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【ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 レースレポート:第15ステージ】亡き父に捧げる勝利!ラファウ・マイカが88kmの独走劇で4年ぶり歓喜「今日は誰も待つつもりはなかった」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか「まずは逃げに乗るためにできる限りの力を尽くした。脚が好調だと確認できた時、ならば1人で行こうと考えた。僕はスプリントが速くない。だから僕にとって唯一の勝機は、独走だと分かっていたんだ」(マイカ)
黙々と先を急ぐ1人と、相変わらずまとまりのない後方の面々。2つ目の山からの長いダウンヒルを終え、3つ目の1級峠へと上り始める時点で、タイム差は2分半に拡大した。
ここでクライスヴァイクがついに動いた。「必要とあらばプリモシュ(ログリッチ)のために戻って働くつもりだった」そうだが、エースから自由に動く許可が下りた。だからまずは1度加速し、集団をひと回り小さくした。2度目の加速では、追いすがるライバルたちを1人ずつ振り払った。残り57km。単独でマイカを追いかけ始めた。
凄まじい山の脚を披露したクライスヴァイクは、残り50km地点で、マイカを早くも1分半差へと追い上げた。つまり、たった7km走っただけで、タイムを1分縮めたことになる。手に汗握る一騎打ちが期待された。
ところが、ここから先、2人の関係はまったくと言っていいほど変わらなかった。タイム差はひたすら延々と1分半前後で移行した。おかげでマイカは、落ち着いてゆっくり確実なダウンヒルを行うことができたし、最終登坂中でさえ、並走するチームカーやテレビカメラに笑顔をふりまく余裕があった。最終的な差は1分27秒だった。
「スペシャルだ。この勝利を父に、子供たちに、家族に捧げたい。今季序盤は難しい時を過ごした。特に父が亡くなったから……。だから今日は勝ちたかった。父のために」(マイカ)
両人差し指を天に突き上げ、マイカはひとりフィニッシュへとたどり着いた。ブエルタでは2つ目の、グランツールでは5つ目の勝利た。もちろんこれまでの4勝もすべて独走の賜物だったし、2015年ツール第11ステージは50km弱をひとりで逃げ切ったけれど、この日は88kmもの逃げを成功させた。
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