほうがましだからね」

ロットの下部チームから走り続けて、ずっと夢見てきたというツール・ド・フランスに初出場したスロック。6歳のときに沿道でツール・ド・フランスを観戦し、それ以来ずっと「いつか自分も出場したいと夢見てきた」という。「20年後、ついにここにたどり着いた」と敢闘賞の表彰台で笑顔を見せた。

ツール・ド・フランスはこの時点ですでに成功(メルリール)

そのスロックを最後に捕らえた大集団は、予想通りにスプリント勝負へ。XDS・アスタナ チームは残り1km地点で好位置に立ったが、アルペシン・プレミアテックのマチュー・ファンデルプール(オランダ)がフィリプセンを従えて先頭に躍り出た。エーススプリンターのフィリプセンは、残り200mでデカトロン・CMA CGM チームのオラフ・コーイ(オランダ)とメルリールに抜かれ、反応することができなかった。最後はメルリールが2日間で2度目の勝利を挙げ、ギルマイ、コーイが続いた。

メルリールはこれで今大会2勝目、大会通算5回目のステージ優勝となり、2023年にフィリプセンが達成して以来、2ステージ連続で勝利した最初のスプリンターとなった。優勝候補のフィリプセンは前日に5位、この日4位。ポガチャルは無事にステージを終え、中央山塊の丘陵地帯で行われる第9ステージを前にマイヨ・ジョーヌを保持した。

「自分が主役だとは感じなかった。最後の最後まで、ずっと自分のポジションを守るために戦わなければならなかった。少し窮地に立たされ、危うく転倒しそうになり、一瞬、レースは終わったと思った。先頭を走っていた選手たちに追いつこうと最後の力を振り絞り、残り250m地点でものすごいスピードで追い上げてそのままゴールまで全力疾走した。そして最後の50mで、もうこれ以上は無理だと感じた。でも、ゴールラインが見えてくると、誰よりも力を出し切れる気がした。この暑さの中、本当に厳しいレースだった」とメルリール。

ツール・ド・フランス

旧市街へ入るレイアウトで渋滞も...

「1勝すれば、2勝目も勝ちやすくなる。2連勝できてうれしい。僕にとってツール・ド・フランスはこの時点ですでに成功と言えるね」

大会第1週のフィナーレは過酷な中央山塊

ポイント賞争いは第4ステージを制したピーダスンがそのときからリーダージャージのマイヨ・ヴェールを確保するが、228点のピーダスンに213点のメルリール、201点のギルマイ、175点のフィリプセンと接戦が続く。

「メルリールは、私とはマイヨ・ヴェールに対するアプローチが違うと思う。もちろん、彼はどんなスプリントフィニッシュでも高得点を獲得できる」とピーダスンは語っている。

ピュアなスプリンターに対してピーダスンは集団スプリントが得意ではない。そのため序盤から逃げて中間スプリントポイントで第1集団の1着を取ってポイントを積み重ねていくのが作戦だ。翌日の第9ステージは逃げに加わりやすいコースで、「ポイント賞の最高得点を獲得したい」と考えているという。

第4ステージでやったことを再現して、できるだけ多くの得点を稼ぎたい。強豪スプリンターとアプローチは違えど、目標は同じ。自宅で観戦するファンが、エキサイティングなレースを楽しんでくれることを願っている」(ピーダスン)

ツール・ド・フランスで第1週と呼ばれるのは初日から9日目まで。3週間の中でずば抜けて長い日々の最終日となる。日曜日だけに見どころの多いルートが設定された。舞台は中央山塊のコレーズ地方で夏休みのフランス人家族がバカンスを楽しめるような気持ちいい施設が点在する。

第9ステージは標高差3300mで、次々と出現する坂に対応できる選手たちが逃げ切りをねらう。ピーダスンがねらう中間スプリントポイントは序盤の44.9km地点。ここを過ぎると起伏が多くなり、シュック・オ・メイの厳しい上り坂が出現し、161km地点のモン・ベッスーとともに勝負のポイントとなる。モン・ベッスーからゴールのユセルまでは25kmでいくつかのアップダウンが残っている。

マイヨ・ヴェール争いとともに、このあたりで1勝しておきたいと野心を燃やす選手やチームがどこでどんな動きを見せるかに注目。

文:山口和幸

山口 和幸

ツール・ド・フランス取材歴30年超のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、東京中日スポーツ、ダイヤモンド・オンライン、LINEニュース、Pressportsなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)、講談社現代新書『ツール・ド・フランス』。青山学院大学文学部フランス文学科卒。

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