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【クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ 第7ステージ:レビュー】苦労人パデュンが超級山岳征服でワールドツアー初勝利「夢なら醒めないで!」
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介そんな逆境に立ち向かう姿勢が、今大会にも表れた。不調にあえいだ6日間を吹き飛ばす会心のステージ優勝。フィニッシュ直後に見せた底抜けの明るさは、いつだって前向きな「マーク・パデュンの象徴」だ。
さて、パデュンが歓喜する後ろでは、個人総合上位陣が別のレースを展開。前を行くポートらを目指して、メイン集団からロペスやベン・オコーナー、ダヴィド・ゴデュが次々とアタック。ロペスとオコーナーに一度は追いつかれたポートだったが、残り1kmで一気に攻撃。ともに走ってきた選手たちを振り切ると、2番手を走っていたクスもパス。そのままステージ2位を確保。以降、続々と選手たちがラ・プラーニュの登頂を果たした。
マイヨ・ジョーヌでこのステージに臨んだアレクセイ・ルツェンコもステージ10位とまとめたが、十分なタイム差を得て走り切ったポートがジャージを奪取。最終日を前に、個人総合首位に立った。
リッチー・ポート
「モビスター チームが長時間コントロールしていたが、徐々に人数を減らしていたので、攻撃するチャンスがあると思っていた」(リッチー・ポート)
イネオス・グレナディアーズは、第5ステージでゲラント・トーマスが勝ち、テイオ・ゲイガンハートも控える強力布陣。そんななかで、ポートの立ち位置はリーダー格なのか、はたまたアシストなのかがいまひとつ見えてこなかった。ただ、これではっきりした。
「明日何が起ころうとも全力を尽くして、このジャージを家に持ち帰りたいと思う」(ポート)
「結局イネオスは誰がメインのリーダーなのか」という話題が熱を帯びそうな流れになりつつあるが、何はともあれ、彼らはドーフィネのタイトルをかけて残り1ステージに挑む。
その最終・第8ステージは、147kmのルートに6つの上りを詰め込んだ。中盤に1級山岳コロンビエール峠(11.7km、5.8%)、終盤には超級山岳コル・ド・ジュ・プラーヌ(11.6km、8.5%)を通過するが、例年チーム戦や奇襲戦となるのがドーフィネの最終ステージ。上級山岳にとどまらず、どのカテゴリー山岳でも何かが起きる可能性が秘めている。「ドーフィネはいつも最終日に何かが起きているし、ジャージを持っていても簡単にレースを運べるとは思っていない」とポート。誰にとっても、覚悟の1日がやってくる。
文:福光俊介
福光 俊介
ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う
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