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東海岸から一気に西海岸へと飛んだブエルタ一行が、1回目の休養日を終えた。大会も10日目に入ったが、リタイアは幸いにもわずか5人。193人の選手たちが、再び、長い戦いへと走り出していった。
「勝負の」個人タイムトライアルを翌日に控えるプロトンは、スタートと同時に2選手を先に行かせた。逃げ出したのはアドリアン・パロマレス(アンダルシア)とハビエル・アラメンディア(カハルラル)。チームTTを除く9ステージ中、アンダルシアはなんと8回も前方に選手を送り込んでいる。もちろん、おなじみアラメンディアは、第2、7、8ステージに次ぐ自身4度目のエスケープだ。
ただし今ブエルタここまで、大逃げの企てが上手くいったのは第4ステージ1回だけ。道が平坦なときはスプリンターチームが吸収を仕掛け、アップダウンがあれば総合本命たちがボーナスタイム獲得に向けて先を急ぐ。結局のところ、小さなスペインのプロコンチネンタルチームの2選手は、この日もジャージアピールだけで満足するしかなかった。
スタートから20kmほど走っただけで、スプリント3勝ジョン・デゲンコルブに「もう1勝を」と意気込むチーム アルゴス・シマノが、タイム差コントロールに乗り出した。そう、まさしくコントロールだった。序盤であっという間にタイム差が1分にまで縮まると、アルゴスボーイズはあえてスピードを落とす。そして最大6分45秒差にまで広がったところで、改めて差をじわじわと追走にかかった。ところが他チームが牽引に参加し始めた途端、またしても一気にタイム差は1分程度になってしまう。……ゴールまで80kmも残っていたというのに。
だからフライング気味、とばかりに、またしてもアルゴス隊列はペダルを回す脚を緩めた。あまりにも早く逃げ集団を吸収してしまうと、カウンターアタックの危険性が高まってしまう。こうして3分半までタイム差を広げると、再度、ゆっくりと前の2人を追い詰めて行った。またピム・リヒハルト(ヴァカンソレイユ・DCM プロサイクリングチーム)が単独アタックを試みたこともあったが、土井雪広が率いるプロトンへの抵抗は、長くは続かなかった。最終的にはゴールまで33.5kmの地点で、逃げを静かに回収している。
急速な吸収劇を避けつつ、しかもデゲンコルブは効率的なポイント収集さえも行った。今ステージの2回の中間ポイントで、逃げの2人に続いて3位通過(1pt×2)。前ステージ後に失ったポイント賞首位の座を、奪い返し、願わくばマドリードまで首位を守りきるために。
青く美しき海岸線を縦横無尽にかけめぐるステージ最終盤に入ると、アルゴス・シマノに代わって、オリカ グリーンエッジが全員で仕事を行った。さらにはカチューシャ チームにスカイ プロサイクリング、チーム サクソバンク・ティンコフバンクさえも激しい牽引を見せた。この動きはいずれも、「クリス・フルームが好ポジションを間違いなく確保できるように(スカイのプレスリリース)」、「アルベルト・コンタドールを先頭集団内でゴールさせるため(サクソバンクのマッギー監督)」と、総合リーダーが分断や落車でタイムを無駄に失ってしまわぬための防衛策。そしてラスト3kmのアーチを越えると、つまり「タイム救済ルール」が適応される距離に到達すると、静かに主導権をスプリンターチームに譲り渡した。
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