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【ツール・ド・フランス2021 レースレポート:第2ステージ】大好きな祖父に捧げる渾身の勝利。マチュー・ファンデルプール「あなたこそ僕にとって最大のチャンピオンです」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかしかしスヘリンクとぺレスが忘れていたのは、山岳賞レースをしているのは決して2人だけではないこと。残り72km、3つ目の4級峠の5kmほど手前で、トゥーンスがポイント収集の野心を胸に加速を切ると……、2人は動けなかった。お互いを警戒しすぎたせいなのか、ついには共に自滅の道を進んだ。そのままプロトンに吸収され、ポイント収集合戦はあえなく終了。
それにしても、スヘリンクは、この3つ目の山まで粘ってあと1pt手に入れておくべきだった。この1ptさえあれば、少なくとももう1日は、山岳ジャージを着ていることができたのだから。
先を急いだトゥーンスと、しばらく先で追いついたカボもまた、それほど多くは望めなかった。最大4分まで広がったリードは、すでに2分を切っていた。背後ではいくつもの有力チームが隊列を組み上げ、吸収に向けスピードを上げていた。だからこそ残り21km、トゥーンスは改めて加速する。カボを振り払い、独走態勢に持ち込んだ。山岳賞が取れないのであれば、せめて敢闘賞は確保せねばならない……と。
この日4つ目の4級峠を通過した直後に、残り18kmでトゥーンスの奮闘は打ち切られた。望み通りに、赤ゼッケンを背負って第3ステージを走る権利は、手に入れた。
残す山岳は2つ。つまりはミュール・ド・ブルターニュの2重登坂だ。ところで2018年大会でもこの「ブルターニュのラルプ・デュ・エズ」を2回よじ登ったが、1回目の登坂がいわゆる「淡々」と繰り広げられた3年前とは、まるで様子が違った。なにしろファンデルプールが、頂までいまだ1.7kmを残した地点で--つまり全長2kmの坂道をわずか300m上っただけで--大きな一撃を振り下ろしたのだ。マイヨ・ジョーヌ擁するドゥクーニンク・クイックステップ隊列や、複数の総合本命チームの横をすり抜けつつ、とてつもないスピードで飛び出して行ったものだから……一気に集団内はカオスと化した!
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