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【ジロ・デ・イタリア2023 レースレポート:第9ステージ】ジロに激震! 個人TT勝利でマリア・ローザから一転、新型コロナウイルス感染でレムコ・エヴェネプールがリタイア
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ)
衝撃の報は、レース終了から5時間ほど経ったところでやってきた。レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ)が新型コロナウイルス感染によりジロ・デ・イタリアをリタイア。第9ステージの35km個人タイムトライアルでは、ペース配分をミスしながら、巧みなリカバリーでギリギリの勝利を収めていた。同時に、一度手放していたマリア・ローザに再び袖を通し、第2週以降へ地盤が固まってきた矢先だった。
「レースを離れることになり本当に残念。チームプロトコルの一環として受けた定期検査で、新型コロナウイルスの陽性反応が出た。ここまでの経験は特別なもので、この先2週間のレースを楽しみにしていた。ジロに向けて多くのサポートを施してくれたスタッフとライダーには感謝してもしきれない。これからの2週間はみんなの応援に回るよ」(レムコ・エヴェネプール)
昨冬からこのジロをターゲットにすると宣言し、年が明けてからはレース数を制限。調整に多くの日数を充て、リエージュ~バストーニュ~リエージュでの驚異の逃げ切りさえも「ジロの準備」と位置づけていた。大会に入ってからは落車や日々続く雨がストレスになったりもしたが、準備そのものは万全だった。それだけに、こんな形で大会を去る悲しさやショックはわれわれの想像に難くない。彼はロードレース界の未来であり、希望だ。彼のショックは、業界の、そしてわれわれのショックでもある。
マリア・ローザ争いにおける大会前半のヤマ場と目された35kmの個人タイムトライアル。今大会の個人TT総距離が73.2kmだから、おおよそ半分をこのステージで走ることになる。第1週の最後に設定されたことを踏まえれば、残る2週間の趨勢を左右する1日であることはイメージができる。高低の変化がほとんどない、スペシャリスト向けのレイアウトは、今回のTT比重の高さに惹かれた総合系ライダーにとって取りこぼしの許されないステージでもあった。
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