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【Cycle*2021 イル・ロンバルディア:レビュー】怪物・ポガチャル、メルクス以来49年ぶり大記録でロンバルディア制覇「僕はここでこうして勝利を手に入れた」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかさらにツール+モニュメント2勝というのは、1972年エディ・メルクス以来、49年ぶりの一大事。これほどの快挙を成し遂げたのは、史上でも、「カニバル=人食い」メルクスと「カンピオニッシモ=最上級のチャンピオン」ファウスト・コッピしか存在しない。「記録には興味がない」と常々繰り返す23歳のポガチャルにとっては、どうでもいい話なのかもしれないが、メルクスは1969年・1971年にツール+モニュメント3勝、1972年にツール+ジロ+モニュメント3勝を独占している。
一時は2つに分割した後方集団は、最終的には51秒差で、揃ってフィニッシュラインを越えた。先行5人がお見合いしているうちに、遅れていたログリッチとイェーツが一気にまくったせいだった。先の2戦では、いずれもログラにスプリント負けを喫したイェーツが、この日は3位争いを勝ち取った。
勢力的にレースを動かしたウルフパックは、マスナダの2位で満足するしかなかった。アラフィリップの「2枚目」のアルカンシェルジャージ姿での初勝利も、2つ目のモニュメントタイトルも、お預けとなった。
こうして2度目の「ウィズ・コロナ」ワールドツアーシーズンは、幕を閉じた。年始のオセアニア2戦や秋のカナダワンデー2連戦は中止に追い込まれたし、本来の最終戦ツアー・オブ・広西も、スケジュールから消えた。大陸をまたぐ渡航はいまだ厳しい制限下にあり、ワールドツアーのプロトンが欧州の外を走ったのは2月のUAEツアーだけ。
ただ3大ツールはすべて日程通りに執り行われた。昨季は4つしか開催されなかった5大モニュメントも、順番こそ少し入れ替わったものの、今季は5つすべてで堂々たる勝者が誕生した。
もちろん、世界的パンデミックは、まだまだ完全収束には程遠い。南半球でのワールドツアー開幕は、2023年まで待たねばならない。それでも我々は徐々に日常を取り戻しつつある。願わくは、1年後には、グランツールやモニュメントを彩った選手たちと……宇都宮やさいたまで再会できますように!
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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