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サイクル ロードレース コラム 2021年6月24日

Tourの景色に誘われて | オクシタニー

ツール・ド・フランス by 山口 和幸
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オクシタニー地域圏、とりわけトゥールーズ近郊はひまわり畑がいっぱい

オクシタニー地域圏、とりわけトゥールーズ近郊はひまわり畑がいっぱい

ツール・ド・フランス2021でプロトンが訪れる、サイクルロードレースファンならずとも一度は訪れてみたい各土地の歴史と伝統に彩られた魅力をお届けします。

オクシタニー / Occitanie

ツール・ド・フランスを象徴するシーンは、一面のひまわり畑の中をカラフルなジャージに身を包んだ選手たちが走っているところだ。ひまわりの黄色はツール・ド・フランスのシンボルカラーであり、黄色いリーダージャージ、「マイヨ・ジョーヌ」は王者の称号でもある。

カルカッソンヌ城のホテルテラスで朝食

カルカッソンヌ城のホテルテラスで朝食

ただし、むこうの丘の稜線まで見事なひまわり畑が広がっている景色は、フランスのそこかしこにあるわけじゃない。やはり息をのむような黄色のじゅうたんが目撃できるのは、フランス中南部に位置するラングドック地方やルシヨン地方だろう。

このラングドック地方とルシヨン地方は、かつて1つの地域圏(日本で言うと関東地方や関西地方に相当)だったが、2016年1月1日に西隣のミディピレネー地域圏と合併。ラングドック・ルシヨン・ミディピレネー地域圏というものすごく長い名前になったが、現在はオクシタニー地域圏という名前になって、13県をもつ大きな勢力となった。オクシタニーの語源は、このあたりでかつて使われていたオック語(Langue d’Oc)に由来するものだという。

首府はエアバス本社があるトゥールーズ。主な都市は留学生が多いモンペリエ、そしてヨーロッパ最大の城塞都市で「カルカッソンヌを見ずして死ぬな」ということわざがあるカルカッソンヌ、スペイン国境に近いペルピニャンなどもある。

多種多様な食文化がみられるのもフランス南西部ならでは。トゥールーズでは名物カスレとソーセージ、白インゲン豆のスープガルビュール、鴨マグレ、フォワグラなどが名物。スイーツならトゥールーズの名物菓子スミレの砂糖漬けやモンペリエのギモーヴ、グリゼット飴がある。

夏は乾燥して暑く、冬は湿度があって温暖。そして日照条件がいいのでおいしいワインが収穫できる。日本ではあまりなじみがないかもしれないが、フランス一般家庭で最も消費されるコストパフォーマンスの高いワインはラングドックあるいはルシヨン産だ。

ピレネーのおひざもとに位置するだけに、ツール・ド・フランスのコースから外れることは絶対にない。ラングドックにあるマザメという小さな町に生まれたローランとニコラのジャラベール兄弟が自転車選手としては有名だ。

とりわけ兄のローラン・ジャラベールは人気者だった。スプリンターとして売り出したトウシバ時代はそれほどの実績は残していない。1992年にこのフランスチームを離れ、スペインのオンセチームに所属してから開花した。

第14ステージのゴール、キアン

第14ステージのゴール、キアン

3度目の出場となった1994年、第1ステージのゴールスプリント時に、コース内側でカメラを構えていた警官に激突して、あまりにも不運な病院送り。しかし復活してからのジャラベールは勝ちまくった。1995年は区間1勝とポイント賞を獲得。さらにフランス人として最高位となる総合4位でフィニッシュした。

2000年は途中でマイヨ・ジョーヌを獲得。さらにスプリンターからオールラウンダーへ。2001年と2002年に上り坂で山岳ポイントを稼ぎまくり、山岳賞を連取した。

このオクシタニー地方はフランスの中でもラグビー熱が盛んなところ。19世紀後半にフランスにやってきたラグビーは、それ以降オクシタニーで重要な地位を築いてきた。ラグビーが持つスポーツや敬意、陽気に楽しむという価値はオクシタニーの文化として育まれてきたのだ。地域内に約400のクラブと8万人の登録選手がいるオクシタニーはフランス屈指の「ラグビー地方」となった。

トゥールーズのキャピトル広場に面したレストランで食事

トゥールーズのキャピトル広場に面したレストランで食事

2023年はフランスでワールドカップが開催されるが、大会の鍵を握る地として5つの試合が行われ、うち2つは日本が参戦する試合となった。2023年9月10日、同28日にスタジアム・ド・トゥールーズで行われる。2019年のツール・ド・フランス第12ステージは、このスタジアムの前から出発した。

サイクルロードレースもラグビーも、この広大で乾いたオクシタニーで熱くなるのが気持ちいい。アクティブライフが似合うエリアなのである。

文:山口和幸

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山口 和幸

ツール・ド・フランス取材歴25年のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、日刊スポーツ、東京中日スポーツ、Number、Tarzan、YAHOO!ニュースなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)。2013年6月18日に講談社現代新書『ツール・ド・フランス』を上梓。青山学院大学文学部フランス文学科卒。

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