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【ツール・ド・フランス2021 レースレポート:第21ステージ】史上最年少で2度目のツール総合制覇!圧倒的強さを誇ったタデイ・ポガチャル「東京には新しい経験をしに行く」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか最周周回の始まりを告げる鐘が鳴ると、ドゥクーニンクの指揮のもと、予定通りにすべての逃げは回収された。3年前のツール総合覇者ゲラント・トーマスが集団最前線に競り上がると、アラフィリップが潰しにかかり、ボーラ・ハンスグローエのタンデムアタックもきっちりと穴を埋めた。ほぼ完璧な仕事を続けてきたウルフパック列車は、マイヨ・ヴェールを連れて有終の美へと突き進んだ。
ちなみに過去4度シャンゼリゼを制し、道の隅々まで知り尽くしているはずのカヴェンディッシュにとって、コース上に「未体験」の部分もあった。たとえばコンコルド広場進入前に通過するリヴォリ通り。カヴが最後にパリでスプリントをした2015年は、広々とした大通りだった。しかしパリ市の自転車利用促進計画に則り、2019年から道幅は大幅に減少された。つまりトンネルを抜け出し、ジャンヌダルク像の前を左折しリヴォリに流れ込む地点=残り約1.5kmで、プロトンはどうしても細く長く伸び、場所取りが激しくなる。
さらに昨大会ベネットを栄光に導いたドゥクーニンク・クイックステップにとっても、実は2021年のコースは「未体験」。これまではコンコルド広場からシャンゼリゼ大通りへと緩やかに右折すると、あとは350mの全力ダッシュが待ち受けているだけ。ところが今年は最終ストレートは700mへと引き延ばされた。つまり走行リズムやタイミングは昨季までとは異なった。なにより、不規則な石畳上の、しかも微妙な上り基調のスプリント距離が、2倍に伸びたのだ。
マーク・カヴェンディッシュ
そのシャンゼリゼ入り口で、カヴェンディッシュは最終発射台ミケル・モルコフからはぐれてしまった。ヤスパー・フィリプセンと争うように、ファンアールトの後輪に潜り込むしかなかった。そのファンアールトは、マイク・テウニッセンーー2019年ブリュッセル開幕初日スプリントを制し、偉大なるエディ・メルクスからマイヨ・ジョーヌを手渡されたーーの、頼もしい背中をただ見つめているだけでよかった。力強い牽引で、最前列へと導かれると、残り220m、あとは自らの特別すぎる脚でスプリントを切った。
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