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ピレネー2日目の第15ステージは、フォワからルーダンヴィエイユ・ルルーロンまでの196km。5つの峠が待ち受ける過酷なステージを制したのは、最後のペイルスルド峠でアタックしたヴィノクロフ(アスタナ)だった。マイヨ・ジョーヌのラスムッセン(ラボバンク)と総合2位のコンタドール(アスタナ)は、総合争いのライバルたちに56秒差をつけてゴール。この2人がパリの表彰台に向けて1歩抜け出した形となった。
この日も序盤から次々とアタックが生まれる。まずはペレイロ(ケースデパーニュ)、メンショフ(ラボバンク)、ベルドゥーゴ(エウスカルテル)らのグループがプロトンから抜け出した。その後ヴィノクロフらが合流しカテゴリー2級ポール峠を越えていったが、38km地点でプロトンに吸収される。続いてコール(ゲロルシュタイナー)とチョップ(ブイグテレコム)がアタックし集団との差を開いていくと、さらにバルベルデ(ケースデパーニュ)やヴィノクロフらのグループが合流し逃げは24人に。55km地点でプロトンに約5分の差をつけると、85.5kmの補給地点ではリードを8分5秒にまで広げた。
カテゴリー2級ポルテダスペ峠、1級マンテ峠では大きな動きは無く、逃げグループは127km地点でも約8分のアドバンテージをキープした。カテゴリー超級バレ峠にさしかかると、ランダルーチェ(エウスカルテル)がアタック。コール、チョップ、イワノフ(アスタナ)、アローヨ(ケースデパーニュ)が反応すると、5人は後続グループに約1分の差をつける。しばらくしてメンショフも合流した。峠まで9kmでチョップがアタックし1人で頂上を目指したが、後続グループから追い上げてきたキルシェン(T-モバイル)とアローヨに捕まり、3位でバレ峠を通過することとなった。
残り25km地点でキルシェン、アローヨ、チョップの3人は、後を追うヴィノクロフ、コール、ガラーテ(クイックステップ)、スベルディア(エウスカルテル)、コーボ(サウニエルドゥバル)、メンショフ、テュルパン(アージェードゥゼール)に30秒、25人のラスムッセン集団に7分半の差をつけていた。
いよいよカテゴリー1級ペイルスルド峠の登りに突入。キルシェンとアローヨがペースを上げるとチョップが脱落する。続いてヴィノクロフが後ろから追い上げ、先頭の2人に合流した。そのヴィノクロフは残り17km地点でアタックするもリードを保つことができず、コーボ、アローヨ、スベルディア、キルシェンに捕らえられた。ヴィノクロフのアタックが成功したのは峠まで約4km地点でのこと。スベルディアのアタックにカウンターを仕掛け、そのまま一気に頂上へ登っていった。後方ではコンタドールが執拗にアタックを繰り返しラスムッセンを苦しめるが、引き離すことはできなかった。
ペイルスルド峠を越えると、あとはゴールまで下りが続く。ヴィノクロフは後続を大きく引き離し、2位のキルシェンに51秒差をつけて堂々のステージ優勝を果たした。チームメイトのヒンカピー(ディスカバリー)と合流したコンタドールはゴールまで2km地点でもアタックしたが、ラスムッセンの堅い守りを崩すことはできず。2人はヴィノクロフに5分31秒遅れて、共にゴールラインを通過した。
最後の休息日をはさんで迎える第16ステージも、今日と同じく過酷な山岳ステージとなる。ラスムッセンとコンタドールの一騎打ちになるのか、それとも一気に逆転を狙う選手が大逃げを打つのか。いずれにしても今年のツールを決める1日となるだろう。
アレクサンドル・ヴィノクロフ(アスタナ)
ステージ優勝
今日はベストを尽くした。すごくいい下りができた。僕を、僕自身の力を証明するために、非常にモチベーションが高かった。体調は良かったんだ。それにチームのためにも非常にモチベーションが高かった。
僕は2ステージ勝つことが出来た。もちろんパリでの総合優勝を狙うためにツールにやってきた。でも第1週目に落車という不運に襲われた。しかも落車から体調を回復するために、たくさんの努力が必要だった。それにこの落車のせいで、計画を変えざるを得なかった。でも、人生ってこんなものさ。チャンスは方向を変えてどこかへ行ってしまった。だけど僕は後悔はしていない。
今日は20数人の選手と飛び出した。大人数での逃げだということは分かっていたけれど、最後の登りは知っていたから、自信はあった。コル・ド・バレスの登り道は狭くて非常に難しかった。でも僕は冷静に走ることが出来た。前の選手に追いつけるだろうと確信していたから。それにペイルスールド峠でひとりで飛び出せば、勝利を手にできると思ったんだ。堂々たる勝利を勝ち取ることが出来たね。
昨日は最悪の1日だった。脚はそれほど痛まなかったけれど、精神的に崩れてしまったんだ。苦しかった。だから最後には、落ち着いて走ろうと決めたんだ。僕にとってのツールは終わり、それは受け入れなければならないね。それでも僕はツールに留まり続けるし、戦い続ける。昨日の落車は、最後の登りでイワノフが観客と接触したから。彼の背後で走っていたから、僕も巻き込まれて転んでしまった。再び左ひざを打ってしまったけれど、それほど痛みはしなかったよ。
(クレーデンを表彰台に上げる戦術は?)ここで戦術のことを話すのには、まだ早すぎる。まずクレーデン本人に、今日どんな調子だったのかを聞きたいね。もちろんチームの目標は、クレーデンを表彰台に上げること。コルドービスクでは、僕は彼のために何かをしたい、彼を引っ張ってあげたいと思っている。なにしろコルドービスクは非常に難しいからね。
ミカエル・ラスムッセン(ラボバンク)
マイヨ・ジョーヌ
コンタドールのアタックに耐えるのは、信じられないくらい難しかった。コンタドールは時々オートバイの後ろについたことで、少し有利な点もあったんだと思う。それでも彼は素晴らしい加速力を見せた。彼はプロトン内でも最高の加速力を持っているね。僕は苦しんだし、プレッシャーも感じた。毎回、彼に追いつくことが出来て本当に嬉しいよ。
メディアが総合首位の選手に注目するのは当然のこと。アームストロングにとっても同じ状況だったと思うんだ。彼がマイヨ・ジョーヌを獲得していた時は、メディアから巨大なプレッシャーが彼の肩にかかっていた。でも彼はツール・ド・フランスを7回勝っているよ。
J SPORTS 編集部
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