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【ジロ・デ・イタリア2022 レースレポート:第13ステージ】凄まじい追走撃の果てにアルノ・デマールが今大会3勝目「僕は力切れ寸前の状態でスプリントを打った。そして勝利をむしり取ったんだ」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかスタート直後から働いていたクレモン・ダヴィや、登りでテンポを刻んだアッティラ・ヴァルテルは、とうの昔に力尽き、トビアス・ルドヴィグソンは残り17km前後で脚の痙攣を起こした。だから普段ならラスト5〜3kmで作業に取り掛かるイグナタス・コノヴァロヴァスが、残り16kmで作業に取り掛かった。そして、過去7度リトアニア個人タイムトライアル王者に輝き、2009年ジロでは最終日の個人タイムトライアル15.3kmを勝ち取った大ベテランのおかげで、デマールはスプリントへの希望を取り戻す。残り10kmで1分05秒差。
この日のスタート前インタビューで、「逃げ切りを許したほうがマリア・チクラミーノ保守に有利なのでは?」と意地悪な質問をされていたデマール。しかし「ジャージは3週間かけて獲るもの。だけどスプリントチャンスは今日を逃せばあと1度しかないんだよ」と語ったとおりに、脇目も振らず追いかけ続けた。
残り2kmでもいまだに差は24秒も残っていた。2日連続で逃げたエーンコーンは「成し遂げられると信じ続けた」し、昨夏ツール・ド・ポローニュ最終日に同じく平坦ステージでぎりぎりの逃げ切り勝利をさらったファンデンベルフは、「計画はパーフェクトに遂行されている」と感じていたという。
この日最後のカーブを抜け出した直後、残り1.5kmで、ところが前の4人は顔を見合わせてしまった。一瞬でタイム差は縮んだ。なにしろマイルズ・スコットソンが先頭を引き継いでいたグルパマ列車は、このカーブ直前から、集団からの「ロングアタックを許さぬよう」完全なる全力疾走に入っていたからだ。ファンデンベルフが慌てて単独アタックを試みたが、3人が追いついてきて、またしても顔を見合わせた。万事休す。
区間1勝目では臨時の最終発射台を務めたラモン・シンケルダムが、ラスト1kmを示すアーチをフルスピードでくぐり抜けると、最後まで粘り続けたマエストリの息の根を止めた。ラスト500mからは、いつも通りに、ヤコポ・グアルニエーリが加速を続けた。
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