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【速報 ツール・ド・フランス2024】タデイ・ポガチャルが区間6勝で総合優勝、26年ぶりにダブルツールを達成!/第21ステージ
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【Cycle*2023 ツール・ド・フランス 2週目まとめ】10秒差で締めくくられた世紀の一騎打ちは3週目に引き継がれる。マイヨ・ジョーヌのヴィンゲゴー「とてつもない接戦だし、真の大バトルだ」
ツール・ド・フランス by 宮本 あさかタデイ・ポガチャル
世紀の一騎打ち。17秒差で始まった大会2週目は、10秒差で締めくくられた。大会初日からいきなり勃発したヨナス・ヴィンゲゴーとタデイ・ポガチャルの総合争いの結末は、15日間かけて、すでに約2600kmを走破した後でも、いまだに見えてこない。
2023年ツール・ド・フランスには、いわゆる「移動ステージ」も「退屈なステージ」も、決して存在しないのだ。中央山塊で過ごした休息日の翌日、プロトンは信じられないほど全速力で走り出した。逃げ向きの中級山岳コースだというのに、総合上位の2名が睨み合いながら前に飛び出したせいで、さらにスピードは上がった。2日後の第12ステージ、ボジョレーのぶどう畑を縫うように引かれた起伏ステージでも、やはりヴィンゲゴーとポガチャルは互いに挑発するように加速を繰り返した。
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幸いにも、この2日間に限っては、2人は軽いジャブの打ち合いのみで満足した。一時は後方に吹っ飛ばされた「その他大勢」の総合エースたちは、落ち着いて集団内でフィニッシュすることができたし、ペリョ・ビルバオとヨン・イサギレは、開幕の地バスクに10日遅れで喜びを届けた。
さすがに第11ステージの大集団スプリントフィニッシュでは、ヴィンゲゴーもポガチャルも無茶はしなかった。そもそも平地の争いに関しては、ヤスペル・フィリプセンの1人勝ち。これまで5区間で全力ダッシュし、うち4回で拳を天に突き上げた。第8ステージのマーク・カヴェンディッシュ落車棄権に続き、第12ステージにはファビオ・ヤコブセンが4日目の落車の痛みを理由に未出走を選び、第13ステージにはカレブ・ユアンが最後尾で孤独な奮闘を続けた末に自転車を降りた。ライバルスプリンターたちが次々と大会から去っていく一方で、フィリプセンはポイント賞ジャージをしっかり着込む。
秒単位の本気のバトルは、7月14日、フランス革命記念日にいよいよ再開した。
道の果てに孤高に聳える超級グラン・コロンビエが、ミハウ・クフィアトコフスキの感動的な逃げ切り初優勝を演出し、その背後ではUAEチーム・エミレーツが猛然と牽引に励んだ。狙っていた2度目の区間勝利も、1位10秒と2位6秒のボーナスタイムも取り逃したものの、エースを区間3位に送り込むことには成功する。ラスト450mのアタックで、「ペダルで」ヴィンゲゴーを4秒突き放す共に、ポガチャルはボーナスタイム4秒を収集する。
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【ハイライト】ツール・ド・フランス 第13ステージ|Cycle*2023
「区間勝利が取れたらそりゃあよかったけど、僕らにとっては上出来の1日だった。数秒を取り戻せたからね。厳密には勝利ではないけど、マイヨ・ジョーヌ争いにおける勝利だ」(ポガチャル)
第5ステージの「マリー・ブランク峠での大失速」で最大53秒にまで広がったタイム差は、第13ステージの終わりに、ついに9秒にまで縮まった。ところが翌日、すぐさまヴィンゲゴーが差を10秒へとこじ開ける。
超級ジュー・プラーヌの山頂に設けられていた「ボーナスポイント」を、希望通りにポガチャルが獲れていれば、むしろライバルを4秒差に追い詰めていたはずだった。ところが歴史的一騎打ちをその目で見ようと山に集まった無数の観客と……やはり歴史的一騎打ちをカメラにおさめようとギリギリを攻めすぎた2台のメディアバイク(1台はテレビ、もう1台はフォト)に行く手を阻まれた。山頂手前500mで切り裂くような加速を披露したものの、即座に足止めを喰らってしまう。
