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サイクル ロードレース コラム 2008年7月5日

【自転車】ツール本番前、チーム記者会見の様子

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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数日前から雨にたたられ、冷たい海風がブレストの町に吹き付ける。それでも街の中央広場にて行われた2008年ツール・ド・フランスチームプレゼンテーションには、たくさんのファンが詰め掛けた。ロビック、ボベ、イノーという偉大なるチャンピオンを生んだブルターニュは、フランス国内でも自転車熱が高い地方として有名だ。

この自転車の大地から始まるツールで、チャンピオンの座を勝ち取るのは誰なのか。エヴァンス、バルベルデ、メンショフ、クネゴ、サストレ、それともシュレク兄弟・・・?そして優勝候補に上げられる選手・チームが、それぞれのやり方で記者会見を行った。もちろん記者会見で選手たちの“脚”の状態は分からないが、意気込みや精神状態は少しだけ見えてきた。


■チーム全員で記者会見……チーム CSC サクソバンクの場合

「総合、区間ともに多くを期待できるチームと共にツール入りするのはひどく緊張するね」とリース監督本人に言わしめるほど、実力者たちの揃ったチーム CSC サクソバンク。確かにアップダウンステージ、スプリント、TT、山岳という各分野での超一流選手が今ツールに参加する。誰がリーダーになっても遜色のないチームだけに、全員で記者会見に臨んだ。

その中でもチームリーダーの座を務めるのはカルロス・サストレ。「今大会は個人タイムトライアルの総距離が短い。その代わりに山が多い。つまり個人として強い選手よりも、強い『チーム』が背後に控える選手に有利だ」と自信を覗かせる。

もちろん両脇を固めるフランク&アンディ・シュレク兄弟も、表彰台を狙う実力を持つ選手。特に昨年のジロで総合2位に輝いた弟アンディには、大いなる注目が集まっている。ただし本人は「まずはパリ完走を目指す。表彰台のことはほとんど頭にないんだよ」と欲はなさそう。一方、ツール・ド・スイスで絶好調ながら落車の犠牲者となったフランクは、「背中がまだ痛む。それに正直に言えば精神的に怖い思いをしたから、その気持ちを克服しなければ」と語っている。


■過去ツール王者と共に記者会見……バルベルデの場合

ツール直前の重要なステージレース、ドフィネ・リベレを勝ち取り、断然、優勝候補トップに躍り出たアレハンドロ・バルベルデ。2006年ツール王者オスカル・ペレイロと共にメディアの前に現れた。

記者会見で集中的に質問されたのは、「ドフィネ・リベレで見せた好調さを、ツールの第3週目まで果たして保つことが出来るのか」ということ。その疑問に、バルベルデ本人は「まあ、様子を見ていくしかない」と教科書通りの答え。ただし「ドフィネで優勝できたことは肉体的・精神的・モチベーション全ての面で非常にポジティヴ。スペイン選手権でもトップレベルの走りが出来たし、表彰台が欲しいね」とのこと。それに前年よりもレース日程を減らしたため、「もっと走りたい」という欲望が大いに高まっているそうだ。

ちなみに「バルベルデのために全力を尽くすのが第一目標」と語るペレイロによると、今ツールのステージ構成は「2006年みたいに、とんでもない大逃げが決まる可能性がある」んだとか。「ただし、もうボクを逃がしてはくれないだろうけどね・・・。逃げを成功させるのは、ボクではない他の誰かさ」。


■たった一人で記者会見……メンショフの場合

予定から30分近く遅れて、ふらり〜と会場に姿を現したのがデニス・メンショフ。ずいぶんとリラックスした様子なのは、今大会直前にチームとの契約を2年更新したせいだろうか。「物理的に大きな変化はないけれど、グランツール前に精神的な落ち着きと保証を得られたことは非常に大きい」と語っている。

過去、ツール→ブエルタというレーススケジュールをこなし、ブエルタを2度勝ち取ったチャンピオンには、「じゃあ今年はジロ→ツールというスケジュールだから、ツールを勝てる?」という質問も飛んだ。「そんな都合よく物事が運ぶなんてことは難しいだろうね。でもジロでは週単位で調子が上がっていくことを感じたし、最終週は本当に楽々だった。だからツールでもこのまま調子が上がっていくことを願っているよ」とメンショフ。そして会見を「ボクは総合優勝できると信じている」という力強い言葉で締めくくった。


■ホテルで記者会見……カデル・エヴァンスの場合

上記チームは全てプレスルームで記者会見を行ったが、カデル・エヴァンスはロビー・マキュアンと共に宿泊先にジャーナリストたちを迎え入れた。今年はボディーガードも雇い(アームストロングやヴィノクロフと同じボディーガード)、チームは専用栄養士・料理人も引き連れてツールを回る。チームはエヴァンス優勝に向けて細心の注意を払っている。

当の本人は、並み居るライバルたちの中ではメンショフこそが最も危険な人物と断言。「調整のつもりで出場し、最終週はわざと全力を尽くさなかったはずのジロで、あれだけの成績を残したんだから」という理由だ。肝心のエヴァンス自体の調子に関しては、「今日の調子はいいけどね〜」なんて笑ってはぐらかしていた。

しかし!アシストもトレインもいらない、ただツールで走りたい、そしてツール総合優勝者チームの一員になる喜びを感じたい・・・そんな理由で迷わずツール出場を決めたマキュアンのためにも、エヴァンスは総合優勝を果たす義務がある。ちなみにチームマネージャーのセルジャン氏によると、“計算上”でも今年はエヴァンスの優勝年。なにしろエヴァンス最初のツール参加は総合8位→2年目は総合4位→3年目は総合2位。年々、成績は2分の1になっていっているのである。


■記者会見は開かず……クネゴの場合

ランプレは記者会見を行わず、さらにメディアの接近もシャットアウト。総合争いのための精神集中だろうか?



そして、7月5日(土)、開幕を迎えたツール・ド・フランス2008。
美しく壮大なフランスを舞台に繰り広げられる激戦を、ぜひJ SPORTSでご覧ください。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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