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【Cycle*2021 イル・ロンバルディア:レビュー】怪物・ポガチャル、メルクス以来49年ぶり大記録でロンバルディア制覇「僕はここでこうして勝利を手に入れた」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかダニエル・マーティン
そんなイスラエルに加えて、世界選手権2連覇ジュリアン・アラフィリップ擁するドゥクーニンク・クイックステップと、ワンデー2連勝ログリッチ率いるユンボ・ヴィスマが、きっちり仕事を分け合った。今大会トップ5入り2度のティム・ウェレンスを含む逃げ集団には、最大6分半のリードを許した。
ツール覇者として同秋のロンバルディアで3位に入ったベルナルこそ不参加だったものの、元ジロ覇者テイオ・ゲイガンハートを連れてきたイネオス・グレナディアーズは、むしろアダム・イェーツのために働いた。レースもいよいよ残り90kmを切り、ドッセーナとザンブラへの連続登坂を迎えると、波状攻撃を開始。アシストが交互にアタックを繰り出し、メイン集団に揺さぶりをかけた。
ドゥクーニンクとユンボはすぐにアシストがチェックに向かい、イスラエルは穴を埋めに走った。リエージュ4勝・フレッシュ5勝ながら、なぜかロンバルディアは2位×3回と優勝に縁がないバルベルデのためにモビスターも隊列を組んだ。EFエデュケーション・NIPPOのニールソン・ポーレスは、この夏のクラシカ・サンセバスチャンを制した山の脚で、むしろ自らもアタック合戦に加わった。
しかしザンブラからの下り突入直前に、ウルフパックが主導権をがっちりとつかむ。アルカンシェルを従えて、先頭でダウンヒルを敢行。残り55.5kmで朝からの逃げを回収しつつ、すでに60人ほどにまで小さくなったメイン集団に、秩序を強いた。
それでも緊迫感は否応なしに高まっていく。小さな飛び出しの試みが相次いだ。あらゆるビッグチームが、競うように集団先頭で隊列を走らせた。スピードは恐ろしいほどに上がっていく。そして残り41km、2021年大会最大の勝負地、パッソ・ガンディアの坂道へと飛び込んだ。
先頭で上り始めたのはティシュ・ベノートだった。ツールを愛し、しかしクラシックの伝統をも愛するロマン・バルデを背負い、麓から猛烈なテンポを刻んだ。脚のない者たちは、たまらず後退していく。集団は30人ほどにまで小さく絞り込まれた。ドゥクーニンクの「トリオリーダー」の1人、レムコ・エヴェネプールさえ後方へと消えていった。
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