逆に、ステージ序盤からユンボ・ヴィスマのチーム総出で攻撃的な走りを見せ、さらには上りで何度アタックを打ち込まれ、何度距離を開けられても、粘り強い精神力と安定した脚力とで必ず宿敵の背後へと舞い戻ったヴィンゲゴーが……山頂間際のカウンターで首位通過8秒をまんまと回収。ポガチャルは2位通過5秒で満足するしかなかった。
最終的には壮大なお見合いをしている隙に、区間勝利を若きスペインの星カルロス・ロドリゲスにさらい取られ――総合3位にも浮上した――、区間2位=ボーナスタイム6秒と3位=4秒をそれぞれポガチャルとヴィンゲゴーが分け合うことに。
クールダウンするヨナス・ヴィンゲゴー
「良い1日になった。たった1秒だけど、タイム差を広げられた。いまだこうしてマイヨ・ジョーヌを着ているし、ジャージの日々を楽しんでいる。もちろん願いは、パリまで着続けること」(ヴィンゲゴー)
ちなみにボーナスタイム制度が一切存在しなかった場合、総合首位ヴィンゲゴーと2位ポガチャルの差は28秒。だからこそディフェンディングチャンピオンは、時に守備的すぎるほどの戦術を採用し、ライバルのボーナス収集を出来る限り阻止しようと奮闘する。
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【ハイライト】ツール・ド・フランス 第15ステージ|Cycle*2023
大会2週目のクライマックス、第15ステージの山頂フィニッシュへ向けても、やはりユンボ・ヴィスマは無理には逃げを追いかけなかった。沿道の観客の不注意で、大切なアシスト役の2人、セップ・クスとネイサン・ファンホーイドンクが地面に叩きつけられる事故があったせいでもある。前日にステージ序盤に濡れた路面で巨大な集団落車が発生し、一時レースが中断するアクシデントが起こったばかりだった。
またチームの中から、ワウト・ファンアールトが逃げに乗っていたせいでもあった。これまで大集団スプリントから個人タイムトライアルまで、モン・ヴァントゥを越えるステージでもシャンゼリゼ大通りでも勝ってきた究極のオールラウンダーは、初めての「難関山頂フィニッシュ」勝利を目指していた。ただ、相手が悪すぎた。元クリス・フルーム山岳最終補佐、ワウト・プールスの本物の山の脚には、さすがに敵わなかった。
逃げを許された38名もの巨大なグループの中では、マイヨ・ジョーヌと同様、いまだ持ち主がはっきりと定まっていないマイヨ・ア・ポワを巡って熾烈なバトルも繰り広げられた。8日間にわたり山岳賞首位に留まったニールソン・パウレスは、前日、同ポイント(54pts)ながらヴィンゲゴーに赤玉を譲り渡し、この日も同ポイント(58pts)ながらジュリオ・チッコーネの次点に甘んじた。
そして肝心の2人の綱引きも、大会3度目の日曜日、引き分けに留まった。2023年ツールの難関山岳ステージで、初めて、ヴィンゲゴーとポガチャルのタイム差に変動がなかった。
この日はUAEが猛烈に攻め立てた。なにより逃げたマルク・ソレルと最終盤に早掛けしたアダム・イェーツが、フィニッシュ直前に待ち構え、ポガチャルの発射台役を務めたものの……盤石なヴィンゲゴーを突き放すことは不可能だった。10秒差のまま。勝負の行方は大会3週目に繰り越された。
「いまだにどちらが勝つのか、明言することはできない。とてつもない接戦だし、真の大バトルだ。ただ来るべき3ステージ……特にタイムトライアルを考えると、この先は『秒差』の戦いではなくなるはず。最終的に差は1分以内かもしれないけど、秒差が一桁というのは考えられない」(ヴィンゲゴー)
「今現在、どちらが精神的に有利な立場に立っているか分からない。ただ僕ら2人とも実力的にはほぼ対等で、しかも互いに刺激し合い、互いに進化を続けている。週明けの2ステージが総合争いを決めるだろう。『秒差』を埋められるよう、願ってる」(ポガチャル)
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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