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サイクル ロードレース コラム 2013年7月12日

ツール・ド・フランス2013 第12ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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オメガファルマが6人体制で列車を組み上げ、ラスト3kmのアーチ――ここからはメカトラブルや落車で遅れた場合、アクシデントの時点で所属していた集団と同タイムが与えられる――を潜り抜けた直後だった。前方から30番目ほどの位置で、大きな集団落車が発生した。本日の優勝候補アンドレ・グライペルが地面に強烈に叩きつけられ、現場には数多くの自転車と選手によるミルフィーユができ上がった。巻き込まれたエドヴァルド・ボアッソンハーゲンは、ゴール後にレントゲン室に直行し、肩甲骨にひびが入っていることが判明。マイヨ・ジョーヌのチームリーダーを置き去りにして、泣く泣く大会リタイアせざるを得なくなった。

……我らが新城幸也も、残念ながら、大混乱の渦に飲み込まれてしまった。日の丸ジャージが大きく汚れたり破れたりはなかったが、左手の親指と人差し指をえぐるように負傷。全出走選手182人中181番目で1日を終え、ゴール後には傷口縫合の処置を行ったという。

落車による分断でほんの少し小さくなった集団では、オメガファルマ列車とアルゴス列車が、激しいつばぜり合いを披露した。フラム・ルージュ(ラスト1kmのアーチ)を越えてから2回登場する直角カーブでは、オメガがほんの少し優勢に戦いを進めた。そしてラスト200m。最終発射台ヘルト・ステーグマンが死に物狂いの牽引を見せた後、カヴェンディッシュが満を持して飛び出した。

「チームは信じられない仕事をしてくれた。しかも前もってフィニッシュゾーンを分析していたんだ。ここ数日のボクらは、ちょっと勝ちに飢えすぎていた。だから今日はみんなで冷静になって、辛抱強く、最後の最後まで飛び出さないように……と話し合っていた。チームメートたちは、いつも以上に素晴らしいアシストをしてくれて、おかげでボクの仕事も楽になった」(カヴェンディッシュ)

ここで、いつもならば、小型のマン島エキスプレスが、フィニッシュラインを真っ先に奪い去っていたものだ。ところが、この日の結末は違う。

「本当にがっかりしている。彼らチームメートのために、勝利で終えることができなかったんだから」(カヴェンディッシュ)

意外とすっきりした顔で敗北を認めたカヴェンディッシュを、ラインギリギリのところで抜き去ったのは、大型のドイツ車だった。マルセル・キッテルが、驚異的な爆発力と伸びを見せたのだ!初日は大集団落車のせいで有力スプリンターとの直接対決はなく、第10ステージはチームメートと接触したカヴェンディッシュとの真剣勝負はできなかったが、この日ついに、「世界最速」の呼び声をほしいままにするカヴェンディッシュを一騎打ちで打ち破った。

「カヴを直接対決で破れたのは、本当に凄いことだ。最終200mで、彼の背後に滑り込むことに成功した。ボクは冷静なままだった。それから同時にスプリントを始めた。ボクの方が最後の爆発力があったね。でもギリギリの勝利だった」(キッテル)

本人にとっては区間3勝目。グライペル(第6ステージ)やトニー・マルティン(第11ステージ)の勝利と合わせると、ドイツ勢にとっては通算5勝目となる。その他の勝者国籍を見るとオーストラリア人2勝、イギリス人2勝、あとはベルギー、スロバキア、アイルランドが1勝ずつだから、フランスの隣国はダントツの強さを見せている。ただし、ドイツ公共テレビ局は、度重なるドーピング疑惑にうんざりして、ツールのレース中継を2011年から完全に拒否している。つまりは3人の華々しい活躍を地元ファンたちは気軽にテレビで見ることはできない。皮肉なものである。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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