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25回目を迎える記念大会の勝負地はもちろんウィランガ・ヒル、最終日はアデレードでスプリントフィニッシュ【Cycle*2025 ツアー・ダウンアンダー:プレビュー】
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか2025シーズン開幕!
新しいシーズンの幕が、2025年も、南半球で開ける。長い休息から目覚めたプロトンが、真新しいジャージを身にまとい、フレッシュな新顔とともに、真夏の南オーストラリア州を駆け巡る。今季最初のUCIワールドツアー大会、ツアー・ダウンアンダーは、1月21日(火)から26日(日)までの全6日間かけて争われる。
前世紀の終わり、1999年に産声を上げたダウンアンダーは、今年でめでたく第25回目を迎えた。ツール・ド・フランスに倣ってイエローだった総合リーダージャージは、2006年にオーストラリアの大地の色オークルに変わり、2008年には欧州以外で初めてのUCIワールドツアー(当時はUCIプロツール)の仲間入り。コロナ禍による2度の中断をも、難なく乗り越えた。
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スプリンターのための大会だった時代もある。ただ2012年に初めてウィランガ・ヒル山頂フィニッシュが登場すると、総合表彰台は、山男たちに占領されていく。さらに近年は山の上で大会が締めくくられるようになり、特に昨年は、初めて最終2日間に山頂フィニッシュがぶつけられた。こうしてダウンアンダーは、上り調子のクライマー&パンチャーをあぶり出す格好の舞台となった。
迎える25回大会は、近年の山重視の流れを継承しつつ、スプリントの伝統にも立ち返る。いつも通りにスプリンター向けの地形から走り出すと、2日目から徐々に難度はクレシェンドしていく。
たしかに第2ステージは、集団スプリントで終わった昨年第1ステージとほぼ同じ周回が使用される。ただ進行方向は逆で、3度も襲いかかるメングラーズ・ヒルは去年4級(登坂距離900m、平均勾配5.5%)→今年1級(2.7km、6.9%、最大12.2%)と激化した上に、しかもスタートからいきなり上り始めるという。
3日目もまた、2級(10km、4.1%)の上りでヨーイドン。最終盤には今大会初登場、1級ノッツ・ヒル(2.6km、8%、13.4%)が2度そびえ立つ。パンチャーたちの脚がうなるか。2回目の激坂のてっぺんから、フィニッシュまでは残りわずか5.6kmだ。
翌第4ステージは海を近くに感じつつ、どうやらスプリンターチームに責任が課される日。ただコース半ばに複数の起伏が待ち構えているし、フィニッシュまで21km地点の1級ネネット・ヒル(1.9km、8.1%)は、なんと最大勾配17.7%であるからして、果たして追走が可能かどうかは分からない。なにより第1回大会の総合覇者にして、現大会開催委員長スチュワート・オグレイディに敬意を表する機会でもある。1999年第3ステージ……オグレイディが今大会初ステージ勝利を飾った時と、同じスタート地&フィニッシュ地が用意された。ちなみに26年前の「スチュ」の勝ち方は……逃げ切り独走だった。
第5ステージは1級ウィランガ・ヒル山頂フィニッシュ!
もちろん2025年大会のクライマックスは、第5ステージ、1級ウィランガ・ヒル(3km、7.4%、11%)での山頂フィニッシュ!まさしくダウンアンダーの代名詞と言える勝負地には、いつも通り、ラスト25kmで2度よじ登る。ただ今年はちょっぴり趣向を凝らし、ステージ前半にも1級ウィックハム・ヒル(3km、6.9%、11%)が差し挟まれた。集団ののふるい分けは、早い段階から始まりそうだ。なにしろこの日の終わりに、総合争いは、おそらく完全に決着がつく。
そして原点への回帰。創設からの20年間は、例外なく、ダウンアンダーは大会本拠地アデレードで締めくくられてきたものだった。その後4大会は山頂フィニッシュがトリを飾ってきたが、今回、久しぶりにフラットなスプリントフィナーレが帰ってくる。クリケット場アデレード・オーバルの周りに描かれた4.5kmのコースを、全部で20周回。州都の沿道は、素敵な熱狂に包まれるに違いない。というのも開催委員会曰く「スーパーサンデー」で、同じ日の午前中には、完全に同じコース・同じ距離で、今シーズン初の女子ワンデーレースが初開催予定なのだ。
記念大会だからこそ、地元オーストラリアの強豪たちは、例年以上にモチベーション高く大会へと乗り込んでくるのだろう。ジェイ・ヴァインには2年ぶり2度目の総合優勝をかけ、すでに開幕前クリテリウムをさらいとったサム・ウェルスフォードには、スプリント3勝&ポイント賞と大暴れした昨大会の再現が期待される。豪州ワールドチームのジェイコ・アルウラーも、ルーク・プラップを筆頭に区間も総合も狙えるメンバーを揃えてきた。
新しいジャージやメンバーにも注目!
もちろん昨大会を賑わせた主役たち、総合覇者スティーヴン・ウィリアムズに、2位ジョナタン・ナルバエス、そしてウィランガ・ヒル勝者にして総合4位オスカー・オンリーも、その後のシーズンでさらに選手としての格を上げて……まとめてダウンアンダーへと帰ってくる。嬉しいことに、日本の留目夕陽も初出場だ。
シーズン一発目のレースということで、ファンの我々は、真剣勝負を堪能するのはもちろん、今後に向けてプロトンの新たな構図もチェックしておきたい。ジェイコの新しいジャージの色は?去年までDMSだったチームの新名称は?そして自転車メーカーXDSを新スポンサーに迎えたアスタナの、驚くほど大量補強の面々は!?
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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