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サイクル ロードレース コラム 2014年9月11日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2014 第17ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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巡礼の終わりまで、残り5日。2度目の休養日を終え、一行は旅の目的地ガリシアへとたどり着いた。南スペインで走り出した198人のプロトンは、169人に小さくなっていた。ほんの5日前まで総合3位につけていたというのに、山岳3連戦で大きく崩れたリゴベルト・ウランは、気管支炎の悪化によりこの朝スタートを断念した。

スプリンターにとっては、3週間で、ほぼ最後のチャンスだった。一方で総合ライダーにとっては、お休み代わりの移動ステージ。いわゆる定石通りにステージは始まった。スタート直後から高速のアタック合戦が巻き起こった。20km地点で5選手が逃げ出すと、ジャイアント・シマノが隊列を組む。タイム差は最大4分しか与えなかった。普通に考えれば、ゴールまで適度な距離を残して逃げは吸収され、様式美に則った大集団スプリントへと向かうはず――。

この日のプロトンは、しかし、ことのほか苦労させられた。先を行くことを選んだボブ・ユンゲルス、ローハン・デニス、ダニエル・テクレハイマノ、エリア・ファヴィッリ、リュイス・マスは、虎の子のリードを守り切ろうと奮闘した。特に元ジュニア世界タイムトライアルチャンピオン(ユンゲルス)、現アフリカ大陸タイムトライアルチャンピオン(テクレハイマノ)、さらには元チーム追抜世界チャンピオン(デニス)が引っ張るエスケープが、そう簡単に匙を投げるはずもなかった。道だって決して単純ではなかった。ロードブックを眺めていただけでは決して分からない、やけにハードな上り下りが、あちこちにちりばめられていた。

すでに区間3勝を上げ、緑ジャージを2週間前からしっかり着込んでいるジョン・デゲンコルブは、チームアシストたちとタイム差管理に乗り出した。それでも、思うようにタイム差は縮まらない。レースも残り3分の1を切ると、他のスプリンターチームも、ようやく事の重大さに気が付いた。トム・ボーネン有するオメガファルマ・クイックステップや、マイケル・マシューズを守るオリカ・グリーンエッジも、積極的に追走に手を貸した。

とにかく一心不乱に逃げた。ゴール前30km、タイム差が2分半の時点で、マスは仲間たちについていけなくなった。残された4人の中でも、初グランツールを戦う21歳ユンゲルスが、力を惜しまずハイペースで踏み続けた。いつしか他の逃げ選手たちは、ちっともリレー交代に協力しなくなったけれど、ならば、とライバルを試すように何度も加速を切った。自転車選手特有の「サドル病」、つまり股ずれに苦しみ、スタート前には走れるかどうかさえ分からなかったというのに……。

ゴール前10kmでタイム差54秒。ここから道は上り始める。ユンゲルスが何度目かの加速を仕掛け、ついにテクレハイマノが脱落した。

「ほかの2人を引き離すことはできなかった。それでも、とにかく、嬉しいんだ。だって僕はまだ生きてるぞ、ってところを見せられたから!」(ユンゲルス、チーム公式HPより)

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