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サイクルロードレース コラム 2026年4月21日

その壁は希望か絶望か!? 険しい丘陵地帯を舞台にする激坂一本勝負|Cycle*2026 ラ・フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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ラ・フレーシュ・ワロンヌ

パンチャーやクライマー系の選手が集う

春のクラシックシーズンは後半戦に入っている。4月22日に開催されるのは、“キング・オブ・ザ・ヒル”ことラ・フレーシュ・ワロンヌだ。長短あらゆる上り坂を得意とするパンチャーやクライマー系の選手が集うレースは、激坂一本勝負。勝負の舞台となるのは、フィニッシュへと続く激坂、ミュール・ド・ユイ(ユイの壁)である。

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すべては最大勾配26%のユイの壁が審判する

ラ・フレーシュ・ワロンヌは週の半ばに開催されるのが慣例で、直前の日曜に行われるアムステル・ゴールドレースと翌日曜に催されるリエージュ〜バストーニュ〜リエージュとならんで「アルデンヌクラシック」の地位を形成している。

初開催は1936年。その頃はみずからのアイデンティティを求めて開催時期を転々としていたが、1951年にリエージュ〜バストーニュ〜リエージュとタッグを組む形をとり、1985年に現在の水曜開催に落ち着いた。それを機に、フィニッシュ地をミュール・ド・ユイへと変更。これが功を奏し、たくさんの名勝負を生むこととなる。

日本では「ユイの壁」として馴染みのあるミュール・ド・ユイは、登坂距離1.3kmで、平均勾配は10%。ただ、レースシーンにおける最も過酷な上り坂との見方もあるように、登坂区間なかばで最も勾配が厳しくなり、最大勾配は26%とも29%とも言われる。

レース距離200kmに設定される今回は、中間地点を過ぎたところでユイの壁を基点とする周回コースへ。その間、この上りを3度越えることになり、特に3回目は頂上に敷かれるフィニッシュラインを目指してのクライミングになる。急勾配のポイントを過ぎると、フィニッシュまでは約500m。そこで踏み込めるかが勝敗を分けることとなり、数百メートルのうちに数秒、いや数十秒ものタイム差がつくことも。

コースプロフィール

コースプロフィール

ベルギー南部の丘陵地帯を走るレースとあり、公式には11カ所の登坂区間が設置されている。ただ何といってもユイの壁の威力がありすぎて、その他の上りは前座的な扱いになってしまう。早めに仕掛けて逃げ切る……という展開も可能性としてはゼロではないが、コース特性上難しいというのが実情だ。やはり、押さえておくべきはユイの壁である。

ちなみに……ちょっとした種明かしをすると、この激坂の“正体”は住宅街。人口約2万人のユイの街にあるひとつの坂……といった趣きなのである。それがひとたびレースになると、世界中がエキサイティングする地に様変わり。普段は舗装を守るためクルマの通過は周辺住民のみに限定されていて、そのあたりはレースをリスペクトする意味合いが強いよう。サイクリストの聖地らしく、天気の良い日には“坂好き界隈”のライダーたちでにぎわっている。

ラ・フレーシュ・ワロンヌ

毎年熱戦が繰り広げられるユイの壁

ユイの壁経験者が有利? 19歳セクサスに初出場初優勝の期待

難攻不落の壁に挑む猛者たちをチェックしてみよう。彼らにとって、それは果たして希望となるのか、はたまた絶望か。

今大会を前に絶好調が伝えられているのがポール・セクサス(デカトロン・CMA CGM チーム)だ。王国フランスの期待を一身に背負う19歳は、もはや将来性の話を必要としないほどにトップランクまであっという間に駆け上がった。この4月には、イツリア・バスクカントリーで圧勝。名だたる総合系ライダーを後ろに回して、完全にレースを支配した。とりわけ、急坂での力強さが光り、他選手の追随を許さなかった。その姿は、ユイの壁でのクライミングをイメージさせるものに。初出場ではあるが、勝つ可能性は大いにあるとの見方だ。

昨年、一昨年と2位に入っているのが、ケヴィン・ヴォークラン(イネオス・グレナディアーズ)。今季からチームが変わったが、得意とするレースとあってエースとして臨む公算だ。何といっても強みは、コースを熟知し戦い方を知る点。最終登坂にフォーカスするスタイルで初優勝を目指す。気がかりなのは、直前のアムステルで落車したこと。大きな負傷はなかったようだが、どこまで回復できているか見る必要がありそうだ。

マティアス・スケルモース(リドル・トレック)も調子を上げてきている。アムステルでを2位で終え、勢いに乗って今大会へと乗り込む。2023年には2位を経験。期待された昨年と一昨年はうまくかみ合わずリタイアに終わっているが、今回はその雪辱戦の意味合いもある。

ラ・フレーシュ・ワロンヌ

エヴェネプールは今年も出場予定

UAEチームエミレーツ・XRGは、昨年圧倒的な強さを披露したタデイ・ポガチャルが欠場。代わってブノワ・コスヌフロワがエースを務める。ワンデーイベントには絶対の自信を持ち、チームが変わった今年もこの時期に合わせて調子を上げてきた。アムステルでも3位と上々の走りを見せており、今大会への期待度も高まっている。チームの組織力でコスヌフロワをユイの壁決戦に引き上げるのがセオリーだ。

セクサス、ヴォークラン、コスヌフロワとフランス人ライダーの名が多く挙がるが、まだまだ有力視されるフレンチマンが控えている。昨年4位のレニー・マルティネス(バーレーン・ヴィクトリアス)、ロマン・グレゴワール(グルパマ・FDJユナイテッド)、ヴァランタン・パレパントル(スーダル・クイックステップ)も一発のある選手たち。

先のアムステルを勝ったレムコ・エヴェネプール(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)、対照的に落車で鎖骨を骨折したマッテオ・ジョーゲンソン(チーム ヴィスマ・リースアバイク)は、当初出走を予定していたが直前でキャンセル。レッドブルはダニエル・マルティネス、ヴィスマはヨルゲン・ノードハーゲンがそれぞれ代役になるとみられる。

最後の最後まで決定打が出ない状況になれば、一昨年6位のトビアス・ヨハンネセン(ウノエックス・モビリティ)や、直近の丘陵レースで勝っているアナス・フォレーヤ(チーム ジェイコ・アルウラー)といったアウトサイダーにもチャンス。ジュリアン・アラフィリップやマルク・ヒルシ(チューダー プロサイクリングチーム)、ディラン・トゥーンス(コフィディス)といった優勝経験者も返り咲きへ奮起する。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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