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マッズ・ピーダスンが個人総合2連覇 春のクラシックへ好感触、「ここからの2カ月が重要になる」【Cycle*2025 ツール・ド・ラ・プロヴァンス:レビュー】
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介個人総合連覇を果たしたマッズ・ピーダスン
南フランスを駆けた3日間の短期決戦、ツール・ド・ラ・プロヴァンスは前回に続きマッズ・ピーダスン(リドル・トレック)が個人総合優勝。持ち前のスピードだけでなく、レース巧者ぶりも発揮して狙い通りの連覇を果たした。
「イメージ通りにレースが運ばなかった部分もあったけれど、個人総合優勝できたことには満足しているよ。すべて順調に物事が進んでいる証拠だと思っている」(ピーダスン)
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前回行われた個人タイムトライアル(プロローグ)がなくなり、全3ステージともラインレースとして行われた今回。昨年はプロローグで波に乗ってライバルの追随を許さなかったピーダスンだったけど、今年は第1ステージでスプリントが不発。一時は追う立場になったが、攻めの姿勢をより強めて連覇へと向かっていった。
とりわけ真価を発揮したのが第2ステージ。レースの大部分で主導権を握り続けたチームの働きに応えるべく、難所とされた1級山岳でアタック。フィニッシュ前30kmで形成された3人の先頭パックは一度追走グループの合流を許したが、そこからもう一度加速。そのきっかけを作ったマテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス)とともに逃げて、やがて一騎打ちへと持ち込んだ。
「第2ステージが今大会で最も僕に適しているコースだと思っていたんだ。集団スプリントになることも頭にはあったけど、結果的にはそうならなかったね」(ピーダスン)
ピーダスンとモホリッチ。プロトンのトップを行く両者のマッチアップは、メンタルゲームでもあった。
「マテイは最後の何キロかで“脚がいっぱいだ”と言っていたけど、僕は気を抜かないよう心掛けたよ。フィニッシュラインを通過するまで何が起こるか分からないからね。後ろから集団が迫ってきていることは分かっていたし、僕にとってもリスクのある戦いだったんだ」(ピーダスン)
緊迫の1日を乗り切ったことで、最終の第3ステージは前日に得たモホリッチとの総合タイム差13秒を取り崩さぬよう走るだけで良くなった。26秒差でこの日を迎えていたラウル・ガルシア(アルケア・B&Bホテルズ)が逃げたことで、アシスト陣を含むチームとしての働きはハードになったけど、うまく立ち回ってピンチを切り抜ける。ステージ2連勝をかけたピーダスンのスプリントは、パスカル・アッカーマン(イスラエル・プレミアテック)の落車をかわすので精いっぱい。それでもきっちりとフィニッシュラインを通過して、大会2連覇を確定させたのだった。
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【ハイライト】ツール・ド・ラ・プロヴァンス 第3ステージ|Cycle*2025
大方の予想通りに勝ってみせたピーダスン。今回の戦いを終えて、改めて直近の目標を北のクラシックに据えると表明した。なかでも、パリ〜ルーベへの位置づけは何よりも高い。
「僕にとってはここからの2カ月が大事になってくる。この大会を勝ったから十分なんてことはないんだ。やるべきことがまだまだある。現時点ではベストコンディションにはほど遠いけど、これから上げていくよ」(ピーダスン)
2位で終えたモホリッチも、目下のターゲットは春のクラシック。“オープニングウィーク”とも称されるベルギー・フランドル地方での2連戦、オンループ・ヘット・ニュースブラッド(3月1日)とクールネ〜ブリュッセル〜クールネ(3月2日)へのテストに位置付けていたこのレースで、状態の良さを確信することができた。
「マテイは目標とする2つのレースへ大きな自信にできていると思う。まだ2週間あるので、さらに調子を上げてベルギーへ向かえるだろうね」(バーレーン・ヴィクトリアス スポーツディレクター:ミハウ・ゴワシュ氏)
今大会の主役は、リーダージャージ争いの中心にいた2人だけではなかった。サム・ベネット(デカトロン・AG2Rラモンディアール チーム)がスプリントで第1・第3ステージを勝利。2020年ツール・ド・フランスのマイヨ・ヴェール(ポイント賞)は近年、なかなか勝ち星に恵まれなかったが、この活躍から再度の進撃が始まるか。勝った2ステージとも、スプリント開始時はベストポジションではなかったものの、加速のタイミングやライン取りといった“嗅覚”が冴えた。何より、スピードと勝負強さが戻ってきた印象だ。
「シーズン初勝利を収めるためにこの大会に臨んでいた。だけど、1つ勝てばもう1回勝ちたいと思うもの。今日(第3ステージ)は残り3kmの時点で集団の後ろから抜け出せず、最後の1kmは常に全力で走っているような感じだった。それでも勝てたのはチームメートのおかげだよ」(ベネット)
全3ステージ・総距離542kmの戦いは最終的に、ピーダスン、モホリッチ、マライン・ファンデンベルフ(EFエデュケーション・イージーポスト)が総合表彰台を占めた。その他各賞は、ポイント賞がピーダスン、山岳賞がダミアン・ジラール(ニースメトロポール・コートダジュール)、ヤングライダー賞は最終日に逃げで見せ場を作ったラウル・ガルシア(アルケア・B&Bホテルズ)がそれぞれ受賞。チーム総合は、終始レースの主導権を握り続けたリドル・トレックがトップとなった。
文:福光 俊介
福光 俊介
ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う
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