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サイクル ロードレース コラム 2021年6月20日

プリモシュ・ログリッチ物語《栄光の欠片》| トリプルエース計画

ツール・ド・フランス by 宮本 あさか
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トリプルエース計画

トリプルエース計画

掴みかけた栄光は、わずかばかりの欠片を残してその男の手からこぼれ落ちたーー。あの衝撃的な敗戦の記憶を背負い、失った栄光を取り戻す戦いに再び挑む、プリモシュ・ログリッチという一人の男の物語。全6話。

2話:トリプルエース計画



すべての道はツール・ド・フランスに通ず。シーズンが幕を明けるはるか前から、いや、前シーズンが終わったその瞬間から、関係者たちの思いは早くも来夏へ飛ぶ。





2019年末のプリモシュ・ログリッチや所属チームのユンボ・ヴィスマもそうだった。





あの年はジロ・デ・イタリア獲りこそ不手際が重なり失敗したものの、秋のブエルタ・ア・エスパーニャを堂々と制覇した。



ログリッチ

グランツールの一つ、ブエルタ・ア・エスパーニャの2019年大会で総合優勝を果たしたログリッチ。この大会で躍進を遂げたのがポガチャルで、総合3位に入り、ログリッチと共に表彰台に上った。



次なる目標は当然のようにツールに定めた。同年ツールで総合3位に入ったステフェン・クライスヴァイクと、さらには翌シーズンからのチーム加入が決まっている元ジロ総合覇者トム・デュムランとが力を合わせさえすれば、チーム設立36年目にして初めてのマイヨ・ジョーヌも夢ではないはずだった。



クライスヴァイクとデュムラン

ステフェン・クライスヴァイクとトム・デュムラン。圧倒的戦力を誇るイネオス・グレナディアーズに肉薄する強力なメンバーを揃え、プロトン内での勢力争いで主導権を握り出したユンボ・ヴィスマ。



オランダのイエロー軍団は、野心も手の内も一切隠そうとはしなかった。クリスマス前の12月20日に、なんとも気の早いことに、トリプルエースを含む2020年ツールメンバー8人を発表した。





最大のライバルと見られていたイネオス・グレナディアーズもやはり、年末に、実質的な3人エース体制を明らかにしている。





グランツール総合7勝クリス・フルームに、2018年ツールを勝ち取ったゲラント・トーマス、さらには2019年覇者エガン・ベルナルがこぞってフランス一周に乗り込むことを宣言。王者たちの豪華競演と、ユンボとのトリプルエース対決に、自転車界の期待は否応なしに高まった。



ツール・ド・フランス2019年大会の総合優勝者エガン・ベルナル。彼を含めたクリス・フルームとゲラント・トーマスの3人エース体制は、他チームに驚きと恐怖を与える圧倒的な存在感を誇示した。

ツール・ド・フランス2019年大会の総合優勝者エガン・ベルナル。彼を含めたクリス・フルームとゲラント・トーマスの3人エース体制は、他チームに驚きと恐怖を与える圧倒的な存在感を誇示した。



2大チームに先がけて、実は12月半ばにUAEチームエミレーツが、2020年ツールに向けたエース格3人を告知していた。





タデイ・ポガチャル、ファビオ・アル、そしてスプリンターのフェルナンド・ガビリア。2019年ブエルタで時に同胞ログリッチと共闘し、初のグランツール表彰台を射止めた21歳に対しては、チームはこんな一言を添えた。「プレッシャーなしで、1日1日を戦って欲しい」と。



ポガチャル・ログリッチ

ブエルタ・ア・エスパーニャ2019年大会、第13ステージ 超級山岳マチュコスでは、ログリッチとのデッドヒートを制してステージ優勝を果たしたポガチャル。あどけなさが残るそのルックスからは想像し得ないパワーに観るもの全てが驚かされた。



6月中旬に改めて最終メンバーが発表された時に、未来の王者は、自らの言葉でこう綴っている。





「僕は上りが大好きで、いつの日か、大きな成績に向かって戦いたいと願ってる。リエージュ〜バストーニュ〜リエージュのようなレースで。もしくはツール・ド・フランスで」(ポガチャル)



ブエルタ・ア・エスパーニャ2019で大きな驚きを与えたポガチャルは第9ステージと第13ステージでステージ勝利をあげている。13ステージではログリッチとのデッドヒートの末に勝利を掴んだ。

ーーー続く。(2/6)

文:宮本あさか

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宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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