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インドゥラインのバイク(1993ツール・ド・フランス)
ツール・ド・フランスがヒットした秘密その3として、消費行動変化の波にうまく乗ったことがあげられる。
1936年、ときのレオン・ブリュム内閣が、有給休暇を定めたマティニョン法、いわゆるバカンス法を制定した。観光刺激により消費拡大をもくろんだもので、その恩恵を、ツールはまともに受けることになる。
バカンスブームに乗った人たちが、ツール見物にやってきた。これもひとえに、開催月が7月だったおかげといえる。視界がよくて、寒くなく、雪がない時期、ということでこの時期が選ばれた。
さらに、自転車メーカー成長の過程とも合致した。レースへの協賛により、自転車メーカーは売り上げを伸ばし、自転車ブームがツールをけん引した。
しかしやがて、自転車メーカーお抱えチームの発言力が強くなった結果、それらを排除する動きが始まる。1930年には、ナショナルチーム制に変更となり、全員ノーブランドの黄色いバイクが支給された。
国別対抗はナショナリズムという新たな要素を生み、ナショナルチーム制自体は1961年まで続くのだが、一方で、同一バイクの使用義務は1939年が最後となる。1940〜46年の戦時中の中断のあと、1947年以降、バイクの制限は撤廃されたのだ。
リースのバイク(1996ツール・ド・フランス)
ウルリッヒのバイク(1997ツール・ド・フランス)
これで自転車メーカーは再び息を吹き返し、もちつもたれつの時代が到来する。レースの公式記録の中に、歴代優勝バイク・ブランド一覧があることからも、メーカーとツールの深い関わりがしのばれる。
たとえば、70-80年代はジタンのバイクが7勝した。うち5勝は、ジタンチームに所属していたルシアン・ヴァンインプとベルナール・イノーがあげたもの。残り2勝は、ルノー所属のローラン・フィニヨンがあげたものだ。
一方、1992〜97年は、ピナレロが6連覇。ミゲル・インドゥラインが5勝のうち4勝をピナレロのバイクであげ、さらにテレコム所属のビヤルヌ・リースとヤン・ウルリッヒが1勝ずつあげ、続いた。ちなみにインドゥラインは1991年の初優勝のとき、チームの本拠地ナバラのブランド“ラセサ”のTVTを使用していたため、7連覇とはいかなかった。
このように、観光ブーム、自転車の台頭など、市場の後押しも受け、ツールは成長を続けていったのだった。
Naco
1999年末、ホームページを立ち上げ、趣味だった自転車ロードレースの情報記事を掲載しはじめる。2000年夏からは、ツール・ド・フランスの現地観戦レポートを開始。同サイトには、ロードレース・ファンたちが数多く訪れている。現在、フリーランスのジャーナリストとして自転車専門誌に記事を寄稿している。
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