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ナポリを走り出した207選手は、168人になってブレシアへと帰ってきた。3週間前の市街地周回コースは少々窮屈だったけれど、この日はスペースにもほんの少し余裕ができていた。雨と雪の激闘を潜り抜けてきたヴィンチェンツォ・ニーバリは、ようやく全身をほんのりピンク色に染めて、アスタナ プロチームのチームメートやスタッフたちと「凱旋」パレードを楽しんだ。ステファノ・ピラッジィもカルロスアルベルト・べタンクールも、自らにふさわしい色合いの一張羅を着込んだ。晴れた日曜日には、誰もが笑顔を見せた。ただ……ニーバリの代わりに赤いジャージを着て走ったマーク・カヴェンディッシュだけは、スタートの記念撮影でも口角を上手く上げられないほど、気持ちに余裕がなかった。
なにしろ「代理」マリア・ロッソなんかで、カヴが満足できるはずもないのだ。1年前も同じように、第20ステージで、この大切な赤ジャージを失った。やはり代理ジャージで最終日に挑んだが、ただ今年とは違って、種目はタイムトライアルだった。当然ながら挽回叶わず、わずか1pt差で涙を呑んだ。それに比べて2013年大会は、なんと幸いだろう!だって最終日は、大得意な真っ平のスプリントステージだったのだから。だって不足分の11ptなど、世界最速スプリンターの脚さえあれば、至極簡単に取り戻せるはずだったから!そう頭では分かってはいても、カヴはピリピリした神経をなだめることができなかったようだ。
最終日のプロトンは、いわゆる「伝統」に則って、ブレシア入場前の約170kmをゆっくりと一団になって走った。2005年にシャンゼリゼ突入のはるか前にアタックを打って、マイヨ・ジョーヌチームにお小言を喰らった若き日のフィリップ・ジルベールのような、そんな血気盛んなチャレンジャーは存在しなかった。おかげでカヴェンディッシュとオメガファルマ・クイックステップの作業も楽になった。第1回目の中間ポイントなどは、ほんの直前に、いそいそとプロトン前方に出てくるだけで十分だった。もちろん、前日に戦いを挑んできた(カヴにとっては予想外だったライバル)ラファエル・アンドリアートの例もある。後ろを振り向きながら、慎重に、慎重にスプリントは行われた。これにて8pt獲得。ニーバリとの差はあと3pt!
別に赤ジャージに興味のなかったニーバリは、アスタナ親衛隊にしっかりと守られて、最後の周回コースへ静かに滑り込んで行った。1回目のゴールラインの先頭通過にさえニーバリはこだわらなかった。自分より13年も前にばら色の栄光を勝ち取った大先輩、ステファノ・ガルゼッリに、快く先を譲ったのだ。2000年ジロのマリア・ローザは、プロトンから少しだけ前に進み出ると、沿道に詰め掛けたファンに手を振って、ジロと自転車界に別れを告げた。若き日はマルコ・パンターニの山岳アシストを務めていた。こんな本物のヒルクライマーは、この7月で、40歳になる。
しんみりとしたアッディーオ(永遠のサヨナラ)もそこそこに、カヴとオメガファルマはすぐさま仕事に取り掛かった。なにしろ全部で7周のサーキットコース中に、2つ目の中間ポイントが待っている。でも……果たして何周目?? ロードブックには「3回目のフィニッシュライン」と記されてある。しかし開催委員会は急遽ステージ距離を延長(9km)しただけでなく、ポイント周回も「4回目」に変更していた。だから選手や監督の中に、ちょっとした混乱が起こったとしてもおかしくはない。しかも、神経が過剰なまでに苛立っていたら、もう数えてなんかいられない!
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