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【ジロ・デ・イタリア2022 レースレポート:第13ステージ】凄まじい追走撃の果てにアルノ・デマールが今大会3勝目「僕は力切れ寸前の状態でスプリントを打った。そして勝利をむしり取ったんだ」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかパニックとカオスの最中でも、デマールは2日前の失敗を繰り返さなかった。フェルナンド・ガビリア発射台マキシミリアーノ・リケーゼが凄まじい勢いで横を上がっていっても、決して惑わされず、ヤコポの後輪に座り続けた。そして、自分が一番好きなやり方を貫き……つまり自らの発射台の後ろから、自分が誰よりも1番にスプリントを打った。残り200mで最後の加速を切った。
コノヴァロヴァスと抱き合って喜び合うデマール
「本当に空っぽだった。僕としては珍しいことに、フィニッシュ後に倒れ込んでしまった。最後の石畳も全速力で、ひどく体が痛かった。でも勝てると分かっていた」(デマール)
まさしく団結力の勝利。最終発射台とはぐれたガビリアは4位に沈み、最終発射台がすでに帰宅済みのマーク・カヴェンディッシュは、3位で満足するしかなかった。そもそも「今大会は発射台がいないから自分でなんとかするしかない」フィル・バウハウスは、驚異的な伸びを見せ、グランツール区間自己最高の2位で滑り込んだ。
デマールにとっては、第5、6ステージに続く今大会3度目の区間勝利。第18ステージにあと1度スプリントチャンスが残っているから、自己最多記録の2020年大会4勝に並べるかもしれない。また攻撃的に勝ちに行った行ったおかげで、マリア・チクラミーノ用のポイントは総計238に伸ばした。2位カヴェンディッシュとの差は117点。たとえば第18ステージ優勝+ほぼ毎日中間ポイント首位ならば逆転可能……ということは、つまりほぼ逆転不可能得点差ではある。もちろんデマールはツールで2回の「制限タイムアウト」を食らった経験があるだけに、決して最後までジャージの行方は分からない。
2日前の平均時速47.015km、前日の45.880kmに続いて、この第13ステージも走行平均時速は45.393kmに達した。3日間連続で時速が45kmを超えたのは、大会側の発表によると、全105回の歴史を誇るジロ史上初めてだった。バルデを除く大部分の総合上位勢は、こんなクレイジーな3日間を上手く抜け出し、フアン・ロペスの「夢のような日々」もいよいよ10日目に突入する。
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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